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●冨倉崇嗣 Takashi Tomikura |
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スープ 72.7×91.0cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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鏡 60.6×72.7cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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止められた時間 130.3×162.0cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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まとう 41.0×31.8cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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移動図 112.0×145.5cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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途中の絵 97.0×130.3cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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パレード 60.6×72.7cm カンヴァスにアクリル絵具、エナメル塗料 2023 |
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パンの穴 45.5×53.0cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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サンドウィッチ 31.8×41.0cm カンヴァスにアクリル絵具 2023 |
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■展覧会テキスト[Text] |
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小林 公(兵庫県立美術館 学芸員) 最寄り駅から迎えの車に乗って10分ほどでアトリエに到着した。かつては学生寮だったという建物の空き部屋を利用して、小ぶりな複数の部屋を用途に応じて使い分けているという。絵を描くための部屋が、たしか二つ。そのうちの一つには映像作品に登場する立体物を制作するスペースがしつらえてあった。作品を保管する部屋も十分確保されている。そうした一連のスペースの中で不思議に思ったのが「作品を寝かしておくための部屋」だった。冨倉の言葉がその通りだったか心もとないが、ともかくそれは「ひと通り描き終えた作品を寝かしておくための部屋」なのだという。 作者が自分の作品を客観的に見るために、時間的、空間的な距離を必要とするということは当たり前のこと。頭ではそう理解しつつ、この寝かし部屋は何かひっかかる。この部屋について話をする中で、独立したスペースを用意して、なんとなればその存在を忘れてしまう/初めて見るように再会することを期待してこの場所に作品を送り込む作家の制作(?)方法はやはり、彼の作品の魅力の核心に触れていると思い直す。 冨倉崇嗣の絵画は、何らかのイメージが夢のように統制的な文脈から解かれて漂う様子からマイクロポップやシュルレアリスムとの比較を誘い、実際にそうした論考も行われてきた。ただ、そうした先例と冨倉の作品とを分ける特徴として、冨倉にとって大切なのはイメージやイメージ相互の関係性ではなく、イメージが生成する「場」の方だということは言えそうだ。冨倉はその「場」について、地と図でいえば地のこと、画面のことだ、という風に形式的な問題として捉える方向にも向かわず、別の期待を込めて、ある「場」とでも呼ぶほかない画面の上に生じる特別な状況と出会うために絵画を描いてきた。そう考えたなら、近年の映像作品も絵画と無縁のものではなく、同じ意識で取り組まれていたのだと思えてくる。冨倉の映像が垣間見させるのもまた、オブジェが規定の意味連関から解かれ、純粋な遊びが始まる瞬間であり、状況だった。 目的から解放された場所、余地。それは中間地帯、猶予期間でもある。あるいは遊びの場と、彼の作品を呼んでみたい。アトリエには今回の個展に出品する予定だという作品が立てかけてあった。窓から差し込む光が大分仕上がってきたという作品を静かに照らしていた。四角いキャンバスが光の加減でふわりと輝く瞬間があって、まるでこどもたちが集まる公園のようだと思った。 |
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■冨倉崇嗣 コメント [Artist Statement] |
