●Restriction 2022By three people

 

 

 ■展覧会趣旨 [Purpose of Exhibition]

本展は作家にRestriction(制約)を設け、その枠の中で表現の営為を模索しながら、それぞれの手法で制作された作品を出品して頂きます。このたびは「By three people」と題し、作家本人をメインに他2名(計3名)の意見やイメージを取り込んだ作品を依頼し、会期も3日間限定で開催します。ユニットやコラボレーション、アーティスト・コレクティブといった複数で制作に携わる表現は、これまでも様々な形態でアートシーンやクリエイティブの世界に台頭してきました。現在もアートのみならず音楽やファッション、企業における商品開発、アーティストと行政が協働しながら進める事業等、枠に囚われない多様なプロジェクトが創出され続けています。近年は参加型オンラインゲームやメタバースによるユーザー同士のコミュニケーションも加速し、デジタルな空間の中で共作出来る場も広がってきました。本展は作家が日常的に繋がりのある者あるいは様々な領域で交流のある者等から選出し、各々から提供されたワードやイメージを差し込むかたちで作品を制作して頂きます。他者が関わる事によりこれまでにない角度から発想する等、気付きや考察を交えながら制作された作品をご紹介致します。

OギャラリーeyesO Gallery co.,ltd.

 

 ■稲垣元則 Motonori Inagaki (協力者:唐木 満・藤本聖美)

 

Untitled(窓か鏡)

30.0×21.0cm 鏡にドローイング 20222点組)

 

 ■稲垣元則 コメント  [Artist Statement]

自分のキャリアが始まった30年前も、今も同じように自分のそばにいてくれる2人にそれぞれ「30年前の私へのアドバイス」をテキストにして欲しいとお願いをしました。そこに具体的なアドバイスはありませんでしたが、2人のテキストを通して「決して止()めることが出来ないもの」、「常に今でしかないこと」のふたつの事を考えました。この作品は投げ出されたものでありながら、同時に多くのものを許容してくれるものだと思います。

 ■略歴  [Artist Biography]

1971年、京都府生まれ。1994年、大阪芸術大学芸術学部美術学科絵画コースを修了。1994年、ギャラリー白(大阪)にて初個展を開催。以降、信濃橋画廊(大阪)、ONギャラリー(大阪)、O ギャラリー eyes(大阪)、OギャラリーUPS(東京)、Oギャラリー TOPS(東京)、日下画廊(大阪)、ノマルエディション/プロジェクトスペース cube & loft(大阪)、ギャラリーノマル(大阪)、アルカスSASEBO・交流スクエア(長崎)、2kwギャラリー(滋賀)等で個展を開催。主なグループ展に、2003年、ARTISTS BY ARTISTS(六本木ヒルズ森タワー・東京)。2005年、泉北アートプロジェクト(和泉市久保惣記念美術館・大阪)。2013年、収蔵品展043 自然の表現 わが山河 Part IV(東京オペラシティ アートギャラリー・東京)。2017年、収蔵品展058『ブラック&ホワイト−色いろいろ』(東京オペラシティ アートギャラリー・東京)。2018 年、龍野アートプロジェクト in クラクフ(日本美術技術博物館マンガ・クラクフ・ポーランド)。2018 年、「コレクション280年代の時代精神ツアイトガイストから」(国立国際美術館・大阪)。2021年、PLUS-A Project for an Aging WorldWELTKUNSTZIMMER・ドイツ)。2022年、Galactic Railroad. Kunst zwischen Japan und DeutschlandEmsdettener Kunstverein・ドイツ)等に出品。

 ■入谷葉子 Yoko Iritani (協力者:息子・娘)

ネーニー&チンタン&キジー

95.0×73.7cm 紙に色鉛筆、シルクスクリーン、コラージュ等 2022

 

 ■入谷葉子 コメント  [Artist Statement]

