ふなだかよ Kayo Funada

 

ぎゅーの形(宝石)

35.0×28.0cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ぎゅーの形(ミンツ)

50.0×30.2cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ぎゅーの形(スパークル)

25.0×17.8cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ピンクのブラックホール

120.0×67.5cm インクジェットプリントにポリマウント加工 2023

ぎゅーの形(クリスタル)

20.0×17.3cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ぎゅーの形(スター)

60.0×60.0cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ぎゅーの形(リボン)

40.0×32.0cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

ぎゅーの形(フラワー)

30.0×22.0cm インクジェットプリントにアクリルマウント 2023

まま

h226.7×w256.3×d2.0cm 羊毛、ニードルフェルト 2023

まま(拡大部分)

ラブレター

259.0×294.0cm 折り紙 2023

 

 ■展覧会テキスト[Text]

ドイツの哲学者アクセル・ホネットによれば、母が子どもに注ぐ「愛」は、私たちがこの世界に存在することを最初に、そして無条件に肯定してくれる承認の基本的なありようである。ジェンダーの役割が流動的になり、家族の形態も多様化した現代において、母子関係の特別視はいまやあまり好まれないのかもしれない。でもだからこそ、社会的な正義とは別の位相で、母子の、とりわけ自らの体験としての母娘の愛の問題を、愚直なまでに追求するふなだかよの作品には鬼気迫るものがある。愛を求めて「おかあさん!」「ママ!」と叫んだ記憶、そして今度は、小さな存在から尽くせぬ愛を求められる葛藤。観る者の胸にも疼く共通体験に寄り添いつつも、ふなだの表現する愛は、どこか過剰で、いびつで、ときに不穏ですらある。

多くの作品に共通するのは、愛という非物質的な対象を、どうにかして目に見えるかたちに結実させようとする試行錯誤である。食べきれないほどの山盛りの料理の量塊として、母から自分への愛を表現した《Mt. love》シリーズ(2013年)、記憶から抜け落ちていきそうな乳児期の娘への愛を、育児用品のおぼろげな残像に託した《fall》シリーズ(2018年)——ふなだ自身の立場は変われど、母から娘への愛を問うたこれらの作品を経て、本展では、娘が母に投げ返す愛のかたちが形象化される。

一見したところ、大人である母が示す愛に比べて、幼い娘が示すそれは言ってみればわけがわからない。意味不明で、大胆不敵だ。手のひらサイズのかわいい愛もあれば、唐突に宇宙スケールの無限大に拡張する愛もある。純粋なようでいて、打算が混じっている気がすることもある。そもそも愛などという一文字で概念化される前の、ほとばしるその何かを、ふなだは素材やメディアの境界を超えて果敢にとらえようとする。

きわめて普遍的であると同時にきわめて私的なテーマなだけに、大人になってしまった私たちは、愛について正面から語ることなどついはぐらかしてしまいがちだ。あるいはもっともらしい精神分析でも持ち出して、分かったような気になってしまう。ふなだの作品は、そんな私たちに、何よりも自らの感覚をたよりに愛を感じてもいいのだと、表現してもいいのだと、勇気を与えてくれているように思われるのだ。

松山聖央(武庫川女子大学生活美学研究所 嘱託助手)

 

■ふなだかよ コメント  [Artist Statement]

母と娘の関係を軸に愛について考えています。

 

信じると“ある”ことになり、信じないと“ない”ことになる。

愛はどれくらいあるのか確かめるのは難しい。

子供は全身全霊で ”ある” と信じている。だから母の中でも“ある”ことになる。

魔法が解けるまでは、完全体のように特別な関係。

 

子供は何らかの形で、目に見えないそれを確かめたり伝えたりしている。

 

大好きの大きさを伝える時、両手を広げた大きさから、空、宇宙、その果ての果て、今やピンクのブラックホールの大きさまで達している。

 

抱きしめて欲しくて「ぎゅーして」とせがむのは、生活のあらゆる場所に溶け込みながら、幸せそうに、不安を解消するように、また自分の力にするように、全てを受け入れてもらう心地良さを感じているように見える。

 

子供からの贈り物は、折り紙か絵か手紙が多い。

持っている紙を使って、そこに自分の労力をプラスすることで、特別なものになる。

贈り物は毎日のように増える。

 

