●Restriction 2026−レディメイド&オーダーメイド

 

 

 ■展覧会趣旨 [Purpose of Exhibition]

マルセル・デュシャン(18871968)が「泉」という便器(既製品)を用いた作品を発表して以降、レディメイドという概念は芸術における新たな観点と領域を拡張させながら、後のアーティストに大きな影響を与えてきました。現在も多様なアプローチで既製品が用いられた作品が発表されていますが、レディメイドに反して発注制作(オーダーメイド)もまた時代と共に規模やかたちを変えながら浸透しアート作品に導入されています。プランや図面を立上げ、それをもとにオーダーしたものを作品として提示する方法は、レディメイドと手法は異なりますが、アーティスト自身の直接的な仕事による痕跡を消失させている点では共通するものがあります。このたびは既製品と発注品といった異なるものを組み合わせた作品を各作家に依頼し、どのようにコンセプトの体現を試みるのかに焦点をあてます。

OギャラリーeyesO Gallery co.,ltd.

 

 ■入谷葉子 Yoko Iritani

SET【画面右】

h182.8×w34.0×d127.0cm 紙に色鉛筆、糸、シール、ファンシードール(既製品)2026

DAIMRU【画面左】

h175.2×w65.0×d26.5cm 紙に色鉛筆、シール、鳥の置き物・ランプ(既製品)

2026

DAIMRU

53.0×37.3cm 紙に色鉛筆、シール 2026

■入谷葉子 コメント  [Artist Statement]

オーダーメイド:作家の母にモチーフの選定を依頼。母の実家にあった鳥の置物(ランプ)

レディメイド:母が選んだ既製品をモチーフに制作。仕上げには既製の目玉シールを使用。

母が選んだ置物は、母自身にとっても特に思い入れのあるものではなく、ずっと箱にしまわれていた。今回の制作は何の「思い出」もない既製品に、色鉛筆で「思い入れ」を刻み込んでいく作業だった。最後に、仕上げで貼りつけた既製の目玉シールは、モチーフと私の、埋まることのないよそよそしさの現れなのかもしれない。

■略歴  [Artist Biography]

大阪府生まれ。2000 年、大阪芸術大学芸術学部美術学科を卒業。2001 年、O ギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。以降、neutron kyoto(京都)、neutron tokyo(東京)、LIXIL ギャラリー2(東京)、ギャラリーサザ(茨城)、OLD COURSE(大阪)、SAKAINOMA cafe 熊(大阪)等にて個展を開催。主なグループ展に、2000 年、日常の開示/感覚の視野(O ギャラリーeyes・大阪)。2007 年、版という距離(京都芸術センター・京都)。2008 年、センチメンタル・ジャーニー(O ギャラリーeyes・大阪)。2010 年、Art Court Frontier 2010 #8(アートコートギャラリー・大阪)。2014 年、VOCA 2014(上野の森美術館・東京)。2024年、Standard Japan Edition 2024O ギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■大津安以 Ai Ohtsu

Confirming a Mug

h9.7×w12.2×d8.2cm マグカップ(既製品)にオンデマンド印刷  2026

■大津安以 コメント  [Artist Statement]

Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道あり。)」

古くから伝わる諺だ。私にとっては、父に誕生日プレゼントとして“せがんで”書いてもらった言葉である。

芸大一年生の冬、初めて自由課題が課された。作家としての第一歩。

私は当時使っていたマグカップを描いた。家族旅行で訪れたパリの土産店で大量に売られていた既製品。

日常のひとときを正直に記した一枚だ。

現在も作品制作は続いている。今、あらためてマグカップをオーダーメイドする。

道があるところに意志があるのだと、確かめるために。

■略歴  [Artist Biography]

