最終更新: 2005年9月25日 英語版もご覧下さい。来日公演レポート(99年6-7月) 香港公演レポート(2000年4月) タングルウッド音楽祭レポート(2002年8月)
チャイコフスキー音楽祭・台北(2002年10月) シンシナティのシベリウス(2003年3月) ニューヨークのレーピン(2003年12月)
2004年来日公演(2004年9-10月) New!
2004年来日公演レポート
- 協奏曲:シベリウスのヴァイオリン協奏曲(アラン・ギルバート指揮スウェーデン王立交響楽団
- リサイタル:ピアノはニコライ・ルガンスキー 掲示板ログより
2003年12月13日ニューヨークのレーピン
この日はほぼ同じ時刻に始まった2つのコンサートに出演するという記録的な日でした。おまけに最初のコンサートでは弦切れのハプニングが・・。上のリンクからどうぞ。
2003年12月13日
@エイヴリー・フィッシャー・ホール(ニューヨークフィル/ジンマン)
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リンカーン・センター前の広場(撮影:Tさん)
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
指揮:デイヴィッド・ジンマン
ニューヨーク・フィルAカーネギー・ホール(キーロフ/ゲルギエフ)>
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(第3楽章のみ)
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
キーロフ・オーケストラ
シンシナティのシベリウス
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シンシナティー交響楽団(CSO)の本拠地 Music Hall
2003年3月28日-29日 (shopgirl さんより) シンシナティのシベリウス
2003年3月28、29日 (シンシナティ)
プログラム:
Erkki-Sven Tuur: Exodus
Sibelius: Violin concerto
Shostakovich : Symphony No.10ヴァイオリン:ワディム・レーピン
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
シンシナティ交響楽団
チャイコフスキー音楽祭・台北
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中正紀念公園・大中至正門2002年10月11日(国家音楽院)
2002年10月11日-13日
プログラム:
チャイコフスキー:「白鳥の湖」組曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー:交響曲第4番ヴァイオリン:レーピン
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
キーロフ・オーケストラ
タングルウッド音楽祭レポート
2002年8月16日-18日 (shopgirl さんより) タングルウッド音楽祭2002
2002年8月16日(セイジ・オザワ・ホール)
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Shed:音楽祭のパンフレットより
プログラム:
チャイコフスキー:弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」
(レーピン+ボストン響メンバー)2002年8月18日(クーセヴィッキー・ミュージック・シェッド)
プログラム:
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 Op.26
ヴァイオリン:レーピン
指揮:ネヴィル・マリナー
ボストン交響楽団私は、今年の5月からアメリカオハイオ州に住んでいます。
夏のシーズン中、マサチューセッツ州西部のレノックスで Tanglewood 音楽祭が行われますが、今年もレーピンさんはこれに参加しました。私は、8月17日と18日、彼の演奏を聞きに Tanglewood に行ってきました。文字通り森の中に、Koussevizky Music Shed と呼ばれる大きな会場と、これよりは小さい Seiji Ozawa Hall の2つの屋外コンサート会場があります。屋根付きの座席以外に芝生席があって、自然の中でピクニック気分で音楽を楽しむことが出来ます。大きな会場では主として、ボストン響が演奏するメインのコンサートとそのリハーサルが、Ozawa Hall では若い演奏家のコンサートや、チャンバーミュージック等の小さなコンサートが行われます。レーピンさんは、8月16日、Ozawa Hall でチャイコフスキーの弦楽6重奏を演奏しましたが、このHallでの出演者、曲目の大部分は、Tanglewood に来てからでないとわからないので、彼が16日も演奏していたとは知りませんでした。