今の私は、生きている大半の時間が育児の時間でしめられている。だからその育児と向き合って制作してみようと思った。

協力者は息子小学1年生と娘5歳。

2人は、それぞれ自分の心の中に友達がいるそうなので、その友達を今回、絵に描いて姿を見せてもらった。

いっぽう、私は自分が昔飼っていた犬を、私をつくる要素であると考えている。

犬と子供たちの心の中の友達たちが、年齢も時間も場所も関係なく出会う。

少しだけ子供に近づけたようなハレー彗星と遭遇のような瞬間をすくいあげたい。

 ■略歴  [Artist Biography]

1977年、大阪府生まれ。2000年、大阪芸術大学芸術学部美術学科を卒業。2001年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催(以降、同ギャラリーにて2003年、2004年に開催)。以降、neutron B1 gallery(京都)、neutron kyoto(京都)、neutron tokyo(東京)、LIXILギャラリー2(東京)、ギャラリーサザ(茨城)、space eauuu(神戸)、OLD COURSE(大阪)にて個展を開催。主なグループ展に、2000年、日常の開示/感覚の視野(Oギャラリーeyes・大阪)。2002年、PRIMARY STATEMENT 5Oギャラリーeyes・大阪)。2004年、関西現代版画の開拓者と新世代たち-版画の力(京都文化博物館・京都)。2005年、トゥールビヨン3Oギャラリーeyes・大阪)。2006年、第4回 風〜明日への軌跡(ギャラリー恵風・京都)。2007年、版という距離(京都芸術センター・京都)。2008年、センチメンタル・ジャーニー(Oギャラリーeyes・大阪)。2010年、Art Court Frontier 2010 #8(アートコートギャラリー・大阪)。2012年、House of DNAneutron tokyo・東京)。2014年、VOCA2014(上野の森美術館・東京)。2017年、マイクロフラクチャー 2017Oギャラリーeyes・大阪)。2019年、Restriction2019-Three full daysOギャラリーeyes・大阪)。2022年、遮りの景象−ソノムコウへ(Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■大田原桜子 Sakurako Ohtawara (協力者:三上・濱口 芽)

蒼の世

100.0×70.0cm 綿麻布にアクリル絵具、鉛筆、マーカーペン 2022

 

 ■大田原桜子 コメント  [Artist Statement]

三上さんからは文章で世界観の設定と短いお話をいただき、濱口さんとは作品や制作の話を通してヒントを貰いました。

濱口さんの日常的に目にする身の回りの物の本来の用途から離れ新たな視点に気付かせる作品から、「新しい視点」をコンセプトとし、これまで自分が描いてきた絵画について改めて考える機会になりました。絵の具で作る偶然の色や形を拾いながら画面上で作り上げる制作方法からいったん離れ、三上さんから頂いた文章の世界観から発想を得て、物語性と漫画の要素を取り入れることに挑戦しています。

 ■略歴  [Artist Biography]

1991年、兵庫県生まれ。2017年、京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画を修了。2016年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催(以降、同ギャラリーにて毎年個展を開催)。同年、京都市立芸術大学小ギャラリー(京都)にて個展を開催。主なグループ展に、2014年、CAUSE ON THE SURFACE 4Oギャラリーeyes・大阪)。2017年、Drawing-Exposed essence 2017「ガ○ダム」を描く(Oギャラリーeyes・大阪)。2019年、新・輝いて麗しの油絵具(Oギャラリーeyes・大阪)。2020年、Restriction 2020OOO計画(Oギャラリーeyes・大阪)。ドラッグ&ドロップ2022Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■小川直樹 Naoki Ogawa (協力者:児玉靖枝・寺脇さやか)

月と月の間に

59.7×45.0cm 鏡に油彩、木枠 2022

 

 ■小川直樹 コメント  [Artist Statement]

