今道由教 Yoshinori Imamichi

 

スラッシュリーフ(21-1

13.0×13.8cm トレーシングペーパーにインクジェトプリント 2021

スラッシュリーフ(21-2

12.8×17.7cm トレーシングペーパーにインクジェトプリント 2021

スラッシュリーフ(21-3

14.0×11.5cm トレーシングペーパーにインクジェトプリント 2021

スラッシュリーフ(21-4

13.5×11.8cm トレーシングペーパーにインクジェトプリント 2021

花弁的(21-5

H14.2×W37.5×D37.5cm 紙にパステル 2021

花弁的(21-6

H16.3×W45.5×D45.5cm 紙にパステル 2021

花弁的(21-7

H22.8×W34.0×D34.0cm 紙にパステル 2021

圧縮のストライプ(21-8

H16.0×W16.0×D13.0cm 紙にカラージェッソ、ポスターカラー 2021

色面の出来事

(右から21-911

33.3×24.2cm 紙にパステル 2021

 

 ■今道由教 コメント  [Artist Statement]

「何が絵画であるのか」、「絵画表現とは何か」という問いの下、作品の表面に現れるイメージの視覚性とその基底面となる支持体の物質性との関係を探りながら、幾つかの絵画表現を試みています。絵画の物理的な表と裏の在り方に着目し、一枚の紙の両面に線を描く、色を塗るといった描画行為のほかに、紙を折る、裂く、圧縮するなど、支持体の形状に働きかけることで、支持体全体が図像を生成しながら自らを形づくるような絵画を模索しています。

 

展示作品について

 

「スラッシュリーフ」

支持体にA4サイズのトレーシングペーパーを使用し、色彩ごとに表と裏に分けて描いた連続する短い斜線をプリントすると反対面の斜線が透けるため、表と裏の斜線が繋がるように見えます。この両面にプリントされた一枚の紙を折り重ねることで表裏の短い斜線の行列が交差し、格子模様などの幾何学的な図像が浮かび上がります。支持体の折り重なったレリーフ状の物質的な層と表面に現れるイリュージョンの視覚的な層が織りなす小さな絵画空間に取り組みました。

 

「色面の出来事」

画面全体(両面)を不定形な色面で埋めた絵画です。一枚の紙が繋がった状態を保つようにフリーハンドで裂いた部分を手前や背後に折った状態で片面ごとに異なる色彩を全体に施して、再び折った部分を開いて元の平らな状態に戻すと、フリーハンドよる亀裂部分の曲線と折り目部分の直線によって象られた色面が現れます。今回は紙全体に地塗りを施しています。そのため折られた部分のマスキング作用で地の色彩がそのまま残る形象と色彩が重なり混色された形象とにより画面が構成され、同じ色彩の組み合わせでも色彩の重ねる順番が変わると混色の現れ方が異なるものになっています。

 

「花弁的」

スケッチブックを支持体とし、その形式を活かした絵画作品です。綴られたシートを一枚おきにフリーハンドで上下2分割に裂き、そのシートを型紙に用いて、型紙が接する左右両側のシートを上下それぞれの型紙と一緒に彩色することで上下に分割された色面の形象が写し取られます。各シートが相互に作用することで形づくられるプロセスを繰り返し、最後のシートの型紙が一枚目の表側に写し取られることで、上下に分割されたシンプルな色面が円環状に連鎖する1冊の絵画になりました。

 

「圧縮のストライプ」

以前より両面に耐水性のない絵具で彩色した紙を、水に濡らして手のひらで圧縮すると、再び絵具が溶け出し、両面の色彩が混じり合って一体化するような作品を制作しています。今回、元となる支持体の両面には、耐水性のない絵具と耐水性絵具とで縞模様を描いています。圧し潰され、形状が変化した支持体は、表裏の色彩が混じり合った絵具で覆われ、耐水性部分のシャープな色帯が見え隠れする一塊の絵画になりました。

 ■略歴  [Artist Biography]

1967 大阪府生まれ

1990 甲南大学文学部社会学科卒業

 

・個展

1992 ギャラリー白(大阪)

1993 オンギャラリー(大阪)※以降〜`99年まで開催

2000 番画廊(大阪)

2001 SAIギャラリーWALL(大阪)※以降〜`06年まで開催

2007 番画廊(大阪)※以降`09年〜`13年まで開催

2008 SAIギャラリーWALL(大阪)

2014 Oギャラリーeyes(大阪)※以降、毎年開催

2017  大ギンガ書房(大阪)※以降、`18年開催

 

・グループ展

1997 ひらかたの若き美術家たち展(枚方市立御殿山美術センター・大阪)

2009 NEO STUDIO 9WORKS(ギャラリー菊・大阪)

2010 青の美学展(ギャラリー菊・大阪)

2012 ひらかたコンテンポラリーアート2012Note Gallery・大阪)

2012 枚方の美術家展(ギャラリー菊・大阪)

2013 New Years Art ExhibitionNote Gallery・大阪)

2013 未来を拓くExhibition(ギャラリー菊・大阪)

2013 サ・ヨ・ナ・ラbangarow展(番画廊・大阪)

2014 New Years Art ExhibitionNote Gallery・大阪)

2014 赤地さんを偲ぶ仲間たち展(茶屋町画廊・大阪)

2014 未来を拓くExhibition(ギャラリー菊・大阪)

2016  Neo Realiste 10WORKS(ギャラリー菊・大阪)

 

・参考文献

三脇康生:月刊「美術手帖」199310月号(レビュー)

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