■■■台北日記・piyata編■■■



夜の中正紀念公園を中正紀念堂から望む。 左が国家戯劇院、右が国家音楽廰(コンサートホール)。


10月11日(金) 快晴

5時半起床。成田11時発のANKに乗るために,7時に家を出る。家から成田まで1時間40分たっぷりかかる。海外旅行で一番ブルーなのは家と空港の移動だ・・・はぁ。スムーズにチェックインしたあと,搭乗ゲートで長蛇の列・・・はぁ,うっとうしい。こんなことならキャスター付きのバッグで来ればよかった,などと思いつつ出国手続きを済ませ,1時間以上前にターミナルで最果ての地とも言うべき端っこの搭乗口に着いてしまった。ソファに座ってAKさんにメールを送る。AKさん,関空もメチャ混みらしい。台湾の空港では違うターミナルに到着するにも関わらず,先に到着するAKさんがANKの到着ターミナルに来て一緒のリムジンバスに乗って下さるとのこと。うまく会えるといいな。

搭乗口からバスで滑走路の端っこまで来る。おいおい,ここってもうほとんど第一ターミナル側では・・・などと思いつつ,飛行機に乗る。2人がけ通路側の席,さっさと荷物をしまって毛布をかけて瞬時に昏睡状態に陥る。成田から台北まで3時間30分だけど,ちゃんと機内食が出る。その時にはしっかり目を覚まし,アスパラとポークのカレーライスとパン,そば,ハムサラダ,デザートをしっかり平らげてしまった自分が怖い。ANKの機内では各座席で映画が見られた。行きはヒュー・グラントの「アバウト・ア・ボーイ」を今晩に備えて(!?)英語版で見る。太った子供が出てくる映画だが,幼少期のワディムによーく似てる。しかし,疲れてまったので映画断念。もう一度寝る。

寝ているうちに台北に着く。しかし,日本と台湾(中華民国)は正式な国交がないのだが,旅行会社も大々的に台湾の宣伝をしているし,一方北朝鮮のように完全に遮断された国だってある。「国交って一体なんだろう」なんて思ってしまう。しかし,到着ロビーには人があまりいない。時間帯によるのかもしれないけれど,がら〜んとした空港・・・やはり何となく物々しい空港だと思った。そして,リムジンバス乗り場に急ぐ。
空港構内のバス切符売り場でAKさん発見!やった,すぐ会えてしまった(ていうか,人が少ない・・)。外に出ると,真夏である。しかも,ムワーっと蒸し暑い。一月前に逆戻りした感じ。しかし,なんと行き先を間違えて切符を買ってしまって払い戻すはめに。結局暑いのに空港の中と外を走り回り,なんとかお目当てのバスに乗る。
AKさん,飛行機の中で台湾でガイドをされている女性と隣の席で,美味しい店や台湾の回り方など,ずうっと教えてもらっていたみたい。なんとラッキーな出会いだろう。

台北市内,やはり何だかホコリっぽくて空気が汚れている感じがする。やはりおびただしい数のスクーターのせい?しかもこちらの人は50ccのスクーター二人乗りは当たり前みたいだ。中心街に入ってくると,ゲルギーのノボリというか旗みたいなのがあちこちにある。「柴可夫斯基音樂節(チャイコフスキー音楽祭)」という宣伝のノボリだ。レーピンが出演する日が初日で,3日間連続でキーロフとゲルギーが台北でコンサートをする。こちらでは結構なイベントだったのね!と今晩に向けてAKさんと二人,わくわくしてしまう。