8月17日と18日の Shed での内容は、マリナー指揮で、モーツアルト 交響曲第35番 Haffner、ブルッフ バイオリン協奏曲、チャイコフスキー 交響曲第3番 Polish で、17日10時半からリハーサル、18日14時半から本番でした。土曜日だけ特別リハーサルの前に pre-rehearsal talk があって、楽団の人が作曲家、曲、ソリスト等についての説明をしてくれました。実際の音を聞かせてくれながら、またユーモアを交えたこのトークは面白かったです。
リハーサルは最も時間のかかるチャイコフスキーから始まり、1時間位で終わりました。休憩をはさんでいよいよレーピンさんの登場です。黒ズボンに薄緑色の5分袖シャツで現れました。リラックスした雰囲気で、自分の演奏が無いときは、指揮者と一緒にリズムをとったり、暑いのかシャツをパタパタさせたりして、終始にこにこしていました。でも自分の演奏が始まると真剣な顔つきになって、演奏に集中していて、この対比がとても可笑しかったです。演奏自体は大変情熱的で、まるで聴衆の魂を掴んで揺さぶるような感じで、なおかつ特に第二楽章などは人間的な温かみを感じさせる本当に素晴らしい演奏だったと思います。終わったときはリハーサルにも拘わらず、会場にいた多くの人が立ちあがって拍手していました。リハーサルはやり直しも無く、1回で終了でした。本当はもう少し聴かせて欲しかったのだけど。。。そのあとのモーツアルトはある部分を何回かやり直したりしていましたが、私は放心状態で殆ど耳に入って来ませんでした。
本番の18日は、気温が95°F(35℃)まであがり、そのうえ会場は人いきれで大変蒸し暑く、屋根付きの客席でさえ30℃以上あったと思います。オケの人も白いブラウスの袖をまくって演奏していました。果たしてこんな高温多湿の環境で大丈夫かと心配になってしまいました。現地の人の話によると、このあたりは90°F(約32℃)以上になることは殆ど無いそうです。モーツアルトが終わったとき、舞台の裾でにこにこしながら音合わせをしているレーピンさんの姿が見えました。服はいつもの黒の上下です。隣に座っていた女性が "Wow! He is in black! Terrible!" と驚いていました。演奏が始まって最初はやはり気温と湿度のせいかバイオリンの響きが今ひとつで、レーピンさんもなんだか弾きづらそうにしているように見えましたが、第二楽章に入ったあたりから、音が良く響いてきました。第三楽章はその勢いで駆け抜けた感じでした。こんな環境で長袖の黒い服を着てブルッフを演奏しているせいでしょう。すごい汗で、汗が目の中に入っていたみたいでした。それでも演奏はやはりエネルギッシュで、リハーサルのときと同様に観客から大きな歓声をあびていました。しかし残念ながら、アンコールは無しでした。
チャイコフスキーの第3番は滅多に演奏されないらしいですが、とても印象的でした。帰りに立ち寄ったボストンのタワレコでチャイコフスキーの交響曲全集を買って帰りました。pre-rehearsal talk によると、これが Polish というニックネームがついているのは、ポロネーズからフレーズを取ったとされる、"エフゲニーオネーギン"と、第3番の最終楽章が良く似ているからだそうです。
Ozawa Hall では、ミュージックスクールの学生たちによるコンサートが行われていましたが、これも若い力と将来性を感じさせるなかなかの演奏でした。これらは直前にチケットを買って中に入るようになっていますが、これがたったの10ドルとは、得した気分になりました。
2日間で4つのコンサートを聴いて、すっかりリフレッシュすることが出来ました。海外で1人暮らしをしながらの勤務は大変なことも多いのですが、何だか活力が沸いてきたようです。
shopgirl
香港公演レポート
2000年4月7日-8日 (piyata さんより) 成田から4時間、はるばる香港までレーピンのコンサートに行ってきました!香港ならば1日だけ会社の休みを取れば週末を利用して十分旅行が楽しめますし、日頃のストレスをレーピンのヴァイオリンで清算できるならやはり行っておきたいな、ということでコンサート&グルメ&買い物と充実した旅でした。
コンサートの行われた香港文化中心は香港は九龍半島のチムサーチョイ、目の前に香港島の摩天楼が広がり、海に面した現代的な素晴らしい建物でした。ここからの夜景は、ため息がでるほどきれいです。ホールは2階席までしかない小〜中ホールという規模でしたが、席と席の間に余裕があり、明るくとても雰囲気の良いホールでした。
余談ですが、広東語でヴァイオリンは「小提琴」、レーピンは「雷比」と書くんですね。(ちなみにブルッフは布魯嚇)不思議な感覚に襲われましたが、日本語で「レーピン」と書かれてもご当人はやはり違和感を持つのでしょうか。そんな発見も楽しい香港コンサート鑑賞ツアーでした。
雷比−布魯嚇熱狂(Repin-Wild about Bruch!)