今回の展覧会にてご協力頂いた両名からは、それぞれ“鏡”と“導き”という言葉を頂き、私なりに今回の制作の制約と致しました。

この言葉から連想されたのは、久方ぶりに実家の土地に帰省をした夜の経験でした。深夜にわずかな灯りを頼りにして、数年振りに真っ暗な夜道を歩きました。潤いのある闇の風景の中、月の灯が森や山間の暗闇を一層際立たせ、虫の音が忙しなく聞こえる様子は、まるで深夜の湖面を覗き込む様な美しくも恐ろしいものでした。そして、この夜の液体に覆われた様な光景が持つ存在感は、過去の記憶の中からトロトロと私の日常に溶け出し常に寄り添っているものだと再認識しました。

“鏡”と“導き”という言葉は、不思議とこれらの要素とまた違う角度から向き合う為の鍵として、自身の前に差し伸べられた様に感じております。

 ■略歴  [Artist Biography]

1984年、島根県生まれ。2008年、成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス研究生を修了。2008年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催(以降、同ギャラリーにて毎年個展を開催)。2012年、Oギャラリー(東京)にて個展を開催(以降、同ギャラリーにて2015年、2017年に開催)。主なグループ展に、2010年、シェル美術賞2010(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)。2011年、THE GALAXYOギャラリーeyes・大阪)。2012年、群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館・群馬)。2013年、DrawingExposed essence 2013Oギャラリー eyes・大阪)。2015年、京都新鋭選抜展2015(京都文化博物館・京都)、FACE2015 損保ジャパン日本興亜美術賞展(損保ジャパン日本興亜美術館・東京)、トゥールビヨン13(Оギャラリーeyes・大阪)。2016年、FACE2016(損保ジャパン日本興亜美術館・東京)にて“審査員特別賞”と“オーディエンス賞”を受賞。同年、シェル美術賞展2016(新国立美術館・東京)にて“グランプリ”を受賞。2019年、続・絵画劇場(Oギャラリーeyes・大阪) 。2020年、The extracted element 2020Oギャラリー・東京)。2021年、アナタと私のねじれた世界(Oギャラリーeyes・大阪)、遮りの景象−ソノムコウヘ(Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■日下部一司 Kazushi Kusakabe (協力者:右足ちゃん・左足ちゃん)

 


Communication

(上)56.5×76.5cm アルシュ紙に鉛筆、 (下)バライタ紙に油彩色 7.0×4.8cm

20222点組)

 

 ■日下部一司 コメント  [Artist Statement]

身体の部位にはそれぞれ役割がある。手で歩くことはないし、足で絵を描いたこともない。それらを無理やり実行しようとすると極度の不自由を感じてしまう。要するに、いつもは意識しない他者が自分の身体の中に住んでいるような感覚に陥るのである。

足で絵を描くということをこれまでの人生でやったことがない。彼らとそういうコミュニケーションをしたことがないのだ。そこで右足ちゃんと左足ちゃんにお願いし、彼らの考えやイメージを取り込んだ作品を制作することにした。私は写真で風景をとらえ、その風景を見ながら二者がそれぞれ描画するのである。

 ■略歴  [Artist Biography]

1953年、岐阜県生まれ。1976年、大阪芸術大学芸術学部美術学科版画専攻卒業。1975年、ギャラリー射手座(京都)にて初個展を開催。以降、信濃橋画廊(大阪)、シティギャラリー(神戸)、ギャラリーココ(京都)、ウエストベスギャラリー・コヅカ(名古屋)、SAI GALLERY(大阪)、The Third Gallery Aya(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)、伊丹市立工芸センター(兵庫)、京都造形芸術大学芸術館(京都)、ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)、Marie Gallery(東京)、ギャラリーすずき(京都)、MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w(京都)等で個展を開催。その他、京都市美術館(京都)、東京都美術館(東京)、ブラッドフォード美術館(イギリス)、リュブリアナ美術館(旧ユーゴスラビア)、兵庫県立美術館(神戸)、大阪府立現代美術センター(大阪)、岐阜県美術館(岐阜)、ウオーカーヒルアートセンター(韓国)、姫路市立美術館(兵庫)、ドイツ文化センター(ドイツ)、中之島デザインミュージアム(大阪)、京都市文化博物館(京都)、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪)、徳島県立近代美術館ギャラリー(徳島)等、国内外の美術館、ギャラリーで開催されたグループ展等に多数出品。