台北市内某ホテル到着,チェックインを済ます。AKさんにはご迷惑だろうけど,一 緒の部屋にしていただいた。部屋番号「1142」イイヨルニ・・・・きっと今晩, 良い夜になるのね・・・こんなところで喜んでしまう単細胞な私。 早速部屋チェック,荷解きなど始めていると部屋の電話が鳴った。出て見る。「ハ ロー」英語だ・・・。エージェントの方からの電話だった。昨年12月のソウルはAKさんと私,二人とも直前のキャンセルに合い,かなり神経質になっていた。念の為,キャンセルや変更があれば連絡下さいと,現地エージェントにホテルの連絡先を教えておいたので,まさかソウルに続いて今日もドタキャン!?と少し心配になる。「BOXオフィスに置いておこうと思った本日のチケットをお届けしたいのですが,いいですか?」ええー,何それ。そんなことがあっていいのか?と思いながら「イエス!プリーズ!!」と言ったら「では10分後に。」ということだった。ミネラルウォーターを沸かしながらソワソワと待つ。こちらでは生水を絶対飲んではいけない,とはAKさんがさっき飛行機であったガイドさんの談だそうだ。

ピンポーン,ドアベルが鳴る。ロングの黒髪の女性が立っていた。今日のチケットを渡してくださって,「よろしければお茶でも」と言ったら「いいえ,私これからゲルギエフさんを連れてもうホールに行かなければなりませんので。また後ほど」とのことだった。なんと!ゲルギーと同じホテルだったなんて。二人で少々浮き足立つ。そうこうしているうちに時間が経ち,支度して出かける段となった。

ホテルのロビーで,「あの・・」と話し掛けてくる女性がいて,なんとAKさんが飛行機であったガイドさんということであった。私達が降りてくるのをずっと待っていてくださったのだ。なんて良い方なんだろう,と驚きと感激で胸が一杯。そしてその方はお薦めのお店(フカヒレの美味しいお店,24時間営業のお粥屋さん,お茶屋さんなど)の名刺にご自分の名前を書いたものを下さって,完璧な日本語で「明日出来ればご案内したかったけど,あいにく仕事が入っているので。でも,何かあればいつでも携帯に電話下さい」と言ってくださった。台北に着いていきなりの人情にほろりとさせられた。

ホテルからタクシーに乗っていざ中正紀念公園の国家音楽廳へ。
台北の町は南国ムードむんむんである。椰子の木,湿気を帯びた風・・・。中正紀念公園は台北駅のすぐ近くにある。中正とは蒋介石の字(あざな),文字通り蒋介石の為に作られたナショナル・パークである。ホテルからタクシーで15分,120元(約500円)で到着。着いたとたん二人ともそのゲートの美しさに「おーっ!!」と声を上げてしまった。白い巨大な門が美しくライトアップされ,何とも迫力ある風景だ。
国家音楽廰(コンサートホール)と国家戯芸院(オペラシアター)が左右対称に配置され,正面の奥には高い石段の上に大理石のドームが。まあ,ちょっと違うかもしれないけど,薬師寺式(東塔・西塔・金堂)の伽藍配置のようなイメージだ。二つの建物は伝統的な中国式建築,壁面はガラス張りで中からシャンデリアの照明がことさら美しく見えた。ホールとシアターの間の石畳に立つとなんだか不思議な「気」のようなものを感じた。夜空を見上げると,吸い込まれそうな空間の中にふわふわ浮かんでいるちっぽけな自分自身がいるような・・・こんな雰囲気の中でワディムだって特別な思いを抱くに違いない。今日の演奏はきっと良いものになるだろうという確信のもと,ホールに入った。30分前に開場したが,会場内部にはまだ入れないのでプログラム(200元:約800円)を購入。もちろん中国語で読めるわけないが,AKさんと内容を推測しながら読んで盛り上がっていた。香港(広東語)でレーピンは「雷比」,台北(北京語)では「雷賓」である(なんだか北京語の方が待遇がいい・・?)。ちなみにゲルギエフは葛濟夫。何だか日本人の名前のようだ。