2000年4月7日、8日(香港文化中心)
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写真は 香港フィルのウェブサイトより
プログラム:
メンデルスゾーン:シンフォニア No.10 ロ短調
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 ト短調 Op.26
フランク:交響曲 ニ短調ヴァイオリン:レーピン
指揮:デヴィッド・アッサートン
香港フィルハーモニー管弦楽団この日、最初の演目はメンデルスゾーンのシンフォニア。指揮台がなくなぜかコンサートマスターの椅子が2つ重ねてあって、どうしてだろうと思っていたら、弾き振りのコンサートマスターでした。後ろからもよく見えるように、という配慮なのでしょうか。 このオケは若手奏者が多くて、またメンバーも国際色に富んでいました。半分くらいはアジア人ではないような。曲が始まって、あまりのアンサンブルの美しさに息を呑んでしまいました。コンサートマスターも身を乗り出さんばかりの熱演だったし、そういう「みんなでアンサンブルしよう!」という意気込みがダイレクトに伝わってきて、ほんとに素晴らしいオケだと感激しました。
そして、メンデルスゾーンのきらきらした純粋な音楽の世界に十分浸りながらお待ちかねのブルッフ!例の如く黒いスタンドカラーのジャケット×フレアパンツの衣装、髭もそってあって、すっきりした表情でレーピンが登場してきました。「わぁ、久しぶり....」とちょっと感激。今回は大好きなブルッフとあって、穏やかな気持ちで曲が始まるのを待ちました。 1楽章、レーピンの研ぎ澄まされたドラマティックなヴァイオリンと、素晴らしい香港フィルの掛け合い。ヴァイオリンソロの後のtuttiの部分で管弦打がドカンと来たときはあまりのジャストなタイミングに驚愕してしまいました。
今回のレーピンの音色はものすごく骨太。最初からフルパワーでオケの大音響にも負けずとにかく頑張っていました。レーピンも自分の演奏がない部分では神妙な顔つきで目を閉じたりして、硬派な世界に没頭していたようです。1オクターブの重音の下降形の部分、しびれました!2楽章は(私はとくに好きだった!)、年代ものの録音を思わせる艶消しの音色でフワーっと始まり、後半に向かっての物語の作り方に感動して思わず涙。目を閉じて「うわー、いいなぁー!」と単純にそう思いました。1日目は2楽章の最初のほうで惜しいことに1つだけ音をかすっていました。そうしたら彼は少しだけ笑って、今まで以上に集中した演奏をしてくれました。たとえ転んでもすぐさま立ちあがるレーピンの強さをやっぱり実感しました。そして2楽章で感傷的になった心を3楽章が速くて心地よいテンポで元気にしてくれました。ほんとにブルッフって物語性があって、ドラマチックで素敵ですね。1曲でなんとも美味しい!ほんとに「はー、素敵(^^)....」連発、感動しっぱなしでした。
2日ともブルッフが終わり拍手が鳴り止まず、私も足をばたばたさせて、頭より高いところで拍手しました。あちこちでブラボーが聞こえましたし、オケの団員も足を踏み鳴らしていました。「あたたかいオケだわー...」とここでもほろりとしました。レーピンは結局両日とも5度舞台に出てきて、例の如くヴェニスの謝肉祭をやってくれました。 もう彼のヴェニスの謝肉祭は何度か聞きましたが、毎回微妙にヴァージョンが違うんです。とくに2日目のアンコールの「ヴェニス」の冒頭には華やかなソロ・ヴァイオリンのイントロがついていました。
1日目のアンコールはヴェニスのほかにバッハの無伴奏パルティータ2番のサラバンドより、2日目はバッハのようなもう少し現代風な曲で、イザイかな?とも思いましたが良く分かりませんでした。とにかく今回香港でのレーピンのブルッフは心からスカッとしました!晴れやかな気持ちで、香港をあとにすることができました。次回の来日は来年12月ですね。レーピンは30歳になっています。どんな演奏を聞かせてくれるのか、いまからワクワクしています!