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1本の線が消えることとなった。 長時間かけて構想し描いた線であったが、数日たっても線から何も喚起されなかったのである。 矩形の画面に線や面を描くと形が生まれ、意味が生成される。 その完成に至る過程の中で、1本の線がきっかけとなり、本来の目的とは違った出会いに直面することがある。 私はこの偶然性に重要な意味があると思っている。 この言い回しはとても曖昧だが、線により感化される感覚は一種の幸福感を私に与えてくれる。 熟考して描いた線を消す行為は、何か悲観的なイメージもあるが、多角的な視点を創出する一つの要因となりうるのではないかと考えている。 |
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■略歴 [Artist Biography] |
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1979 三重県生まれ 2002 成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス卒業 ・個展 2003 Oギャラリーeyes(大阪) 2003 OギャラリーUP・S(東京) 2004 Oギャラリーeyes(大阪) 2005 Oギャラリーeyes(大阪) 2006 Oギャラリーeyes(大阪) 2007 project N(東京オペラシティアートギャラリー・東京) 2007 Oギャラリーeyes(大阪) 2007 Oギャラリー(東京) 2008 Oギャラリーeyes(大阪) 2009 Oギャラリーeyes(大阪) 2010 Oギャラリーeyes(大阪) 2011 Oギャラリーeyes(大阪) 2012 Oギャラリーeyes(大阪) 2013 Oギャラリーeyes(大阪) 2014 Oギャラリーeyes(大阪) 2015 Oギャラリーeyes(大阪) 2016 GLAN
FABRIQUE(大阪) 2016 Oギャラリーeyes(大阪) 2017 Oギャラリーeyes(大阪) 2018 Oギャラリーeyes(大阪) 2019 Oギャラリーeyes(大阪) 2020 Oギャラリーeyes(大阪) 2021 Oギャラリーeyes(大阪) ・グループ展 2001 絵画の流れ展(三重県立美術館・三重) 2002 神戸アートアニュアル2002「ミルフィーユ」 (神戸アートビレッジセンター・神戸) 2003 ARTISTS
BY ARTISTS(六本木ヒルズ 森タワー・東京) 2003 現代美術小品展2003(ギャラリーすずき・京都) 2004 bitter/sweet(Oギャラリーeyes・大阪) 2004 Unnatural U(Oギャラリーeyes・大阪、Oギャラリー・東京) 2005 群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館・群馬) 2005 The garden of the ray(Oギャラリー・東京) 2007 Absolute
basis 冨倉崇嗣とフジイ フランソワの場合 (Oギャラリーeyes・大阪) 2007 HORS LIGNE(Gallery
SATORU・東京) 2007 International Exchange
Project“Japanese Young Artists TRIAL in Painting”(Modern
Culture Center・韓国) 2009 Exhibition
as media 2009(神戸アートビレッジセンター・神戸) 2009 シェル美術賞展2009(代官山ヒルサイドフォーラム・東京) 2010 Defending
Zone(Oギャラリーeyes・大阪) 2010 SEIAN FRONTIER volume.2 (成安造形大学 ギャラリーアートサイト・滋賀) 2013 VOL.1 U35
CREATORS JAPAN EXHIBITION (みなとみらいギャラリーA・B・C・横浜) 2013 空想美術大賞展 (伊藤忠青山アートスクエアー・東京、蔵丘洞画廊・京都) 2014 Value added−フロクノミリョク(Oギャラリーeyes・大阪) 2015 琳派400年記念・京都新鋭選抜展2015(京都文化博物館・京都) 2015 The extracted
element 2015(Oギャラリーeyes・大阪) 2017 Drawing−Exposed essence 2017「ガ〇ダム」を描く (Oギャラリーeyes・大阪) 2018 SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト「やさしい贈り物」 (JR総持寺駅構内自由通路・大阪) 2019 realSOU#2「SOU」のほんもの作品展(茨木市本町センター・大阪) 2019 開廊20周年記念展「続・絵画劇場」(Oギャラリーeyes・大阪) 2022 国際芸術コンペティション「ART OLYMPIA 2022」(起雲閣・静岡) ・参考文献 原 久子:「美術手帖」2003年9月号“アクリリックスワールド” 植木啓子:「大阪人」2004年4月号(レビュー) 酒井千穂:「美術手帖」2006年9月号(レビュー) 飯田志保子:「冨倉崇嗣」東京オペラシティアートギャラリー 2007 個展リーフレット(テキスト) 平田剛志:「冨倉崇嗣」Oギャラリーeyes 2021 個展DM(テキスト) 小林 公:「冨倉崇嗣」Oギャラリーeyes 2023 個展DM(テキスト) |
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