15分前にやっと中に入れたが,席を探しながらちょっとビックリしたのが,席番号だ。「2樓」とあったので2階席かと思ったのに実際は1階席だった。まあ,地上からは2階だし,と納得してみた。しかももっと驚いたのは隣同士の席が1つとびの番号になっている。11,13,15・・・と全部奇数だ。でも,列は1,2,3,4となっていた。ミステリー・・・・台北の人は奇数にこだわるのか!?まあ,とにかくAKさんと私は1つ飛びの番号ではあるが隣に座ることが出来た。
そんなこんなでやっと開演となった。キーロフの団員がクールな表情で入場。意外と 若い団員が多くて,美男美女がちらほら(奥のほうにチャイコフスキーのそっくりさ んもいたが)・・・特にオケ前方のヴァイオリン奏者の女性達はホントに美人。そこ へゲルギー登場。上はチャイナ風の紫紺のシャツ(何か着倒していそうな感じが味),黒のパンツだった。私は初ゲルギーであったが,友人が大ファンなので何とな く身近に感じてしまった。

「白鳥の湖より〜情景とワルツ」一瞬にしてチャイコフスキーの世界。甘美で優雅, そして清らか。あの,見た目極めてワイルドなゲルギーからこういう音楽が奏でられ るとは・・・何だかミスマッチな気がするけど,世界中を熱狂させるだけある人だ なぁと納得。
しかし,私の頭ははっきりいってempty。次に来るチャイコンに向けてただただ時間 を過ごすだけだった。

そして「チャイコン」。ワディムがいつもの黒スーツに身を包み登場した。ゆったり と穏やかなイントロに続いて,ヴァイオリンソロ。彼の音色は輝かしい白光色の光の 束と化し,包みこむようなキーロフの音色とともに空高く昇華していった。キラキラ と音の粒子を振りまきながら・・・・なーんていくら頑張って美しい言葉を尽くして もその素晴らしさは表現不可能。ワディムは私の中で完全に透明人間となり(涙のせ いで見えなくなったのかも?),チャイコフスキーの音楽はもとより,チャイコフス キーが神から受けた霊感そのものを感じてしまった。10数年前,ワディムを初めて 聴いたときの予感はこれだったんだ・・・・と満足感に浸る。ワディムとは長いお付 き合いなので(おいおい)彼の演奏を聞いて感じることはかなり主観的かつ独特に なってしまっているため簡単に説明できるものではない。ただ,あの素晴らしい音楽 にすっかり心が浄化された気持ちになった。これでずーっと浄化されてれば言うこと ないんだけど。
台湾の聴衆は熱狂的でストレート。女性だって「ブラボー!」と叫びまくっている。 何度も舞台に出てきたワディムはお約束の「ヴェニスの謝肉祭」を披露。今夏一緒に ツアーしたオケの伴奏も心得たもの。例のごとくの妙技で一層のアプローズを受け, もう一曲「イザイの無伴奏ソナタ4番」を披露した。このアンコールで少し気分を落ち着ける事が出来た。じゃなかったら泣き通していたかもしれない。休憩中,はるばる日本からやってきた私達は万感の思いで「最高でしたね!」「あれが世界一じゃなくて何が世界一なんでしょうね」と話し合った。

後半の「チャイ4」はさすがの一言。一糸乱れずピタっと息のあったオケの演奏,最高潮に盛り上がりながらも上品で余裕と風格を忘れないキーロフの演奏は,一生心に残るだろう。
その晩,まだ夕食を取っていなかった私達はホテルに戻り,バーで祝杯をあげつつ軽く食事をした。もう最高の気分!

10月12日(土)快晴

本日は台北市内観光と,夜は昨日と同じくコンサートを聴きにいくことにした。午前 中は故宮博物館,午後は展望台に登り,食事や買い物などをしようということになっ た。昨日ガイドさんに教えてもらったお店を,ホテルのコンシェルジュに頼んで地図 に印をつけてもらった。
まずは24時間営業の朝粥屋さんだ。場所がわかりにくいので,ホテルからタクシー に乗る。この辺だ,と降ろされるがお店が見当たらない。うろうろしていると英語を 話して道を教えてくださる男性がいてメモを渡すと道を書いてくれた。台北では筆談 ができるから便利だ。でも,なんだか違うお店の名前を書いてないかい・・・・一応 教えてもらった方向に歩き出すが,ドラッグストアで日焼け止めを買うついでにレジ の係のお兄さんにもう一度聞いてみる。そうすると,その人が表まで出てくれて「あ そこだよ」と教えてくれた。無事目的のお粥やさんに入る。数十種類のトッピングが 並び,ビュッフェのようにお皿にとっていくスタイル。入ると日本人と分かってくれ て,他の日本人観光客のガイドさんやお店の人が「こうやってとるんだよ」と教えて くれた。朝からお腹一杯・・・これで一日もちそう。