piyata
更新: 1999年7月12日 1999年来日公演レポート
日時 内容 レポーター 99年6月24日 デュオ・リサイタル/東京オペラシティー 宮田 妙さん 99年7月2日 チャイコフスキー協奏曲/敦賀 Mariko さん 99年7月7日 トリオ・リサイタル/すみだトリフォニーホール 宮田 妙さん 99年7月9日 チャイコフスキー協奏曲/東京オペラシティー 宮田 妙さん
6月24日 東京オペラシティー (宮田 妙さんより) 私はヴァイオリンに関してはまったくの素人なのですが、12歳のとき初めてレーピンの演奏を聞き、子供ながらに心から感動し、それ以来彼のヴァイオリンの音色が私にとって唯一無二の美しいヴァイオリンの音色です。
天才少年という冠をかぶせられて、その早熟な技術に驚嘆するも、真に美しい音楽の心、純粋に歌う心をもっている人だと感じました。
私も子供ながらに直感的に一生この人のファンだろうと確信したものです。
それからはや12年が経ち、いろいろな体験を通して技術も音楽性も大きく成長し、洗練された大人の音楽家となったレーピンの、よい意味で開き直ったステージを私も何年かぶりにたっぷりと堪能しました。そして今もまだその余韻に浸り、レーピンの音楽の世界から抜け出られていません。
私はヴァイオリンや楽曲についてさほどの知識もありませんし、ましてや表現する美辞麗句も兼ね備えてはいません。 以下はあくまでも素人の私が感じたままの率直な感想です。
レーピン、ベレゾフスキー・デュオ・リサイタル
1999年6月24日(木) 東京オペラシティコンサートホール
ヴァイオリン:レーピン
ピアノ:ベレゾフスキー
グリーグ:SONATA NO.3 ★★★★★
何という成長ぶりだろう。グリーグのCDを出してくれないだろうか・・・?本当に素晴らしくエキサイティングな演奏だった。
94年にグリーグの3番をサントリーホールで聞いたけれど、ここまで感動しなかった。大局的に曲を捉える力、構成力がダントツに良くなった。本当に、怖いくらい真摯で、「もしかして機嫌が悪いのかしら」と思うくらい、シリアスで白熱した演奏だった。
レーピンがガンガンしかけて、ベレゾフスキーもそれに応えて息も詰まるような熱演。とくに1楽章のクライマックスにかかる盛り上がりは、出だしの音がちょっと大きくて、大丈夫だろうかと思ったが、「えーい!いってしまえー!」という私の期待を裏切らない豊かな音量。ベレゾフスキーとも息が合って大変よかった。
それから楽器が変わったせいなのだろうか、弾ききったあと、空間にすぅっと、縦に切れ目がはいるような感じはこの世のものとは思えないほど。
このグリーグがこの夜のステージで私が最もよかったと思う演奏だ。興奮して胸がドキドキした。
ラヴェル:SONATA ★★★
私に言わせるとすこしラヴェルぽくない感じ。
ルーブルでの(ブルースのみだったけれど)演奏のほうが私は好きだ。
音質が明るく厚みがあって、良いのだけれども..心をこめすぎるととうまく弾けないのがフランスもの。なんていっても印象派ですから。さりげなくクールに弾いている演奏のほうが私は好き。レーピンはグリーグのテンションをそのままラヴェルまで持ちこんだ感がある。
それはベレゾフスキーの熱演のせいもあるかもしれないけれど...。私としてはピアノはもっと、なんとなくモヤモヤと弾いてほしい。全体的にピアノの音量が大きいのだと思う。デュオリサイタルということもあり、かけあいの妙を出したい(しかも聴衆も期待しているし)気持ちは分かるが、ピアノはもっとおさえて、和音の雰囲気を出してほしかった。<INTERMISSION>
ブラームス:SONATA NO.1「雨の歌」★★★★
1楽章よりは3楽章が素晴らしく、うっとりと聞きほれてしまった。 フィルターがかかったような限りなくソフトな音色。何という音色を出すのだろう。こんなしみじみとしたレーピンは初めて聞いた。
このレーピンの潤いとつやのあるトーンは理想的なブラームスのトーンだ。
中低音など、この温かみのある音色は本当に魅力的だ。チャイコフスキー:Melody,Valse-scherzo ★★★★★
これは絶品でしょう。レーピンもチャイコフスキーは日本のファンへのサービスだと言っていたが、何度も弾き込んだレパートリーとあって、肩の力が抜けていて素晴らしかった。レーピンの歌心が知れるレパートリーの一つ。しかし、レーピンの歌心はアーティキュレーションにくせがなく、ルバートも心地よく、とても素直だと改めて実感した。それなのにやはり堂々たるソリストの演奏は、彼の特有の音色のせいなのか。アンコール:ベニスの謝肉祭、etc.2曲 ★★★★★
