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【"FOSSE" 観劇記 in N.Y.】

BROADHURST THEATREの前です!
FOSSE
AUG 10(TUE),1999 BROADHURST THEATRE 8:00PM

「FOSSE:A CELEBLATION IN SONG AND DANCE」

言わずと知れた本年度トニー賞受賞作です。前日に観た「CATS」よりかなり客層が大人にシフト。 座席はD列13番。前から4列目、左端に限りなく近く、舞台の1/3近くが見えない! ダンスのフォーメーションや照明もよくわからない!この演目でこの見切れは辛い。しかし、とにかく凄い作品であることはよくわかった。 なにしろ3幕・5部構成(2回休憩あり)の約2時間半、フォッシーが手がけた作品の名場面がこれでもか、これでもかと蘇るわけです。取り上げられる作品はミュージカルに限らず、映画も、テレビ番組も。具体的には「Cabaret」「Chicago」「Sweet Charity」「All That Jazz」「Pippin」「Dancin'」「Big Deal」「Kiss Me, Kate」「The Pajama Game」 「Damn Yankees」などなど。一番多いのは「Dancin'」からのナンバー。 ストーリーと言えるようなものはないと思うけど、おそらくフォッシーの人生・仕事ぶりを辿ることのできる構成になっているのだと推察。
セットは超シンプル、衣装も黒を基調に大人の雰囲気。それなのに全てが ゴージャスでスタイリッシュ! セクシー! ファンタスティック!(なんて陳腐な表現。我ながら悲しい) 役者さん達の実力は全員が一線級。あまりに歌がうまいので、「さすがに歌の人だろう」と思うとダンスもすごい。ダンスが超カッコいいので「歌はすこし劣るのでは」と思うと歌もすごい。「すごい」という、安易な形容詞しか思い浮かばない自分が情けないっす。私はフォッシーの作品はほとんど知らないので、それぞれの作品の背景や、各ナンバーの作品中での役割や、元の振り付けをどの程度活かしかつ壊しているのかはわかりません。でも、この舞台を作った人々と演じる人々が、いかにフォッシーを愛し、彼の作品をこのような形で蘇らせることに誇りと喜びを感じているかは十分感じられた。 印象に残ったのは、第3部の冒頭「Damn Yankees」からのナンバー。野球のユニフォームに、バットやグローブを使ってあんなに洒落たダンスができるなんて! そして圧巻はやはりラストのBenny Goodman's "Sing, Sing, Sing" ! トニー賞の授賞式でも披露されていたからどんなものかは知っていたけど、ナマでみる迫力は大違い。それまでオケ・ピットは普通に舞台の下にあった(オケの演奏も素晴らしい)のに、暗転後にいつの まにか舞台上にバンドが! そして肉弾が飛び交うような(?!)激しいダンス。両手のひらを上に向けてちょっと「く」の字に体を曲げてジャンプする独特のスタイル(?!)は、つい真似してみたくなるほど目に焼き付けらちゃった。
このように実に贅沢なステージなんだけど、あえて苦言を呈せば、やはりトニー賞の作品賞を獲得するようなタイプの作品ではないように思う。ステキなダンス・ショーではあるけれど・・・。だから、「ストーリーあってのミュージカル」が好きな方には、 2時間半のこの舞台は少々長く感じられるかも。実は私も感動しながらも途中で「フォッシー酔い」といいますか、 食傷気味のような、「う〜ん、もう十分」という気分になってしまった罰当たり者。でも今となると「もっと真ん中の席でもう一度観たい!」と感じるワガママ者でもありますが・・・。 もちろん、ダンス好き、フォッシー好きの方は必見!
余談:タバコを小道具に使った場面がたくさんあった。どこからともなくタバコが出てきたりまた消えたり。しかも煙がまだ出て いるのに、ポケットにしまっているようにも見えた。あれは一体どうなってるんだ?!


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