故宮博物館のある士林まで地下鉄に乗る。朝粥屋さんの駅から3つ,20元(約80 円)で乗ること約15分で着いたがずいぶん郊外まで来てしまった感がある。そこか ら博物館行きのバスに乗ってめでたく故宮へ。全部見たら3日以上かかるという広大 な博物館だ。高い城壁の上に博物館があり,やはりここでも「おー!」と叫んでし まった。中に入り,彫刻から見ることにする。有名な翡翠の白菜,自然石でできた豚 の角煮そっくりの石などお目当てのものをささっとチェック。側にいた日本人観光客 のガイドさんの解説を盗み聞き。あとはやはり陶器だ。マイセンなどの絵にも中国風 のモチーフがあるけれども,どれも技が繊細で,全部素敵に見えてしまう。陶器が好 きな人にはたまらないだろうな・・と思いながらギフトショップへ。カードなどを見 ているとロシア語が聞こえたので,振りかえるとキーロフの団員と思われる人達が 入ってきた。「昨日は素晴らしかった,今晩も期待していますよ!」と念を送ってみ た。

ちょうどお昼時まで博物館で時間を過ごし,中心街に戻ることに。しかし,ボーっと バスに乗っていたら地下鉄の駅を乗り越してしまった!台北のバスは車内アナウンス も停車の表示も出ない。ガイドには「初心者にはお薦めできない」とまで書いてある ・・・一瞬,どうしよう〜・・・と不安になった。でも,方向は間違っていないの で,前の席に座った学生風の女の子達に英語で「乗り過ごしちゃったんだけど,どこ か地下鉄の駅で止まります?」と聞くと「西門駅,私達も降りますよ」とのこと。目 的の駅ではないけれど,バスで中心街まで来れたのでよかった。このトラブルでAK さんと話したのが,日本があまりにも至れりつくせりなのだということ。バスだって アナウンスや表示があるし,「なお,急ブレーキに備えてつり革等にしっかりおつか まり下さい。」なんて言うこともある。甘やかされているっていうのを認識しなくて は海外では生活できない,と思った。

降りると目の前は一変して都会の雰囲気。休日なので人通りも多くにぎやかだ。タ ワーレコードを発見したので中に入るとかかっている曲はAiko。日本の歌手のポ スターもたくさん貼ってあって,こちらのタワレコにいるような錯覚に陥る。何かク ラシックの雑誌がないかと探すが,「レコ芸」や「クラシック名盤○○」といった日 本の雑誌や「Strings」などがあっても台湾版の雑誌は見つけられなかった・ ・・残念。CDを見てもさほど安いと思わなくて購入なし。

昼食にAKさんが例のガイドさんに教えてもらったフカヒレの美味しいお店に向か う。本当は今晩行こうと思っていたけれども,コンサートにいくことにしたのでラン チが出来れば行って見ようということになった。電話していこうと思ったが、コイン 式の公衆電話がみつからずいきなりタクシーに乗って行って見る。案の定「休憩中」 で店内は真っ暗だった。中から少し日本語を話す女性が出てきて,「今は休憩中で5 時からの開店になるし,それにうちはコースしかないので時間がかかります」という こと。そうか,ではコンサート前にも無理だし,後でも遅くなってしまうから断念 か,と思ったら「お腹,空いてる?」と聞かれたので「はい」と答えた。「じゃあ, どうぞ」とその女性は店の照明をつけて,なんと私達を入れてくれたのだ!ええええ ?マジで〜!?私達はたった二人でゴージャスなレストランでコースを食べる破目に なった。店の真ん中でBGMまでつけてもらい,真昼間からコース料理である。あま りにアンビリーバブルなことで,二人言葉を失いかけたがお薦めのコースを頼む。食 事はさすがに昼間から重たいものだったが,味は日本人向けに研究されているらし く,本当に食べやすく美味しい料理だった。「台湾に来たらこのお店は絶対お薦めよ ね」「ワディム達にも教えてやりたいですね」などと話も弾んだ。フカヒレも海老も 美味しかったけれども,蓮の実入りのおこわが来た時「少し多いかも・・」と思った ら,「持って帰りますか?」と容器に入れてくれた。ホントになんていうホスピタリ ティなんだろう・・・と感激してしまった。