レーピンは小品がうまい。
これぞ真骨頂というかんじで、慣れたものだ。思わず「よっ大統領!」と声をかけたくなる楽しい演奏。しかし、単なるヴァイオリン弾きと一線を画した品のある演奏。「Tutta Bravula」でも彼の小品のうまさは光っていた。「ヴァイオリンっていいなぁ」と思わせてくれる。久しぶりに彼の演奏を聞いて、痛いくらい情感が伝わってきたこと、信じられないくらい洗練されたこと、言葉に尽くすことができないほど私は感動しました。
全体的に、レーピンは昔よりよい意味で「意図的に」曲作り、音色作りができていたと思います。しかしそこで職人芸を感じさせず、生っぽい、みずみずしいものを感じさせてくれるのはやはり彼が若く、そして真の芸術家であるということの証明なのでしょう。彼はクレッシェンドするときの起点の音を小さめに設定することなく、たとえばp<fならばmfからffffくらいまで平気でガンガンいってしまう。その器の大きさといったらやはり規格外といわざるを得ないかと思います。そして私はそこが彼のヴァイオリンのたまらない魅力だと思うのです。また、彼は生来の、燦然たるソリストなのだと感じました。同様にソリスト然としたベレゾフスキーに果敢にしかけて、なんとか主導権を握ろうとする。そして決めるところは決める。プロなんだと実感しました。
とにかく私が聞いたレーピンのコンサートの中で最高にエキサイティングな夜でした。宮田 妙
Tae Miyata
7月2日 敦賀 (Mariko さんより) チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン:レーピン
指揮:フェドセーエフ
オーケストラ:モスクワ放送交響楽団はじめまして。わたしは福井県のヴァイオリン下手の横好きプレーヤーです。
今夜はレーピンのチャイコフスキーのコンチェルトのせいか興奮で目がさえてしまって、夜更かししています。「レーピン」で探索して、こちらのページにきました。
こちらでは敦賀港が開港100年ということで、敦賀市文化センターではめずらしく大きなコンサートが催されました。モスクワ放送交響楽団、指揮フェドセーエフ、独奏レーピンという顔ぶれです。いつもお客の入らないことで有名な田舎のホールは、今日は満席。それ以上に、100人のオケには舞台が小さすぎるぞといった感じでしたけど、「1812年」でにぎやかに演奏会がスタートしました。
2曲目がチャイコフスキーのコンチェルト。レーピンというと17歳のときの姿が印象ぶかいですが、今、いいですね。背が高くがっちりした体格、男っぽくなった顔、堂々とした仕草。音もあんなデッドなホールなのにひときわ通る音で、「やるなぁ!すごいなぁ。」と思いました。あれ、ストラディヴァリウス協会から貸与されているとかいう『Ruby』での演奏だったんでしょうか。とても、よく通る、透き通った、伸びのある、明るい、いい音でした。チャイコフスキーは実にエネルギッシュで迫力に満ちた、しかも、安定感のある演奏で、一楽章の終わったときに大拍手が起こるほどでした。ナマで聞けて本当によかった!そんな演奏でした。
レーピンってすばらしいプレーヤーですね。
7月7日 すみだトリフォニーホール (宮田 妙さんより) 当初はトリオには行かれない予定だったのですが、デュオがあまりにも素晴らしく、どうしてもトリオの演奏も聞きたいと思い、約束をキャンセルして聞きに行って来ました。でもその甲斐ありました!2曲とも亡き人に捧げられた曲とあってか3人とも黒の一色の衣装で登場。3人とも大きいのですが、ヤブロンスキーはとにかく巨漢でチェロが小さく見え、でもサンタクロースのようなかわいらしい感じの人でした。ベレゾフスキーも小顔ですが体はとても大きく、3人の中であのレーピンが一番スリムに見えたのは私だけだったでしょうか。大男3人のエネルギーがぶつかりあった白熱のトリオでした。
1999年 7月 7日(水) すみだトリフォニーホール
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
ピアノ:ボリス・ベレゾフスキー
チェロ:ドミトリー・ヤブロンスキー
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲 第2番 ★★★
