川口洋子 Yoko Kawaguchi 「わからないことを知る」

 

さかな/

14.8×21.0cm パネルにアクリル絵具 2022

スケッチドローイング_びわ

29.7×21.0cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

(折り畳まれたユニクロの紙袋に) 落ちたかげをなぞる

h16.0×w15.5×d3.2cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

スケッチドローイング_揺れる洗濯物

21.0×29.7cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

(コットンペーパーに) 落ちたかげをなぞる

29.7×21.0cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

(クッション材に) 落ちたかげをなぞる

9.9×9.9cm ウレタンスポンジに鉛筆、アクリル絵具、カラーペン 2022

スケッチドローイング_薄暗い部屋とカーテンの隙間

15.0×20.0cm パネルにアクリル絵具 2022

(厚紙に) 落ちたかげをなぞる

21.0×29.7cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

スケッチドローイング_アジサイと関係

21.0×29.7cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

(素麺のフタに) 落ちたかげをなぞる

20.5×26.9cm 木にアクリル絵具、他 2022

砂浜と花

h14.8×w8.0×d11.0cm 発泡スチロールに砂、石、貝、ガラス、木、他 2022

点とつながり ()

115.0×76.5cm 布にアクリル絵具、糸、他 20222

さかな/口−121(展示風景)

さかな/口−1

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−2

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−3

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−4

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−5

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−6

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−7

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−8

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−9

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−10

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−11

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−12

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−13

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−14

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−15

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−16

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−17

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−18

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−19

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−20

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

さかな/口−21

21.0×29.7cm 紙にアクリル絵具 2022

釣りをしていた弟

31.8×41.0cm 木に布、アクリル絵具、他 2022

大きなもの (周防大島逗子が浜)

60.6×72.7cm 画布にアクリル絵具、他 2022

蜂と蜜

20.0×21.0cm 紙に鉛筆、木 2022

(コットンペーパーに) 落ちたかげをなぞる-2

29.7×21.0cm 紙に鉛筆、アクリル絵具 2022

2022.8.23()16時頃 周防大島逗子が浜の海 (※写真中央)

14.5×34.0cm 麻布にアクリル絵具 2022

2022.8.23()16:50-17:20 周防大島逗子が浜の海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

2022.8.23()18:35-18:50 周防大島逗子が浜の海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

2022.8.23()19:34-19:35 周防大島逗子が浜の海

3.0×19.0c m木にアクリル絵具 2022

2022.8.24()3:55-4:15 周防大島逗子が浜の海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

2022.8.24()7:40-8:55 周防大島逗子が浜の海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

2022.8.24()13:25-13:52 周防大島なぎさパークからの海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

2022.8.24()15:25-15:54 周防大島なぎさパークからの海

3.0×19.0cm 木にアクリル絵具 2022

 

 ■展覧会テキスト[Text]

「はためく絵画」

平田剛志(美術批評)

 

川口洋子の絵画は、風に揺らぐ旗を見るようだ。川口は2015年の個展で「旗」の絵画《untitled(hata-1)》とその作品を屋外に立て掛けた様子を記録した映像作品を発表しているが、これは川口の絵画観の現れである。なぜなら、自然や気象の変幻変化を受け入れながら、その姿形や見え方を変え、風にはためき浮遊する旗は、川口の後の「絵画」のあり方を示しているように思えるからだ。

川口の絵画の特徴は、支持体となるパネルの木目やキャンバス地を残した画面に色斑のある色彩が散りばめられた画面である。建物や山などの形状から風景と認識できるものもあれば、何かの残像や描きかけの図像のように見える抽象画もある。その画面からは、サイ・トゥオンブリーや李禹煥の油彩《風より》《風と共に》、村上華岳の晩年の水墨画を想起する筆触と余白の響き合いを感じる。

では、川口は何を描いているのか。作家の初期のテキストによれば「キャンバス自体から見えた色形を拾い上げてなぞり描く」のだという。この言葉から水玉や網目が見える幻視体験をもとに制作する草間彌生や神秘主義に傾倒したヒルマ・アフ・クリントなどを想起するかもしれない。

川口はその後、支持体や画材にビニール袋や身の回りの品々を用いたコラージュのような「絵画」、眼を閉じて周囲の音を色で描く「音ドローイング」、タブレットによるデジタルペインティング、スピッツの楽曲をもとにした映像、厚紙や素麺のフタなどの支持体に落ちた影を描く「落ちたかげをなぞる」などさまざまな素材や感覚、場所と関係が相互作用しあう絵画を探究してきた。

これら川口の多彩な仕事は、はためく旗の揺れのように、見過ごしてしまいそうな小さな物や現象、感覚など、日常のふとした「今」に行為と注意が向けられている。川口の作品は、キャンバスやパネルなどの支持体が置かれている周囲の環境、制作中に感受した現象や感覚、記憶や連想などの揺れを画面に反映したライブな出来事なのだ。録画や録音などデータ配信が主流となった現代において、経験はオリジナルである。実際の絵画を見ることでしか現れない感覚がある。

今、絵画は鑑賞者の何を揺さぶるだろうか。

 

 ■川口洋子 コメント  [Artist Statement]

歩いている時、とてもきれいな光だと思った。

光源を離れると光自体を見ることは出来ず、何かに反射して初めて見ることが出来るとどこかで聞いたことがある。

光がないとものを見ることが出来ないのに光自体を見ることは出来ない。

でも光自体を描きたいと思った。いざキャンバスを前にして描こうと思うと、どうやって描いたらいいのかわからなかった。それでも向き合ってみて、何故か光の様だと感じた布自体や絵の具のツヤとマットの組み合わせの特徴を使って描いてみると、何か光のようなものが表れた。