今晩の夜食を手にレストランを出る。次に向かうのは三越の上にある展望台,地上4 6階までエレベーターで上る。360度台北市内を見渡すことができ,絶景を堪能。 コンサートの会場である中正紀念公園も見えた。「今晩も行くよ〜」と心の中で呼び かける。
その後,タクシーに乗りホテルに戻るついでにホテル近くのお茶屋さんに寄ることに する。これも例のガイドさんのお薦め。純粋な喫茶店ではないけれど,店内で日本語 堪能な店員さんがお茶の作法を教えてくれて,商品の説明を受けた。烏龍茶,ジャス ミン茶,プーアール茶・・・どれも美味しい。こちらの硬水で飲む中国茶はやはり絶 品。烏龍茶とジャスミン茶を買おうとレジに並んでいたら、なんと例のガイドさんが お客さんをつれてお店にいるではないか!なんていう偶然。その方は今日私達が行く かも知れないことを前もってお薦めくださった数軒のお店に連絡をしてくださってい たとのこと。ああ,それで休憩中のレストランも開けてくださったのかも・・・と大 感謝。本当にこの方のお陰でこの旅がどんなに充実したことか。

お茶屋さんから歩いて,ちょっとしたデパートに寄り買い物をしてホテルに帰る。今 のところ,旅は順調過ぎるほど。コンサートまで2時間ほど余裕があるので,コー ヒーを飲んだりしながら部屋でゆっくりと過ごす。今日はワディムの演奏がないので ゆったりとした気分で行くことができる。開演時間は7時45分と日本より遅め,7 時に出れば十分だ。
時間が来たのでタクシーに乗り,昨日と同じ中正紀念堂へ。今日のメインはピアノコ ンチェルトとチャイ5である。開演を待っていると,ワディム夫妻が入ってきたので 皆の視線が集まる。私達の席とは遠かったけれど,ワディムと同じコンサートを聞け るなんて,とても幸せだった。

「スラブ行進曲」と「眠りの森の美女から全景とワルツ」ゲルギーのパワー炸裂であ る。聞きながらふと昨日のワディムの幻が目に浮かび,涙ぐみそうになる。昨日,あ そこで彼が行ったことは奇跡だった・・・・
次はお待ちかねのピアノコンチェルトだ。ピアニストはウラディミール・フェルツマ ン。初めて聞く人だけれども,「イングリシュ・ペイシェント」のレイフ・ファイン ズ+リチャード・ギア+チャイコフスキー・・といった人で,AKさんはゲルギーに すっかりほの字だったけど(あの汗と歩き方が男らしくて魅力らしい),私はむしろ ピアニストのほうが好みだった。ピアノはベーゼンドルファーで,なんと彼は弾く前 にピアノがちゃんと固定されているか確かめるように2,3度ピアノを引っ張った。 弾く前にピアノを引いた人って初めて見た・・・が,演奏を聞いたらそりゃ,確かめ て当たり前。オケと添うように演奏するワディムとは違って,この方は真っ向勝負, 強引かつパワフルな演奏で聴衆を魅了。このコンチェルトがいかに体力勝負かを感じ させられた。