1991年、大阪府生まれ。2014年、京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業。2015年、GALLERY SAGE(大阪)にて初個展を開催。以降、Oギャラリーeyes(大阪)にて個展を開催。主なグループ展に、2012年、KURUKURU展(阪急百貨店うめだ本店・大阪)。2013年、つながる展(Gallery Ort Project・京都)、トゥールビヨン11Oギャラリーeyes・大阪)。2014年、コロニー7(京都市立芸術大学小ギャラリー・京都)、人間展(金沢21世紀美術館・石川)、CAUSE ON THE SURFACE 4Oギャラリーeyes・大阪)。2016年、Between the scene and the form 2016Oギャラリーeyes・大阪)、Enigmatic behaviorOギャラリーeyes・大阪)、セマンティックポートレイト4Oギャラリーeyes・大阪)。2017年、うるわしのヒロイン(GALLERY SAGE・大阪)、奈良・町家の芸術祭 はならぁと2017(曽爾村・奈良)。2019年、hito×hito展(メゾン・ド・イリゼ・大阪)、ふたり展(GALLERY SAGE・大阪)。2020年、Restriction 2020OOO計画(Oギャラリーeyes・大阪)、ふたり展−空白の白昼夢−(GALLERY SAGE・大阪)。2021年、Kirakira展(Arts-Bギャラリー、大阪)。2022年、浮遊するジャーニー(GALLERY SAGE・大阪)。2024年、YAYOIBRAINS 店内アート展示(YAYOIBRAINS GRANDE桂店、yutre桂店、fairy烏丸店・京都)等に出品。

 ■日下部一司 Kazushi Kusakabe

猫脚の冨士

H42.0×w32.0×d24.5cm  陶器小物入れ・棚受け金具・櫻板 2026

■日下部一司 コメント  [Artist Statement]

富士山は自然物であって人間が作った物ではない。

しかし、富士山の絵というものは人工物だ。

種類は違うが、梅に鴬・竹に雀・月に雁、のたぐいで、いわばレディメイドだ。

富士山を描くことは、既にある概念をなぞることなのだろう。

ここでどのようになぞるかが問題になる。

作品は自分に託すオーダーメイドだ。

どのようにオーダーしようか、と作家は考えるわけだ。

■略歴  [Artist Biography]

1953 年、岐阜県生まれ。1976 年、大阪芸術大学芸術学部美術学科版画専攻を卒業。1975 年、ギャラリー射手座(京都)にて初個展を開催。以降、信濃橋画廊(大阪)、シティギャラリー(神戸)、ギャラリーココ(京都)、ウエストベスギャラリー・コヅカ(名古屋)、SAI GALLERY (大阪)、The Third Gallery Aya(大阪)、O ギャラリーeyes(大阪)、伊丹市立工芸センター(兵庫)、京都造形芸術大学芸術館(京都)、ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)、Marie Gallery(東京)、ギャラリーすずき(京都)、MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w(京都)、美濃加茂市民ミュージアム(岐阜)等で個展を開催。その他、京都市美術館(京都)、東京都美術館(東京)、ブラッドフォード美術館(イギリス)、リュブリアナ美術館(旧ユーゴスラビア)、兵庫県立美術館(神戸)、大阪府立現代美術センター(大阪)、岐阜県美術館(岐阜)、ウオーカーヒルアートセンター(韓国)、姫路市立美術館(兵庫)、ドイツ文化センター(ドイツ)、中之島デザインミュージアム(大阪)、京都市文化博物館(京都)、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪)、徳島県立近代美術館ギャラリー(徳島)、芦屋市谷崎潤一郎記念館(兵庫)等、国内外の美術館、その他ギャラリーで開催されたグループ展等、多数出品。

 ■田中朝子 Asako Tanaka

【左から順に】Tanaka scales A4 21.0×29.7cm

Tanaka scales B4 25.7×36.4cm

Tanaka scales A3 29.7×42.0cm

アクリル板にシルクスクリーン、ステンレス板 2026

Tanaka scales A4

21.0×29.7cm アクリル板にシルクスクリーン 2010

vanco scale etc.「イメージの虫干し」より

h1.0×w40.0×d30.0cm フェルト、定規、紙片等、硝子板 2000

■田中朝子 Asako Tanaka コメント  [Artist Statement]

学生の頃、vanco製定規に出会いました。幅が広く「上下・右左から〇〇o」が一目で分かり、〇〇oの平行線がサラサラ引け、平行にサクサク切ることができ、そして硝子色のアクリル板にくっきり細い方眼。「用の美」を超え美しく、一目惚れでした。今回の「レディメイド」は初個展で展示した当時の愛玩物たちを恭しく並べたものです。他はそれほどですがこの定規は今も変わらず愛玩しています。

