野中 梓 Azusa Nonaka

 

昼下がり、小窓から陽が差す時のトイレの壁−1

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2021

昼下がり、小窓から陽が差す時のトイレの壁−2

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−7

15.8×22.7cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−2

18.0×14.0cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−5

18.0×14.0cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−4

18.0×14.0cm カンヴァスに油彩 2021

夜、電気をつけた時の廊下の壁(右)

33.3×24.2cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−3

27.3×22.0cm カンヴァスに油彩 2021

石之ビルの階段の床−1

18.0×14.0cm カンヴァスに油彩 2021

 

 ■野中 梓コメント  [Artist Statement]

・見て描くことについて

2019年秋の個展を終えて少し経った頃に、写真を見ながら絵を描くのをやめてみようと考えていた。その頃のインスタグラムに、こんな文章を書いていた。「私の父は、年をとらなくなってからも毎年Facebook上で誕生日を迎えている。112日生まれ。今年もiPhoneのロック画面に通知があった。院に進学した春、父の葬儀の直前、父の顔を描いた。数時間後には無くなってしまう身体、姿、カタチ。ノートに鉛筆で、たぶん1520分くらい。見て描く事が出来る最後の時間。そんな切実な時間ってなかなか無い気がする。」その絵の出来不出来、良し悪しはともかく、その時その場でしか描けない絵を描いたんだなぁと思い返し、投稿したものだった。

 

・自宅の壁について

日頃よく滞在している場所で、同じ壁面の異なる様相にふと出会う。私が見ていても、見ていなくても、その対象はただそこに在る。普段は気にも留めていないが、関わろうと働きかけたとき(油絵具でその色や光や影を描こうと試みたとき)に、ふと見つかる。写真を使わずに絵を描くにあたって、まず選んだモチーフは自宅の壁面や冷蔵庫などの平らな面だった。そこには「冬の陽の向きじゃないとこの壁に光は当たらないのか」とか「冷蔵庫そのものは白色だけど、廊下の電気と床の反射でこんな色になるのか」とか、ささやかな発見と感動がある。今回展示しているトイレの壁の絵は数日置きに、小窓から陽が差す時間帯にトイレに座って描いた。曇りの日は陽が差し込まなくて描けなかった。

 

・石之ビルの階段について

自宅内の絵を色々と描いてみたあと、他の場所も気になってきた。Oギャラリーeyesにはよく通っているので、展覧会を見たついでに少しずつ石之ビル内の絵を描くことにした。階段に腰掛けて床を眺めていると、床の表面に映り込んだぐにゃぐにゃした形の、固定されない感じが気になった。一見平らなようで実は波打っているので、映り込んだ手摺りや壁や窓が歪んで見える。覗き込む角度が少し変わると、見えている形も変わる。絵の中に現れる像は「瞬間」ではなく、制作に取り掛かった時間の平均的な姿となる。

 ■略歴  [Artist Biography]

1991 大阪府生まれ

2014 京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科油画分野卒業

2016 京都嵯峨芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻造形絵画分野修了

 

・個展

2016 Oギャラリーeyes(大阪)

2017 Oギャラリーeyes(大阪)

2018 Oギャラリーeyes(大阪)

2019 Oギャラリーeyes(大阪)

2020 Oギャラリーeyes(大阪)

2021 Oギャラリー(東京)

 

・グループ展

2012 blue projectMATSUO MEGUMIVOICE GALLERY pfs/w・京都)

2013 KYOTO CURRENT 2013(京都市美術館別館・京都)

2015 Perfume Art Project(堀川出水団地第三棟・京都)

2015 京都-清州「現在美術の地層2015」−状態としての存在−

(京都嵯峨芸術大学・京都)

2015 トゥールビヨン 13Oギャラリーeyes・大阪)

2016 思考する視線 2016Art Space-MEISEI・京都)

2016 −世代を超えて2人展vol.6−宇野和幸・野中梓2人展

(銀座 K'sギャラリー・東京)

2016 LA VOZ 22nd EXHIBITION(京都市美術館・京都)

2017 Between the scene and the form 2017Oギャラリー・東京)

2018 思考する視線2018Art Space-MEISEI・京都)

2018 Young Creators Award 2018MI gallery・大阪)

2019 ギャラリー大井選抜展(嵯峨美術大学ゆかりの作家たち展)

(ギャラリー大井・大阪)

2019 HANKYU ART FAIR Neo SEED(阪急うめだ本店9階祝祭広場・大阪)

2019 入佐美南子退職記念展−存在−イメージの形象 第2

「入佐美南子と仲間たち」展(嵯峨美術大学・京都)

2019 新・輝いて麗しの油絵具(Oギャラリーeyes・大阪)

2021 群馬青年ビエンナーレ2021(群馬県立近代美術館・群馬)

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