中岡真珠美 Masumi Nakaoka 「亡景の上書き」

 

亡景の上書き-色片#1

36.0×36.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書き-色片#2

36.0×36.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書き-夢洲-

36.0×36.0cm×50点 紙にアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書き-夢洲-(部分)

亡景の上書き-片1

36.0×36.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書き-交差

70.0×70.0cm×2点 カンヴァスにアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書き-色片#3

36.0×36.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2023

亡景の上書きのためのドローイング#1

32.0×43.0cm 紙にアクリル絵具、色鉛筆、他 2023

亡景の上書き--

70.0×70.0cm カンヴァスにアクリル絵具、油彩 2023

 

 ■中岡真珠美 コメント  [Artist Statement]

亡景の上書き

 

大阪で万博開催があると聞いた時、今、「万国博覧会」で何ができるのだろうという疑念のような気持ちがわきました。

万博と聞くと私はまず北摂にある万博公園を思い出します。実家から歩いていける広い公園として幼少期から親しみがあり、そこに残っていた塔や建物、作品はどれもなぜか記憶にしっかり刻まれていました。美術を学ぶ前は普通と違う違和感を放つそれらが何かわかっていませんでしたが、何かはわからない唐突な存在だけどそこにあって然るべきという説得力がありました。今思うと、芸術に対する憧れのタネになった体験だったかもしれません。

万博公園内にある気合の入った造形は放つ違和感を薄めることがないまま、しかし憩いの場として地元の人に馴染み、過去と現在を調和している場として後世に続いくと感じています。

冒頭の疑念に戻り、現代に「博覧会」で多くの人を熱狂させそれを後世に繋げることなんてどんな媒体で可能なんだろうかと期待と不安を持って静思していました。

 

そんな折、今回の大阪万博開場は夢洲に残らないと知りました。消費の只中にあった時代の万博はその場に緑豊かな公園として残り、世代を超えて親しまれている。一方、資源を大切にすることが大義な現代の万博の跡地活用について市のホームページを見たところあまり希望的な案はありませんでした。

このギャップを一考した後、過去に夢洲を訪れた際モチーフになりにくい場所だと承知していましたが、あえて夢洲を描いてみようと考えました。どちらかというと衝動に近い動機です。

さらに以前から、変化している状態をその都度描くことで絵が完成した時にはすでに消滅している風景、時間が混ざった景の表現について考えていたこともあり、夢洲はそれが短期間で生じるのではないかという思いもありました。

 

ところが、予想に反して工事は進みませんでした。

 

私は地平線の見える平たい風景を描き追うことにしました。

ほぼ幾何形態で構成された画面、連続性、パースペクティブ、それら構成要素がなぜかどんな完成になるか予測のつかない場所を描く現状にぴったりと思えたからです。埋め立て地の風景にも、よく見るとタイヤの跡や鉄板の錆など有機的な要素が含まれます。

展示作品は2022年から2023年の夢洲の風景です。

 ■略歴  [Artist Biography]

1978 京都府生まれ

2002 京都市立芸術大学美術科卒業

2004  京都市立芸術大学大学院美術研究科修了

2004 第19回ホルベイン・スカラシップ奨学生

20152016 チェンマイ大学(タイ)特別講師着任

 

・個展

2004 Oギャラリーeyes(大阪)

2005 project N(東京オペラシティアートギャラリー・東京)

2005 Oギャラリーeyes(大阪)

2006 Oギャラリーeyes(大阪)

2007 Oギャラリーeyes(大阪)

2008 INAXギャラリー2(東京)

2008  第一生命南ギャラリー(東京)

2008  Oギャラリーeyes(大阪)

2009 view point(アートフロントギャラリー・東京)

2009  Oギャラリーeyes(大阪)

2010 Oギャラリーeyes(大阪)

2010 Margin of Landscape(アートフロントギャラリー・東京)

2011 Oギャラリーeyes(大阪)

2011 柔らかな楕円形を求めて(アートフロントギャラリー・東京)

2012 Oギャラリーeyes(大阪)

2012 錯誤:Parapraxis(アートフロントギャラリー・東京)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

2013 -緩衝- バッファ(アートフロントギャラリー・東京、他)

2014 トークンリング(Oギャラリーeyes・大阪)

2015 雑音と手掛り(アートフロントギャラリー・東京)

2015 絵になるはじめ(Oギャラリーeyes・大阪)

2016 Invisible Distancegallery seescape・タイ)

2016 WORKS in CHIANG MAIOギャラリーeyes・大阪)

2017 Building Blocks(アートフロントギャラリー・東京)

2017 note:再訪、サカイメ(Oギャラリーeyes・大阪)

