本のタイトル・著者(訳者)・出版社 | 感想 | |
---|---|---|
NO.1 | 「洪水はわが魂に及び(上・下)」
大江健三郎 (新潮文庫) |
今年もまず大江作品から。上巻の最初の1/3くらい、けっこうしんどかったが あとは例によって一気に読んでしまうという、いつもながらのパターン。登場人物がみなすごい個性を 持っていて魅力的。どんな脇役にも命がある。基本的には残酷というか容赦ないお話。あれよあれよという 間に引き返せないところに人間が突き進んでしまうのだが、なぜか不思議に納得しながら読んでしまう。ああ、 みんなこうするしかなかったんだ、というように・・・。 |
NO.2 | 「新潮四月臨時増刊 宮本輝」
(新潮文庫) |
「新潮」まるまる一冊全部宮本輝特集。ファンには応えられませんっ! |
NO.3 | 「日蝕」 平野啓一郎 (文芸春秋) | 京大在学中に芥川賞受賞というとんでもないひとの話題の小説。たしかに難しい 漢字・言い回しは多いけど、すぐに慣れたなあ(大江健三郎の文体に慣れるほうが大変だった)。 それよりもなんというか「感動」ってものが以外と薄くて、次作に期待ってかんじ。すごい力量では あるだろうから・・・。 |
NO.4 | 「オリンピア ナチスの森で」 沢木耕太郎 (集英社) | オリンピックベルリン大会をめぐる、日本選手団を中心にしたドキュメント。 単なるスポーツ・ノンフィクションという枠を超えてるね。あの時代の背景についてはあえて淡々としか 書いていないんだけど、登場する人物達の描き方が、この人は本当にうまい。何十年も前のスポーツ選手が 本当に活き活きと想像できるもの。この「オリンピア」シリーズはまだ続くみたいだから楽しみ!! |
NO.5 | 「五体不満足」 乙武洋匡 (講談社) | 言わずと知れた話題の書。本当に普通の大学生がこれまでの人生を振り返った、 というかんじ。でもちゃんと問題提起すべきもの、主張することはしてるし、おもしろおかしく読ませる部分もうまいし。よく書けているよね。この著者のご両親は本当に素晴らしい人たちなんだろうな。 |
NO.6 | 「君について行こう(上・下)」 向井万起男 (講談社+α文庫) | 会社の友人が「オススメ!」ってことで貸してくれた作品。宇宙飛行士の向井千秋さんの ダンナ様が書かれたエッセイ。千秋さんとの出会いや結婚するまで、結婚生活(といってもほとんど別居なん だけど)、向井一家との交流、そして宇宙に行く訓練の様子などなど。独特の語り口がイヤミじゃないし、 内容はとってもおもしろいし、千秋さんへの思いがあふれてて、すっごくよかった。この本を読んで、一気に 「向井千秋さんこそ私の尊敬する人だ」と思っちゃった。「フロリダの青い空は私にこそ似合うと思うんだ」 の一文だけで涙が出そうになった。もちろんこの万起男さんも凄い。たくさんの人に読んで欲しいなあ。 |