それでも光についてわかったという感覚はなく、むしろいつもここにあるのに何も知らないし、わからないんだなと知った。

わからないままに光を心や体に知ったのかもしれない。

 

私は、わかっていると思い込んでいることがある。相手や作品のこと、絵やものごと、自分についても。

これまでに身に付けたり、知ったりしたことに照らし合わせて確認すると新しく見えることがあったりするけれど、つい自分の知っていることから考える正しさの為に当てはめてしまったり、自分と似ているかどうかだけを基準にものごとを捉えてしまったりする時がある。そうすると、だんだん実際に起こっていることとズレていき、何だか生きづらくなってくる。

本当は、今まで生まれてきた数え切れない一人一人が全て違う人である様に、空や海が二度と同じ状態にはならない様に、似ている様に思えることも一つずつ違う。

どんなに捉えようとしても、私には捉えられないこと、わからないことがあるということを忘れないでいたい。それが事実であると思うし、何でもわかっている自分にならなくて良いんだと思うと、自分を騙し続けなくてよくて、自尊心と本当のこととの差によって生まれた苦しさへの救いの様で安心し、少し心が開かれる気がする。

そうしたら、相手や自分を無視しないでいられるかもしれない。誰かや何かのせいにしないでいられるかもしれない。

出来るだけ、作品にもわかっていることだけではないやり方を取り入れたいと思っている。モチーフや描き方、素材、展示方法、周りの人との関わりなどの、わからないことを含んだ今目の前にしていることの一つずつに取り組んでいきたい。

これから、描きたいと思っているモチーフの1つに”人”がある。人と関わることに苦手意識があり、殆ど直接モチーフにすることがなかったけれど、描くことを通して知れることがあるかもしれないと期待しているからだと思う。

 

ある展覧会を見ていた時に、すぐにはよくわからなくてもこちらから心を開く様にゆっくりと向き合っていると、ふっと心にまで届いてくることがあった。それはわからないままに光を知ることと通じている様な気がした。

 ■略歴  [Artist Biography]

1990 大阪府生まれ

2010 京都嵯峨芸術大学短期大学部美術学科洋画コース卒業

2012 京都嵯峨芸術大学短期大学部専攻科美術専攻洋画コース卒業

2013 京都嵯峨芸術大学附属芸術文化研究所研究科修了

2013 第28回ホルベインスカラシップ奨学生

 

・個展

2009 京都嵯峨芸術大学アートプレイスU2(京都)

2012 ギャラリー301due(神戸)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

2014 Oギャラリーeyes(大阪)

2015 Oギャラリーeyes(大阪)

2016 Oギャラリー(東京)

2016 Oギャラリーeyes(大阪)

2017 点綴−絵画と日常(Oギャラリーeyes・大阪)

2018 讃む-homuOギャラリーeyes・大阪)

2019 絵のなりかたち(ギャラリーAO・神戸)

2019 しみと点(Oギャラリーeyes・大阪)

2020 真ん中に向く(Oギャラリーeyes・大阪)

2021 Oギャラリーeyes(大阪)

 

・グループ展

2010 ただ見てもらいたいんだよね(Art Community Space AKIKAN・京都)

2010 UMINO Yuka×KAWAGUCHI Yoko exhibition

(京都嵯峨芸術大学アートプレイスU2・京都)

2011 Paintingpoint(同時代ギャラリー・京都)

2012 ONEROOM'12(京都嵯峨芸術大学クラブボックス・京都)

2012 Tourbillon 10Oギャラリーeyes・大阪)

2012 GALLERY 301 GROUPEXHIBITIONGallery301・神戸)

2013 ONEROOM'13(京都嵯峨芸術大学クラブボックス・京都)

2013 Container Drawing Project

(神戸ビエンナーレ会場 メリケンパーク神戸港エリア・神戸)

2014  流れる風景(2kwギャラリー・大阪)

2014 les signes3Oギャラリーeyes・大阪)

2015 EXHIBITIONby ZERO!(あかね画廊・東京)

2015 With Art EXPO〜うまれてうれしい〜

(住之江公園・大阪、オランダ大使館・東京)

2015 LA VOZ 21stEXHIBITION(京都市美術館別館・京都)

2016  世界は同時に存在するvol.2(ギャラリー編 かのこ・大阪)

2016 EXHIBITHION by ZERO!(あかね画廊・東京)

2016 LA VOZ 22nd EXHIBITION(京都市美術館・京都)

2017 LA VOZ 23rd EXHIBITION(京都市美術館 別館・京都)

2017  sol nu 一つの黎明 この風の生まれたところ

(嵯峨美術大学付属ギャラリー アートスペース嵯峨・京都)

2018  6花セレクト合同展覧会「夏のあしあと」(6丁目の花野・神戸)

2019 COVER IVCAS・大阪)

2019 ONLY CONNECT OSAKA(クリエイティブセンター大阪・大阪)

2019 LA VOZ 25th EXHIBITION(京都市美術館 別館・京都)

2020 LA VOZ 26th EXHIBITHION(京都市京セラ美術館 別館・京都)

2021 アナタと私のねじれた世界(Oギャラリーeyes・大阪)

2021 茨木映像芸術祭上映展覧会(茨木映像芸術祭特設会場・大阪)

2021 LA VOZ 27th EXHIBITION(京都市美術館 別館・京都)

2022 第48回現代美術−茨木2021 公募部門

(茨木市立生涯学習センター・大阪)

2022 Standard Japan Edition 2022Oギャラリーeyes・大阪)

2022 第49回現代美術−茨木2022 公募部門

(茨木市立生涯学習センター・大阪)

 

 ・参考文献

 平田剛志:「川口洋子」Oギャラリーeyes 2022 個展DM(テキスト)

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