そのオマージュとして作ったのが更に幅広い定規達です。美しく、あくまでも「製品」であるべきで「オーダーメイド」製です。

■略歴  [Artist Biography]

1972年、大阪府生まれ。1995年関西学院大学社会学部卒業、2003年、京都市立芸術大学大学院後期課程満期退学。2000年、アーティスロング(京都)にて初個展を開催。以降、ギャラリーノマル(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)、日本橋高島屋 美術画廊X(東京)、Operation Table(福岡)、Galerie Grand Siecle(台北)、ラディウム-レントゲンヴェルケ(東京)、等にて個展を開催。2009年、drowning room(神戸アートビレッジセンター・神戸)。2012年、kinemaOギャラリーeyes・大阪)。2014年、Value added−フロクノミリョク(Oギャラリーeyes・大阪)。2017年、親密な他者(エヌズ アート プロジェクト・大阪)。2018年、Allstars(ギャラリーノマル・大阪)、COMPLEX - edition & multiple(ギャラリーノマル・大阪)、現代アートの宝箱 OPAM 利岡コレクション(大分県立美術館・大分)。2019年、Gather - Gift(ギャラリーノマル・大阪)、30th - Miracle vol.5: Miracle(ギャラリーノマル・大阪)。2020年、Self Portrait(ギャラリーノマル・大阪)2021年、Linocut(ギャラリーノマル・大阪)、Treasure 1(ギャラリーノマル・大阪)。2022年、Since 1989 NOMART−アーティスト×工房展−(銀座 蔦谷書店 GINZA ATRIUM・東京)。2023年、MUG +(ギャラリーノマル・大阪)、B4(ギャラリーノマル・大阪)。2024年、ノマル35周年記念1 2(ギャラリーノマル・大阪)等に出品。

 ■E.E.Jenny(東邦フランチェスカ・代表 Toho Francesca

青春の虫干し 2026 ver.

H132.5×w110.5×d25.5cm ラジオカセットプレーヤー、カセットテープ、他 2026

E.E.Jenny(東邦フランチェスカ) Toho Francesca コメント  [Artist Statement]

この作品は2019年の個展で発表した作品「青春の虫干し」をアレンジ(既存の作品を再編集)したものとなります。使用した既製品はラジカセとカセットテープ、ヘッドフォン等、これらの既製品を用いた展示構成を画廊(Oギャラリーeyes)へオーダーしました。カセットテープは父の青春時代の音楽やラジオの録音等。このたびは、希望者に1分程テープの試聴を可能にしています。無音のテープもありますが、決してはずれではなく、消去された音もまた父の青春として放出できればと思いました。

■東邦フランチェスカ 略歴  [Artist Biography]

2009年に結成。アーティストコレクティブとしてプロジェクトを展開。メンバーは匿名で活動。2014年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展「E.E. Jenny Selection」を開催。以降、2017年、いつまでもずっと忘れずに(Oギャラリーeyes・大阪)。あの頃の話をしよう(Oギャラリーeyes・大阪)を開催。主なグループ展に、2010年、ENK DE KRAMERと東邦フランチェスカ」展(Oギャラリーeyes・大阪)、「未来は僕らの手の中」展(Oギャラリーeyes・大阪)。2011年、「The Galaxy−パラノイア銀河」展(Oギャラリーeyes・大阪)。2012年、「KICKS」展(Oギャラリーeyes・大阪)。等に出品、同ギャラリーにて「Enigmatic behavior なんで年寄って真夏に熱いお茶を好んで飲むの?」(2016年)、「DrawingExposed essence 2017 ガ〇ダムを描く」(2017年)、「輝いて麗しの油絵具」(2018年)、「間際の美」(2021年)、「健康優良抽象絵画」(2024年)等の展覧会を企画する。

 ■西山一葉 Itsuha Nishiyama

corn1

h14.5×w6.0×d3.0cm 犬用玩具(既製品) 2026

corn2

h4.0×w3.0×d3.0cm 犬用玩具(既製品)※使用後 2026

■西山一葉 Itsuha Nishiyama コメント  [Artist Statement]

