山内裕美 Yumi Yamauchi 「セザンヌと私以外誰も知らない絵」

 

セザンヌ_静物05

60.6×72.7cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_髑髏のピラミッド02

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_静物07

80.3×100.0cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_3つの洋梨

22.0 ×27.0cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_石切場

65.2×80.3cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_赤いチョッキの少年

80.3×65.2cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_サント=ヴィクトワール山

65.2×80.3cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_青い花瓶

60.6×50.0cm カンヴァスに油彩 2023

Untitled

33.3×33.3cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_静物08

33.3×45.5cm カンヴァスに油彩 2023

セザンヌ_髑髏のピラミッド01

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2023

 

 ■山内裕美 コメント  [Artist Statement]

「地獄でなぜ悪い」は星野源の歌のタイトルですが、セザンヌとその作品について思いを巡らせていると、この歌が頭の中でリピートします。

 

「嘘で出来た世界が 目の前を染めて広がる  ただ地獄を進む者が 悲しい記憶に勝つ
作り物だ 世界は 目の前を染めて広がる  動けない場所から君を 同じ地獄で待つ  同じ地獄で待つ」

(星野源「地獄でなぜ悪い」歌詞より一部抜粋)

 

  セザンヌは気難しくて繊細な人物だったとのことですが、彼にとって絵画を制作するということはどこか地獄の沙汰というか、修行めいたものだったのではないでしょうか。セザンヌの作品においてモチーフは静物、人物、風景とさまざまですが、一貫して描かれているのは画面の構成要素としてのそれであり、モチーフを再現することはもとより、それらの持つ生命感や高揚感、多幸感といった要素はセザンヌにとって然程重要なことではないようにみえます。そんなことを表現するよりも、画面を厳格にコントロールすることに注力しているように感じます。

 

  私自身はごく私的な自らの嗜好に基づき、わざわざ好き好んでセザンヌの作品を模写している訳ですが、やはり制作という作業の行程は楽しいだけではありせん。そのいわば負の体験によって私はセザンヌの体験した制作における苦悩や厳しさを追体験しているかのように錯覚することもあります。とはいえ、セザンヌの作品においてモチーフを通じて表出されている世界(絵具の重なりや色彩の調和)はとてつもなく美しく、制作をしながらもうっとりと見入ってしてしまうほどです。制作の時間は私とセザンヌの地獄めぐりの時間であり「ここ(=絵画)は元から楽しい地獄だ」と言ったところです。

 

以下、いくつかの作品についてのメモとなります。これらをご覧いただくことで、私の視点や意図がより明確になるかと考えています。

 

作品「セザンヌ_静物05」「_静物07」「_静物08: 背景の在り方

 

作品「セザンヌ_赤いチョッキの少年」: 白いシャツの腕、長すぎる腕 人体のバランスよりも構図のバランス

 

作品「セザンヌ_髑髏のピラミッド01: 描き始めのバランスが想定外に上手くいったので、この状態で作品が成立していると思えた 模写といっても、正確に写すことが目的ではない

 

作品「セザンヌ_サント=ヴィクトワール山」: 何もない?/すべてがある!

 

このステートメントやメモを書いている時点では、今回の展示の全容は見えていません。これまではただセザンヌと私の関係性の中だけにあった絵が、画廊という空間で果たしてどんな地獄を映し出すのか、不思議と他人事のように楽しみでもあります。

 ■略歴  [Artist Biography]

1976 兵庫県生まれ

2001 京都精華大学芸術学部造形学科版画分野卒業

2003 京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻修了

 

・個展

2002 アートスペース虹(京都)

2003 Oギャラリーeyes(大阪)

2005 アートスペース虹(京都)

2006 Oギャラリーeyes(大阪)

2007 Oギャラリーeyes(大阪)

2008 Oギャラリーeyes(大阪)

2008 アートスペース虹(京都)

2008 OギャラリーUPS(東京)

2009 Oギャラリーeyes(大阪)

2010 Oギャラリーeyes(大阪)

2011 Oギャラリーeyes(大阪)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

2014 Oギャラリーeyes(大阪)

2017 Oギャラリーeyes(大阪)

2019 Oギャラリーeyes(大阪)

 

・グループ展

1999 tabula rasa 1999(京都市四条ギャラリー・京都)

2000 二人展(art boxアンフェール・京都)

2001 KINO PRINT(平安画廊・京都)

2001 第7回 韓・日大学版画交流展(弘益大学現代美術館・韓国)

2002 Work in progress '02(ギャラリーアーティスロング・京都)

2002 第8回 韓・日大学版画交流展

(京都精華大学ギャラリーフロール・京都)

2002 主張テン(ギャラリーアーティスロング・京都)

2002 第27回 全国大学版画展(町田市立国際版画美術館・東京)

2003 第9回 浜松市美術館版画大賞展(浜松市美術館・静岡)

2004 トゥールビヨンU(Oギャラリーeyes・大阪)

2004 UI Wang−国際プランカードアート2004(イワン市Pegun湖岸・韓国)

2006 3人展-3styles derived from print making(ギャラリー三条・京都)

2006 The new edge of art

(京都嵯峨芸術大学・ギャラリーアートスペース嵯峨・京都)

2007 Between the scene and the form 07Oギャラリーeyes・大阪)

2007 International Exchange Project Japanese Young Artists TRIAL in

PaintingIncheon Modern Culture Center・韓国)

2007 After Math program No.2 four quarters of a scene 4分の4の光景

The Art complex Center of Tokyo・東京)

2009 ひかりのどけき春−榊原ようこ・山内裕美二人展

(コウイチファインアーツ・大阪)

2010 “global connections and implicationsLouisiana State University

150th AnniversaryLouisiana State University・アメリカ)

2011 想像の森−奥田文子・奥田耕司・山内裕美三人展

(コウイチファインアーツ・大阪)

2012 The 13th Anniversary Pre ExhibitionKICKS

Oギャラリーeyes・大阪)

2013 Harmony・平和展(コウイチファインアーツ・大阪)

2016 STUDIES/Lithograph -リトグラフの方法について-

kara-Sギャラリー・京都)

2016 Enigmatic behavior なんで年寄って真夏に熱いお茶を好んで飲むの?

Oギャラリーeyes・大阪)

2017 トゥールビヨン 0Oギャラリーeyes・大阪)

2017 Stone Letter Project−石からの手紙#1

(宝塚大学 gallery TRI-ANGLE・兵庫)

2017 非在の庭 最終章(アートスペース虹・京都)

2021 間際の美(Oギャラリーeyes・大阪)

2023 Still life−静物は沈黙を容認しない(Oギャラリーeyes・大阪)

 

・パブリックコレクション

町田市立国際版画美術館

京都精華大学

 

・参考文献

三脇康生:「山内裕美 展」Oギャラリーeyes 2003 個展リーフレット(テキスト)

原 久子:「art scape20031115日号(レビュー)

小吹隆文:「art scape2007717日号(レビュー)

太田垣 實:「The new edge of art展」カタログ(テキスト)

酒井千穂:「art scape200841日号(レビュー)

平田剛志:「カロンズネット」2010930日号・編集部ノート(レビュー)

酒井千穂:「art scape20111215日号(レビュー)

平田剛志:「山内裕美 展」Oギャラリーeyes 2019 個展リーフレット(テキスト)

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