休憩中,コンサート後のサイン会のお知らせが流れた。日本ではCD購入者のみ,と いうのが多いけれども,特にそうじゃなくて,皆にサインしてくれるようだ。ゲル ギー,ワディム,フェルツマン3人のサインがもらえるとのこと。なるほど,それで ワディムも今日居たんだと納得。後半このフェルツマン氏はワディム夫妻と一緒に客 席に入ってきて,大喝采を浴びていた。
それからその後の「チャイ5」の素晴らしいこと。ゲルギーは完全にオケを一つの楽 器として歌を引き出していて,とてつもないカリスマ性に酔いしれてしまった。2日 間どっぷりとチャイコフスキー漬け・・・しかもキーロフの最高の音色。最高に贅沢 な2日間だった。

ホテルに帰り,昼間のおこわと紅茶で夜食を取る。テーブルにあったフルーツで,今 日たくさん食事した私達にはちょうど良い量だ。
それから縁あって一緒にこの台湾旅行をすることになった女性二人で真夜中まで話込 む(内容,それは内緒・・・・)。

10月13日(日)快晴

朝5時45分起床。なぜこんなに早いかというと,朝の太極拳を見に中正紀念公園に 行く為だ。昨晩寝たのが2時ごろ・・・なので確実に寝不足だが,外はだんだん明る くなってきて,なんとも爽やかな朝。今回天気は3日間とも快晴。日本で調べてきた 予報では曇りか雨だったので,なんともラッキーだった。適当に支度して6時にホテルを出る。
朝の中正紀念公園もやっぱり美しい。私達はこの旅行で毎日ここに来たことになる, 思い出の場所だ。石段を上り中央のドームから太極拳をする人達を見たり,6時半の 国旗掲揚を見ながらしばしいろいろな思いに浸る。国歌もはじめて聞いたけれども, 何となくワーグナー風のマーチみたい・・と思った。

その後,公園を少し歩いて,AKさんがガイドで目をつけていた小籠包と豆漿(豆 乳)が有名なお店に向かう。だいぶ私達も方向がしっかりしてきたようで,誰にも道 を聞かないで目的地についた。小さな店内に入ると,地元の人ばかりが食事をしてい た。ここも好きな物を思い思いに取るビュッフェスタイル。野菜や餡が入った小籠包 や万頭などがいろいろあった。日本人と分かったようでお店の人が親切に取り方など を教えてくれ,万頭が一人では大きいだろうからと言って,二つに切って二人のお皿 に取り分けてくれた。台湾に来てどのお店の人も親切だったし,地図を広げていると すぐ通りすがりの人が道を教えてくれた。本当に台湾の方の温かさには感激してし まった。

地下鉄でホテルに戻る。昼間までいられるホテルなので,チェックアウトまでゆっく りと荷造りをした。
リムジンバス乗り場に向かう。しかし,この乗り場は木に小さい看板がくくりつけて あるだけのような所で、最初乗り場を探してうろうろしてしまった。しかも,植込み の脇にバスをつけるので,乗り込む時まともに土を踏んでしまうのはまいった。
1時間弱で空港に到着,AKさんは私より1時間近くフライトが遅いので,時間をつぶすのが大変ではと申し訳無くなってしまった。チェックインを済ませ,あまった台湾元を使おうとお土産を見る。蒋介石のボールペンなどを買った(蒋介石グッズは中国本土ではぜーったい手に入らないので貴重らしい。中国好きの友達がたいそう喜んでいたので,もっと買ってくればよかったと思った)。搭乗口近くのソファでしばし休むと,やはり聞こえてくるのは2日前のワディムのチャイコン。一人胸が熱くなりまた涙ぐんでしまった。

搭乗時間になり,飛行機に乗りこむ。今回,行きも帰りもANKは空席が多い。3人がけの通路側,隣の2席は空席。早速映画をつける。帰りは「ブリジット・ジョーンズの日記」を選んだ。行きに続いてまたヒュー・グラントだけど,この映画ではコリン・ファース演じるMr.ダーシーがお気に入り。機内食を食べながら,最後まで寝ずに楽しんだ。

成田到着後,2時間弱で帰宅。ちょっとくたびれた私は荷解きもそこそこにお風呂に入り,そのまま就寝。神様,すべてが幸せな今回の旅をどうもありがとう!! お疲れ様でした〜!!!

piyata


Uploaded by AK, October, 2002

[Home]