2018 STUDIOSCAPESOギャラリーeyes・大阪)

2019 Nameless MarchOギャラリーeyes・大阪)

2019 SCALE PUZZLE(アートフロントギャラリー・東京)

2020 Oギャラリーeyes(大阪)

2021 Oギャラリーeyes(大阪)

2022 VISTASOギャラリーeyes・大阪)

2023 亡景の上書き(Oギャラリーeyes・大阪)

 

・グループ展

2003 ART CAMP in CASO(海岸通ギャラリーCASO・大阪)

2003 トゥールビヨン(Oギャラリーeyes・大阪)

2003 ART UNIV.2003(大学コンソーシアム京都・京都)

2004  神戸アートアニュアル2004「トナリノマド」

(神戸アートビレッジセンター・神戸)

2004 UI Wang 国際プランカードアート2004(イワン市Pegun湖岸・韓国)

2004 アンナチュラル2Oギャラリーeyes・大阪、Oギャラリー・東京)

2005 第1回倉敷現代アートビエンナーレ・西日本(倉敷市立美術館・倉敷)

2005 TAMA VIVANT2005 美術・そのひろがる輪郭

(多摩美術大学・東京、みなとみらい駅コンコース・神奈川)

2006 DrawingExposed essenceOギャラリーeyes・大阪)

2007  VOCA2007 現代美術の展望-新しい平面の作家たち

(上野の森美術館・東京)

2007 International Exchange ProjectJapanese Young Artists TRIAL in

Painting”(Modern Culture Center・韓国)

2007 The garden of the ray 3Oギャラリーeyes・大阪)

2009 スタンダード ジャパン エディション(Oギャラリーeyes・大阪)

2009 ヨッチャンの部屋vol.4 アトリエの音楽展(OZCギャラリー・大阪)

2010 FLATLAND(京都市立芸術大学ギャラリーアクア・京都)

2011 新緑とともに<絵画散歩>(アートフロントギャラリー・東京)

2011 Shoes Box−ヨッちゃんビエンナーレ2011

(中之島デザインミュージアム de sign de >・大阪)

2012 新鋭各賞受賞作家展「New Contemporaries

(京都市立芸術大学ギャラリーアクア・京都)

2014 DepthOギャラリーeyes・大阪)

2014 震災から20年震災 記憶 美術(BBプラザ美術館・神戸)

2016 Ngon Lam(フエ大学・ベトナム)

2016 Semi(チェンマイ大学ギャラリー・タイ)

2016 ヨッちゃんビエンナーレ2016〜コラージュ・キュビズム

KOBE STUDIO Y3・神戸)

2017 Art Stage Singapore 2017Marina Bay Sands・シンガポール)

2017 Expozite Internationala de Arta Contemporana

(サトゥマーレ美術館・ルーマニア)

2017 トゥールビヨン ゼロ(Oギャラリーeyes・大阪)

2019 特別展示(アートフロントギャラリー・東京)

2019 開廊20周年記念展「続・絵画劇場」(Oギャラリーeyes・大阪)

 

・受賞

1回倉敷現代アートビエンナーレ(準グランプリ)

VOCA2007現代美術の展望-新しい平面の作家たち(佳作賞)

35回京都府文化賞(奨励賞)

令和3年度京都市芸術新人賞

 

・パブリックコレクション

京都大学

京都市立芸術大学

 

・参考文献 

岡部あおみ、加藤義夫、中井康之:「第1回倉敷現代アートビエンナーレ・西日本」カタログ(審査員概評)

飯田志保子:「中岡真珠美」東京オペラシティアートギャラリー2005 個展リーフレット(テキスト)

茂木健一郎:「クオリア入門」(装画)

飯田志保子:月刊「美術手帖」20067月号(特集「ZERO ZERO GENERATION NIPPONU」アーティスト・ファイル)

石井芳征:月刊「美術手帖」20071月号(アクリリックスワールド)

千葉淳一:「日本経済新聞」200731日夕刊(アート欄)

植松由佳:「VOCA2007」カタログ(テキスト)

宝玉正彦:「日本経済新聞」2008123日(文化欄)

渋沢和彦:「産経新聞」2009520日(文化欄)

高樹のぶ子:川端康成文学賞受賞作「トモスイ」(装画)

植松由佳:「中岡真珠美」アートフロントギャラリー 2011 個展リーフレット(テキスト)

中井康之:「artscape20130915日号(学芸員レポート)

高階秀爾:「ニッポン・アートの躍動」(作品紹介)

Fon:雑誌「Dichan Magazine No.9352016September号(展覧会紹介)

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