「まま、まま、まま、大好き。」

その言葉は、「私を愛して!愛して!」に聞こえる。

 ■略歴  [Artist Biography]

1979 京都府生まれ

2000 京都芸術短期大学染織テキスタイルクラス卒業

2002 成安造形大学ファイバーアートクラス卒業

2004 成安造形大学立体造形研究生修了

 

・個展

2002 WindowGallery Oct(京都)

2005 AOAO天窓ギャラリー(京都)

2008 reply tomothering(成安造形大学 ギャラリーアートサイト・滋賀)

2009 Oギャラリーeyes(大阪)

2010 Oギャラリーeyes(大阪)

2011 Oギャラリーeyes(大阪)

2013 OギャラリーUPS(東京)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

2014 Oギャラリーeyes(大阪)

2014 CAS(大阪)

2015 Oギャラリーeyes(大阪)

2016 Oギャラリーeyes(大阪)

2017 Oギャラリーeyes(大阪)

2018 Oギャラリーeyes(大阪)

2019 Oギャラリーeyes(大阪)

2020 Oギャラリーeyes(大阪)

2022  Oギャラリーeyes(大阪)

 

・グループ展

2001 FIBER ARTEXHIBITIONWindow Gallery Oct・京都)

2001 OPPAI ART LAB πr事情展“おっぱいキッズサミット”企画展示

(ワコール本社ビル・京都)

2001 ART ENSEMBLE(大阪ビジネスパーク・大阪)

2002 Wool inWool 2002(小岩井牧場・岩手)

2002 主張テン(Gallery ARTISLONG・京都)

2003 MESSAGEIN TEXTILEGallery maronie・京都)

※以降、`04`05`06に出品

2003 AQUART2003(西ノ島・島根)※以降、`04に出品

2006 京都美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館・京都)  

2007 AQUART2007in AMAMI ISLAND(奄美大島・鹿児島)

2010 SEIANFRONTIER(成安造形大学 ギャラリーアートサイト・滋賀)

2010 韓交流展 W-doorCAS・大阪)

2011 日韓交流展 W-doorsalon de H・ソウル)

2011 パイロットプラント/昭和は遠くなりにけり(CAS・大阪)

2011 TEXTILE PARTYcifa・岡山)

2012 パイロットプラント/私の恥ずかしい作品展(CAS・大阪)

2012 The 13th Anniversary PreExhibition KICKSOギャラリーeyes・大阪)

2012 ENERGETIC EXTENSIONGallery Jung・ソウル)

2013 covergirls展(CAS・大阪)

2013 The Responsive Eye(海岸通ギャラリー•CASO・大阪)

2014 パイロットプラント/ドローイング展 (CAS・大阪)

2015  パイロットプラント/ペーパー展 (CAS・大阪)

2016 Enigmaticbehavior−なんで年寄って真夏に熱いお茶を好んで飲むの?

Oギャラリーeyes・大阪)

2017 モノと精神−日韓交流展(海岸通ギャラリーCASO・大阪)

2017 御堂筋イルミネーション ビルファザードリレープロジェクション

(損保ジャパン日本興亜大阪ビル・大阪)

2018 パイロットプラント/AnniversaryCAS・大阪)

2018 固体−液体の臨界点はまだ発見されていない

Space Willing N Dealing・ソウル)

2019 パイロットプラント/人を含め体重3キロ以上の哺乳類が用を足すのは

21秒。(CAS・大阪)

2019 Restriction 2019Tfree full daysOギャラリーeyes・大阪)

2021 パイロットプラント/Corona あるいは王冠として。(CAS・大阪)

2021 窓のそと二人羽織と水の音(Oギャラリーeyes・大阪)

2021 SEIAN ARTS ATTENTION 14 Re:Home

(成安造形大学【キャンパスが美術館】・滋賀)

2022 パイロットプラント/transferCAS・大阪)

2023 Nuditionsevendays studio・ソウル)

 

・参考文献

小吹隆文:「artscape20120115日号(レビュー)

羽下大信:「ふなだかよ」展 CAS 2014(テキスト)

小林公:「FLAG20141215日号(レビュー)

平田剛志、林寿美:「SEIAN ARTS ATTENTION 14 Re:Home」記録集(レビュー)

松山聖央:「ふなだかよ」展 Oギャラリーeyes 2023 個展DM(テキスト)

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