野中 梓 Azusa Nonaka

 

よせてはかえす−15

130.3×194.0cm カンヴァスに油彩 2019

よせてはかえす−13

130.3×162.0cm カンヴァスに油彩 2019

よせてはかえす−14

65.2×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

oil20

24.2×33.3cm カンヴァスに油彩 2019

oil21

24.2×33.3cm カンヴァスに油彩 2019

oil22

24.2×33.3cm カンヴァスに油彩 2019

よせてはかえす−11

38.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2019

よせてはかえす−16

72.7×91.0cm カンヴァスに油彩 2019

oil19

15.8×22.7cm カンヴァスに油彩 2019

 

 ■野中 梓 コメント  [Artist Statement]

−よせてはかえす−

わたしはこれまで主なモチーフとして、白い壁面の片隅や白い布の波打つ襞、それらの部分を切り取って描いてきた。そして年々モチーフの部分へと寄っていき、画面上に現れる姿は曖昧な形になっていった。主な理由は二つある。一つは、具体的な形象によって過剰に意味が生まれること・鑑賞者が何かを読み解こうと努めてしまうことを避けるためである。わたしの制作上の関心は描くことそのものにあるからだ。もう一つは、輪郭線でたどることの出来ない絵を描きたいと思うようになったためである。モチーフの表面に移ろう光と影、色の調子を、油絵具で描くことに重きを置いているからだ。

壁や布をそれとわかる形で描いていた頃は、像がこちら側に立ち昇ってくるような・立体的に描き起こしていくような感覚だったが、この頃は画面に対しあちら側へ没入していくような感覚に変わってきている。何かに例えるなら、霧の中や、筆洗器の底、淀んだ川の中を覗いているようだと思う。そのような連想をした事から、(継続して壁や布を描きつつも)今回は新たに濁った水面の絵を描いた。

 少しずつ描く対象は変化してきているが、わたしの関心は依然として、白い油絵具、白濁した色、それらの絵具によって画面上に現れる光、空間にある。

 

oil

このシリーズは、今年7月に開催された「新・輝いて麗しの油絵具」への出展にあたってギャラリーから出された“宿題”がきっかけで描き始めた。その内容は「油絵具をモチーフにして油絵を描くこと」だった。わたしはそれを受けて、油絵具を見て描くことにした。まず眺められる状態にするために、板やキャンバスに油絵具を塗って、モチーフを作成した。チューブから出したままの単色をモチーフにして描いたのでは支持体に色を塗る行為をただ2回繰り返すことになってしまうのではないか?と思ったので、なるべく塗り重ねたり、混色したりした。また外的な影響を受けるよう、ツヤを出す溶き油を混ぜたりもした。そうして出来上がったモチーフの表面を眺め、油絵を描いた。

これまでに描いた絵とあえて比較するならば、この《oil》の連作は具体的な形の無い、ただ色が塗られただけのものに見えるかもしれない。しかし布や壁や川を描くことと同様に油絵具(を塗った板)という対象が実在し、やはりその表面に移ろう光と影、色の調子が起点となっている。画面いっぱいに描かれた色が像なのである。

 ■略歴  [Artist Biography]

1991 大阪府生まれ

2014 京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科油画分野卒業

2016 京都嵯峨芸術大学大学院芸術研究科芸術専攻造形絵画分野修了

 

・個展

2016 Oギャラリーeyes(大阪)

2017 Oギャラリーeyes(大阪)

2018 Oギャラリーeyes(大阪)

 

・グループ展

2012 blue projectMATSUO MEGUMIVOICE GALLERY pfs/w・京都)

2013 KYOTO CURRENT 2013(京都市美術館別館・京都)

2015 Perfume Art Project(堀川出水団地第三棟・京都)

2015 京都-清州「現在美術の地層2015」−状態としての存在−

(京都嵯峨芸術大学・京都)

2015 トゥールビヨン 13Oギャラリーeyes・大阪)

2016 思考する視線 2016Art Space-MEISEI・京都)

2016 −世代を超えて2人展vol.6−宇野和幸・野中梓2人展

(銀座 K'sギャラリー・東京)

2016 LA VOZ 22nd EXHIBITION(京都市美術館・京都)

2017 Between the scene and the form 2017Oギャラリー・東京)

2018 嵯峨美術大学油画研究室展「思考する視線2018

Art Space-MEISEI・京都)

2018 Young Creators Award 2018 (MI gallery・大阪)

2019 ギャラリー大井選抜展(嵯峨美術大学ゆかりの作家たち展)

(ギャラリー大井・大阪)

2019 HANKYU ART FAIR Neo SEED(阪急うめだ本店9階祝祭広場・大阪)

2019 入佐美南子退職記念展−存在−イメージの形象 第2章「入佐美南子

と仲間たち」展(嵯峨美術大学・京都)

2019 新・輝いて麗しの油絵具(Oギャラリーeyes・大阪)

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