制作者には自由につくってほしい旨を伝えてオーダーしました。

いくつも試行錯誤を繰り返した結果、満足のいく仕上がりになったようです。かなり硬いため加工は難しい素材だと思うのですが、楽しんで制作していました。

作品は制作者を彷彿とさせるものに仕上がりました。近い将来もし彼らがいなくなってもこういった痕跡は残るでしょう。存在がなくなってもそこにいたという事実が残ります。それがとても嬉しいのです。

今回の作品は既製品のおもちゃを使用し、飼っている犬たちにオーダーしました。

■略歴  [Artist Biography]

1974年、大阪府生まれ。1997年、大阪芸術大学芸術学部美術学科を卒業。2000年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。※以降、同ギャラリーにて継続的に開催。2002年、OギャラリーUPS(東京)、2003年、アートスペース虹(京都)、2019年、Oギャラリー(東京)にて個展を開催。1997年に沼津御用邸記念公園(静岡)で開催されたJapan Art Festival`97では、竹を使用したインスタレーションを制作(以降2000年に出品)。1999年、Oギャラリーeyes開廊記念展「絵画劇場」。2000年、誘発の相貌(Oギャラリー・東京)、2001年、波走の紡ぎ(Oギャラリーeyes・大阪)。2002年、ボーダー・見えるものと見えないもの(マサシ・ヤマギャラリー・東京)。2005年、SOURA05Oギャラリーeyes・大阪)。2007年、In MotionOギャラリー・東京)。2009年、第1YOKOHAMA ART DOMAIN展(横浜赤レンガ倉庫・横浜)。2011年、SOURASAISAIOギャラリーeyes・大阪)。2012年、ドラッグ&ドロップ(Oギャラリーeyes・大阪)では、写真作品を発表。2013年、Kyoto Current 2013(京都市美術館別館・京都)。2014年、Absolute basis 沓澤貴子と西村みはるの場合(Oギャラリーeyes・大阪)。2017年、西村みはるとEnk de KramerOギャラリーeyes・大阪)。2018年、輝いて麗しの油絵具(Oギャラリーeyes・大阪)。2019年、続・絵画劇場(Oギャラリーeyes・大阪)。2021年、間際の美(Oギャラリーeyes・大阪)。2023年、Reproduction 2023Oギャラリーeyes・大阪)。2024年、健康優良抽象絵画(Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■古川松平 Shohei Furukawa

支度

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2026

支度

21.0×8.0cm  包装された割り箸(既製品) 2026

■古川松平 Shohei Furukawa コメント  [Artist Statement]

本作では、包装された割り箸をレディメイドとして提示し、食べるという行為が始まる前の状態を静物として捉えている。それに対して、オーダーメイド作品として制作した油絵は、特定の用途を持たない行為の痕跡として存在する。既製品と発注制作という異なる手法を並置することで、人が価値を生み出し、それに向かって生きる営みの構造を可視化することを試みた。

■古川松平 略歴  [Artist Biography]

1987年、鳥取県生まれ。2010年、和歌山大学教育学部学校教育教員養成課程教科教育コース美術専攻を卒業。2012年、和歌山大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修を修了。2012年、msギャラリー十二番丁(和歌山)にて初個展を開催。以降、珈琲もくれん(和歌山)、almoギャラリー(和歌山)、Oギャラリーeyes(大阪)、島根県立美術館ギャラリー(島根)で個展を開催。主なグループ展に、2016年、貝塚まちなかアートミュージアム2016(貝塚市内・大阪)。2017年、ファインアート・ユニバーシアードU-35(つくば美術館・茨城)。2018年、新進芸術家選抜展FAUSS(アーツ千代田3331・東京)、トゥールビヨン16Oギャラリーeyes・大阪)。2020年、シェル美術賞展2020(国立新美術館・東京)。2021年、宵闇のパノラマ(ギャラリー白・大阪)。2021年、Prologue XIIGALLERY ART POINT・東京)。2023年、 Idemitsu Art Award2023(東京国立新美術館・東京)等に出品。

 

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