 ■洪 亜沙 Ahsa Hong (協力者:森 亜貴・塚原拓海)

n次元に思考/試行する

90.0×45.5cm カンヴァスに鉛筆、アクリル、布、乾燥スライム、他 2022

 

 ■洪 亜紗 コメント  [Artist Statement]

私は数学者と詩人に協力を依頼した。どちらもこの世界を支える役割をになっている。森氏からは多面体についての論文を提供していただいた。この論文ではn次元の多面体についての手がかりが発見されている。この発見はどの次元でも成り立つのだという。数学とは神の成分を地道に解き明かすような学問だと思った。そのため塚原氏には「神」のワードのある詩を提供していただいた。はたして宇宙を貫くn次元とはいかなるものか、表わせるはずもないのに。偶然と制御の同居によって近づこうとした。一般式の海水浴、すくいとるように、配置した。

 ■略歴  [Artist Biography]

1996年、大阪府生まれ。2018年、嵯峨美術大学芸術学部造形学科油画分野を卒業。2019年、Gallery PARC(京都)にて初個展を開催。主なグループ展に、2017年、SAGA DASH 2017Art-Space MEISEI・京都)2018年、JoyfulArt-Space MEISEI・京都)、うのぜみ2018Steps Gallery・東京)、第21JAALA国際交流展(東京都美術館・東京)、les signes 2018Oギャラリーeyes・大阪)。2019年、On the Steps 2019Steps Gallery・東京)、トゥールビヨン 17Oギャラリーeyes・大阪)。2022年、Standard Japan Edition 2022Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 ■六根由里香 Yurika Rokkon (協力者:三好美憂・山ア愛彦)

focus error_ 11,565

46.6×70.0cm 紙にアルミ版リトグラフ、オフセットリトグラフ 2022

 

 ■六根由里香 コメント  [Artist Statement]

一番遠くに離れた友人から送られてくる写真を、一番近くで話す人が見た感想を元に作品制作を試みた。その人は「日本では撮らないなんでもない風景の画像を、海外に行った途端に見境なくSNSにアップする人に怒りを覚える。でもこれらの画像は海外の風景だけど日本でも撮るような、なんでもなさがある」と言った。私と友人は異なる国で暮らし、切り取った風景に映る物や些細な現象について同じ言語で会話をする。その国の言語が映り込んでいれば浮かれてアップしたくなる写真になるかと思い、文字が写った写真をリクエストしたが浮かれた感は出なかった。

 ■略歴  [Artist Biography]

1995年、大阪府生まれ。2021年、京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程版画領域を修了。2020年、kara-S(京都)にて初個展を開催。以降、GULIGULI(大阪)、+2(大阪)、芝田町画廊(大阪)にて個展を開催。主なグループ展に、2018年、空記(総本山妙満寺・京都)。2019年、the high streethatoba café/gallery・京都)、work in progress 2019 切り取るための風景(Kumagusuku・京都)。2020年、此処がユートピア(POL・大阪)。2021年、Kyoto Art for Tomorrow 2021 京都府新鋭選抜展(京都文化博物館・京都)、ARTISTSFAIR KYOTO 2021(京都文化博物館別館・京都新聞ビル地下1階(京都)、Pulp & Juno Mizobuchi presents 眼閃、もしくはその因子(Basement Tokyo・東京)、ANTEROOM Transmission vo.1-変容する社会の肖像-(ホテルアンテルーム京都 GALLERY 9.5・京都)、トゥールビヨン19Oギャラリーeyes・大阪)、2022年、∃に接続するための方法論(TENSHADAI・京都)、Goodbye, then Hello(ホテルアンテルーム京都 GALLERY 9.5・京都)、ルーズな台座展覧会 のぼせた台座(さんずい・京都)、体操はじめます!!!POL・大阪)等に出品。

 

Oギャラリーeyes HOME