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【"THE LION KING" 観劇記 in N.Y.】

ディズニーストアとお隣の劇場です
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劇場前(おじさんが写っちゃった)!
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AUG 11(WED),1999 NEW AMSTERDAM THEATRE 8:00PM

「THE LION KING」

ニュー・アムステルダム劇場のお隣はディズニー・ストア。「ライオンキング」グッズコーナーと劇場とは開場中つながっていて、否が応でも購買意欲がかき立てられると言う寸法。さすがディズニー。劇場はこの演目のために改装されたもので内装が美しい。劇場の大きさとしては四季劇場「春」、大阪MBSと同じくらい、ただ天井が高いのと内装の色が明るいので圧迫感がない。もちろんオケ・ピットがあるけれど、パーカッションは2階の左右バルコニー席にある。私の席は前から4列目左端から2番目で(プライドロックの半分くらい見切れ)、まさしく頭上にパーカッションが打ち鳴らされて最初は少し気になっちゃいました。そうそう、オケの指揮者はメグ・ライアン似の素敵な女性!
まず思ったのは・・・四季版となんだか雰囲気が違う!なんてったってディズニー・ミュージカルなんだし、もとはあのアニメなんだし、ほとんど日本と同じなはず、と思って観劇に臨んだ訳だけど、思っていたより微妙なニュアンスが違っていた。全体的に四季版よりややコミカルで軽いような・・・。四季では「サークル・オブ・ライフ」という大テーマが前面に押し出されていると思うんだけど、NYではそれよりも、「1人の男の子の自己発見・成長物語」という色合いが濃く出ていた。シンバが傷つき、迷い、自分を取り戻すまでの、青春物語!
あと、私が感じたのはアフリカ(もしくはアジア)色ではなく、まぎれもないアメリカ的な雰囲気。英語だから当然とも言えるけど、ギャグのセンスとか・・・。シンバも親指を立てて「Yeah!」ってかんじ。
続いて各キャストについて。
ラフィキ:ラフィキがこのミュージカル全体のトーンを決めると言っても過言ではないと思うんだけど、チャキチャキした気っ風のいいオバサンみたいなラフィキ。シャーマン的な雰囲気や包容力はあまり感じられなくて、まさに下町の面倒見のいいオバサン。ズールー語の台詞は速い速い! 歌はまあまあ。
ヤング・シンバ:東洋系の男の子でした。おませさんで小生意気で、ザズーでなくても「ほんとにコイツらしょうがない」と言いたくなる困った王子様。演技と歌はこなれていたけど、ダンスはいまいち・・・(高橋くんのほうがうまいぞ!)
ヤング・ナラ:こちらもヤング・シンバといっしょにやや調子に乗っている女の子。少し動きがぎこちなかったかな。
ムファサ(オリジナル・キャストのSamuel E. Wright):素敵なパパ! 威厳もあるし、それよりも親バカぶりというか、シンバがかわいくてかわいくてしょうがないというかんじが伝わってくる。シンバとはまるで友達父子です。ザズーをからかうのも楽しそう! 早川ムファサよりずっと親しみやすい父王で、ひょっとしたらまだムファサ自身、王位について間もなかったのかな、なんて思った。
スカー:大人気! ソロのあとは大喝采で、「スカーッッ!」とかけ声も。下村スカーと野中スカーの良いところを両方もってるような素晴らしいスカー。
ザズ:すごいっす。はっきり言って明戸ザズの5倍くらい鳥さんが生きている!まぶたで演技させてたよ〜っ! このザズはアドリブのギャグが多く、よくわからなくて悔しいかった・・・。
ティモン:マペットの扱いとしては中嶋ティモンと同じくらい上手。やはり一挙手一投足に爆笑が起こってた。日本のティモンよりやや「おバカ度」が高いというか、あんまり品がないというか、アクが強くて本当にジャングルやサバンナのはみ出しモノっぽいかんじ。この日のティモン役者さんは少し太めの方で、ちょいと違和感も(だって動かしてるティモンの2.5倍くらい太い)。
プンバァ:四季版と比べてどう、というのはないけど、ティモンとの対比がくっきりしてるかな(ティモンのアクが強いから)。
ハイエナ3匹組:エド以外はやや個性がものたりないような・・・。
ナラ:う、薄い、存在感が・・・。スカーと対峙するときの第一声が弱いし、「Shadowland」もあっさり。下手なわけではないけれど、ちょっと期待はずれ。断然四季のナラのほうが素敵。
そして成長したシンバ:オリジナルキャストのJason Raize。実に格好いいお兄ちゃん。顔立ちや雰囲気から、私は「ミュージカル界のリッキー・マーティン」と名付けましたが(リッキーも「レ・ミゼ」でマリウスをやったことがあるからこの表現はおかしいんだけどね。それにしてもリッキー人気はすごかった。本屋でも彼の関連本が山積みでした。)、悩める青春まっただ中の男の子そのもの。ナラと再会したときの表情は恋するティーン・エイジャー。急に色気付いちゃって「いつキスしちゃおっかな〜」とでも思っているような。例の男女3ペアのシーンも、「ああああ、絶対このシンバの頭の中はこうなってる!!」と非常に納得がいってしまいました。なんだか、ただの青春ドラマの主人公のように書いてしまいましたが、このシンバはそれだけじゃない。「本当の自分」を見つけられずに悩んでいる演技も素晴らしいのです。そして歌が良かった! 坂健シンバ、阿久津シンバよりも「歌いながら感情を表現する」のがうまいし、しっとり歌うところとsoulfulに情熱をもって歌いあげるところのメリハリも効いている! 「Endless Night」には痺れました〜。いやもう、最高のシンバ。(ちなみに胸の筋肉は阿久津さんと同じくらい)
残念だったのはアンサンブルのコーラスがイマイチだったこと。私は去年の年末、開幕したばかりの東京LKを見てあまり好きになれなかったんだけど、ブロードウェイ版CDを聞いてやっぱり良い、と思い直したという人間なので、「One by One」などにはムチャクチャ期待していたのですが・・・あれあれ、CDと違う! 四季のほうが良い! アフリカン・ビートなんてなにも伝わってこない! 私が観た日がたまたまだったのかもしれないけどが、一番期待していただけに・・・残念。
でも、四季とはまた味わい違う楽しさいっぱいの「ライオンキング」を堪能できた。観客のノリも素晴らしく良いしね。でも、ディナーの予約の関係でもあるのか、カーテンコールもそこそこに出ていくお客さんも多いのね(このLKに限らずですけど)。
四季のLKもだいぶキャストが変わっているようだし、また観たくなってきちゃった〜。


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