まったくの私見だけれども、チェロのヤブロンスキー、ピアノのベレゾフスキーは疲れているのか何となく精彩を欠いているように思えて、「ほらほら、がんばって!」と応援してしまった。その中で気を張って、アンサンブルをひっぱっていたのはレーピンだった。あたかもサッカーのナショナルチームのように、彼の腕にキャプテンマークの黄色い腕章がついているように見えた。ヤブロンスキーに関して言えば艶消しの音色で、レーピン、ベレゾフスキーの中にあっては少々控えめな存在だった。もっとやりたい放題やってしまってよかったかもしれない。しかし、アンサンブル能力は抜きん出ていたと思う。テンポを乱すことはないし、だから1楽章のレーピンとのユニゾンのところはタイミングがばっちりで、厚い響きがした。ただ、レーピンとの音質の違い(楽器の違いもあるのかもしれない)が少し気になった。
ピアノのベレゾフスキーだが1・2楽章などは彼にしては押さえ気味。2楽章(私のお気に入り!)の、弦2人がポルタメントとスタッカートで階段を上っていくようなフレーズ(ソー#ファ、レード、ファ・ソ・ラ・♭シーミ、っていうところ)でピアノはシンコペーションで追いかけるスリリングな個所が、CDでは素晴らしかったので楽しみだったのだが、切れがいまひとつで残念。でも彼の大音量のピアノはやはりなかなか聞けるものではない。昔ラフマニノフのピアノ協奏曲3番をテレビで聞いたけれど、私も男になってこんなダイナミックな演奏がしてみたいと思ったものだ。
レーピンについては、曲冒頭のチェロに続いて入ってくるところで「挽歌」にふさわしい厳粛で乾いた弾き方をしていたのが特に印象的だった。本当に様々な色で弾きわけがされているのに改めて感心した。そして、抜群の安定感と大局観をもって見事にこの曲をまとめ上げた。印象的なフレーズが連続して構成されているこの曲は、ともすればフレーズをこなすことに神経がいってしまい、全体がみえにくくなってしまう(木を見て森を見ない)ように思う。そうなると聞いているほうも曲全体が見えてこないし、疲れてしまう。でも彼は通過点で無意味に熱く弾いたりしないし、ちゃんと盛り上げるべきところにマックスをもっていく。演奏効果を考えて緻密に計算している人なんだと思った。しかし、それが見え見えでいやらしくならず、あくまで自然の範囲で表現できるのが彼だ。
<INTERMISSION>
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「ある偉大な芸術家の思い出のために」
★★★★★この曲はさっきとはうってかわって3人とも素晴らしかった!チェロも朗々と歌い始め、ピアノもきらめきを増した。ロシアものをロシア人がやるとうける、というベレゾフスキーの発言や、チャイコフスキーはファンへのサービスというレーピンの発言を思い出し、まんまとそれにはまって感動させられている単純な自分が恥ずかしかったが、やはりいいものはいい!
1楽章など、ものすごいグルーブ感とエモーショナルな演奏で圧倒された。終始心臓はどきどきしっぱなし、そしてやりばのない精神状態に陥ってしまい、本当に涙ぐんでしまった。本当にデュオの時も思ったけれども、レーピンは人の感情を刺激し奮い立たせる演奏をする。彼の演奏はけしてBGMにはならない。もはやテクニックが素晴らしいとか、解釈がどういう問題じゃなく、あのピュアで美しい音、美しい歌が直接わたしの心の中に入ってきてどうしようもなく感情を湧き立たせる。「どうしてこんなに美しいの?」と思ってただただ悲しくなってしまい、泣いてしまった。そして実感したのはもはや彼には「はずれ」はないということ。どんなコンディションでも驚異的な集中力でむらのない最高の演奏をする。それは凄いことだ。
アンコールはタンゴ調の曲でしたが、大変いい雰囲気でした。でも2曲目があまりにも素晴らしく印象が薄かったです。ただ、ピアソラなどの本物のタンゴ(包丁で切ったようなリズムの切れ、テンポの「ため」、枯れた音!)に比べると、ホール効果で響いてしまうし、切れなどは今一つといったところでした。 しかし、今日の演奏は本当に素晴らしかったです。映画で涙ぐんだことはあっても演奏会で泣いてしまったのは初めての経験でした。
宮田 妙
Tae Miyata
7月9日 東京オペラシティー (宮田 妙さんより) レーピンのチャイコフスキーです!実は生で彼のこの曲を聞いたのは初めてでした。彼の子供のころのもの、94年録音のCDは愛聴していて、特に前者は数え切れないほど聞いていますが。本当に夢のようでした。おかげで、1曲目のチャイコフスキーのシンフォニー1番は演奏を聞きつつもチャイコンのメロディーが頭の中をめぐっていました。なので、申し訳ないが1曲目はほとんど何も覚えていないのです・・・・。チャイコンの後の「雪娘」より小品3曲はとっても華やかで楽しく、「これぞロシア!」という感じを堪能しました。
