本のタイトル・著者(訳者)・出版社 | ||
NO.1 | 「誰がために鐘は鳴る」
ヘミングウェイ (大久保康雄・訳 新潮文庫) | なんとなく読みたくなって。話が盛り上がるまで(橋の爆破がはじまるまで)は少々退屈な気もしたんだけど、 そのあとは一気に読み進んだ。でもね、どうしてこういう文学の、田舎のひとの言葉って「へえ、だんな、〜でさあ」みたいなふうに 訳されちゃうの? |
NO.2 | 「いのちの手紙」
千葉敦子・箙田鶴子 (ちくま文庫) | ダンナの実家から貸していただいた。癌と闘い続けたジャーナリストである千葉さんと、小児麻痺で手足の自由が きかない箙田さんの往復書簡という形。病気や障害のこと、仕事のこと、夫婦のこと、と、話題の幅は広いしそれぞれとても勉強になる。 全体を通じての印象は、どうも会話というか議論がかみ合ってないなあということ。でもそれを正直に、それこそこの書簡集の特徴で あることを隠さない2人の度量のようなものを感じた。 |
NO.3 | 「陪審評決」
ジョン・グリシャム (白石朗・訳 新潮社) | 重ための本が続いたので、何も考えずに読める本と言うことでグリシャムの新刊。アメリカの裁判制度を大きく 特徴づけるのは陪審制だろうけど、まさにその陪審員達が主役。なんと、陪審を操ってしまおうというすごい野望を持った2人組が主役。 彼らと弁護側・検察側との丁々発止の駆け引きとか、裁判の描写とか、グリシャム節(そんなのあったか?)はいつもながらの冴え。 「レインメーカー」のような感動はないけど、十分楽しめました。 |
NO.4 | 「接触」
P・コーンウェル (相原真理子・訳 講談社文庫) | 検屍官シリーズがここまで続くと予想したヒトはあんまりいなかったのでは? なんかスカーペッタもマリーノも、いつも疲れてイライラしてるようで、読んでてあんまり楽しく ないなあ。事件推理の楽しみはあるんだけど、登場人物の魅力がややなくなってきたような。事件はがいくら陰惨で犯人がいくら残酷でも、追いつめる側が健全であることが救いだったのに。 さすがに2人とも年だしね〜。ま、そろそろ大団円かな。 |
NO.5 | 「ハネムーン」
吉本ばなな (中央公論社) | ひさしぶりのばなな作品。ドキっとするような巧みな表現、大胆な展開、いいですね〜。現実離れしているんだけど 「それもありかな」と思わせてしまう筆力。うまいなあ。うん、うまい。 |
NO.6 | 「予告された殺人の記録」
ガルシア・マルケス (野谷文昭・訳 新潮社) | もうずっと昔に、映画化されたヤツを見て、けっこう衝撃的だったのでいつかは読みたいと思っていた。そのうち 「百年の孤独」を読んですっかりマルケスファンになっていたくせに、ついつい読みそびれていた作品をようやく読破。マルケスの作品って、 「百年の孤独」系の、不思議な独特の世界を描いたモノと、この作品のようにドキュメントタッチのパターンがあるけど、これはまさに リアリズムあふれる秀作です。結婚式と殺人という対照的なできごとに、家族の問題とかいろいろからめて、グイグイ読ませる。やっぱり マルケスはすごいっ! |
NO.7 | 「グリーン・マイル(1)〜(6)」
スティーブン・キング (白石朗・訳 新潮文庫) | 恥ずかしながら、キングの本って初めて。で、これ、むちゃくちゃおもしろい!! また白石さんの訳がいいのよね。 1巻から6巻まで、私は全部まとめて買ってしまったんだけど、一ヶ月ずつ待たされた人は本当、苦しかっただろうなあ。舞台は刑務所で、 登場人物も看守と死刑囚なんだけど、なんともいえないほのぼのとした雰囲気が基本的にはあるのよね。で、そこへ突然のように 衝撃的な出来事が起こる・・・。1巻ごとの構成も完璧! だし、キングってすごい。 |
NO.8 | 「レ・ミゼラブル(1)〜(5)」
ユゴー (佐藤朔・訳 新潮文庫) | ふふふっ、もちろんミュージカルの「レ・ミゼラブル」に感動しての原作挑戦。かなり長くかかったなあ。でも なんともいえない達成感ありますね、さすがにこれは。なかなかジャン・バルジャンが出てこないから挫けそうになったけどがんばって よかった。しかし、ユゴーってすごい人。文学者であるだけじゃなくて歴史家であり、科学者でもあるような。本筋のストーリーに 肉付けする枝葉の部分が広くて深いのなんの。肝心のおはなしは・・・もちろんミュージカルよりたくさん人物像が書き込まれてるから おもしろくないはずはない。あー、読んで良かった! |
NO.9 | 「月光の東」
宮本輝 (中央公論社) | ああ、最近の輝サンにありがちな、伏線はるだけはって、お話ふくらませるだけふくらませて、結局 「え? それだけ?」で終わってしまうというパターン・・・。「錦秋」や「避暑地の猫」のような作品がもう一度読みたい。 |
NO.10 | 「誘拐」
ガルシア・マルケス (旦敬介・訳 角川春樹事務所) | マルケスの、まるっきりのノンフィクション。コロンビアの麻薬組織が、政府との駆け引きのために ジャーナリストや政府の要人関係者を次々誘拐するという、とんでもない事実が、人質達の貴重な証言で綴られる。コロンビアで こんな深刻な誘拐問題が起きてるなんて、全然知らなかった! マルケスの作品としては、異色のタイプだと思う。 |