1999年 7月 9日(金) 東京オペラシティ コンサートホール
モスクワ放送交響楽団
指揮:フェドセーエフ
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
1楽章でわたしはたまらない気持ちで涙ぐんでしまった。ただもう嬉しくて嬉しくてたまらないのだ。子供のころから大好きなレーピン。私が中2のとき一人ではじめてコンサートに行ったのがレーピンだった。中1のときテレビでレーピンの演奏を聞き彼のとりこになり、以来雑誌・新聞の音楽欄で目を皿のようにしてレーピンの番組はないか、コンサートの予定はないか調べたものだ。そのようにして初めてレーピンのコンサートに行った中2の日、御茶ノ水のカザルスホール。素晴らしかった。その日の演奏が耳から離れず、私は一晩中布団の中でないていた。そんな思い出や、その後に行った数々のレーピンのコンサート、良くない演奏のときだってあったけれど、彼の真摯な演奏にいつも心を打たれた。
演奏家になるには例外なく気の遠くなるほどストイックな修行が課せられる。一日中楽器に向かい、それこそ盆も正月もなく、レッスンに明け暮れるのだ。まだ成長途上だった少年時代のレーピンから、私はやはりそのようなことを感じ、彼は世界一努力をしている人だと痛切に思った。そして、彼がヴァイオリンを諦めてしまわないよう、また、これからもずっと彼の演奏が聞けるよう「がんばって、がんばって」と祈るように応援してきた。
そして今回の来日である。私の気持ちをわかってもらえるだろうか。いままでのレーピンの中で最高の出来である。というより今までの成果が見事に結実したと言う感じだ。私は今回デュオ・トリオ・コンチェルトと全てのプログラムを聞いてきたが、彼の演奏にはずれはなかった。見事に安定した洗練された大人の演奏だ。
今日のコンチェルトはとても速いテンポで進んだ。そして1楽章の前半でオケとフレーズを切るタイミングが合わないところがあった。レーピンが速すぎたのだ。レーピンでもそんなことがあるのかと私は少々ひやっとしたが、さすがレーピン、次のフレーズでは彼のほうが合わせてくるのだ。いつも思うことだけれども、彼は節回しとかテンポの揺れは極々おさえて、そういうところでアピールをする演奏家じゃない。本当に周りをよく聞いている。フレーズを弾ききるときの弓にすごく集中してひとつひとつ確実に合わせようとしていた。その凄まじい集中力がひしひしと伝わってきて、私は身動きもできずただ彼を見つめていた。ぴたっと決まった瞬間、私は「やった!」と思って感動のあまり感極まり、トリオに続いてまた涙ぐんでしまったのだ。トリオのときと違い、「うれし涙」だった。
2楽章、浅い音でさりげなくメロディーを歌っていた。それが一層この曲の美しさを引き立てていたように思う。つづいて3楽章、オケも断然のりはじめ、大変速い速度でタイミングもずれることなく力強く駆け抜けていった。減衰することのないすごいエネルギーだ。
今日のチャイコンは彼子供のころの録音に近いと思った。素直でピュアな音。大人になっても昔のよいところはそのままだ。レーピンは昔からレーピンだった。本当に天才だ。
そして、演奏が終わった後の会場のわれんばかりの拍手、ブラボーの声。こんな観客の反応はみたことがない。彼は4回も5回も舞台にあらわれて挨拶をしたが喝采はなりやまず、最後には手拍子が起こり、指揮者はさがってアンコールを弾き始めた。「ベニスの謝肉祭」今回のデュオのアンコールでも演奏した曲である。なんて美しい!
これで今回の来日で彼の演奏が聞けるのは最後だった。私は心から満足してしまった。しかしあまりの満足感と嬉しさからオペラシティからの帰り道、思い出すとすぐなきそうになってしまうので困ってしまった。
とにかく私にとってこの2週間はすさまじい2週間でした。レーピンの3つのコンサートに行って、感動しっぱなしで浮き足立っていました。もうそろそろ落ち着いて地に足をつけなくては・・・。
次の来日は2年後の2001年だそうですが(待ちきれない・・・)、その時彼はどんな演奏を聞かせてくれるのかとても楽しみです。ただCDはコンスタントにリリースされそうなので当面はそれを楽しみにしています。宮田 妙
Tae Miyata