久家多佳恵 Takae Kuge 

 

赤の風景-4

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤と少しの青

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

untitled-86

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-3

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-2

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-9

130.3×162.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-8

130.3×162.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-1

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-5

14.0×18.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-7

14.0×18.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤と赤

14.0×18.0cm カンヴァスに油彩 2019

赤の風景-6

14.0×18.0cm カンヴァスに油彩 2019

 

 ■久家多佳恵 コメント  [Artist Statement]

「今はそっちへ行きたい、とひたすら向かって行く。

景色を見たときに感じるのは、そっちではなく、あっちに来たということ。

そこからまた、ゆっくりそっちへ向かって行くと、ここに戻ってきてしまう。

そうやってぐるぐる巡っていると、ここの周りを巡っていただけなのかなと思います。」

これは2012年の展示でのコメントですが、ひたすらこの作業を繰り返していた様に思います。

 

今回は先に「赤色を塗りたい」という衝動があり、色を描くこと、感覚的に思い浮かぶ風景(海や丘の様な景色)を描くことを意識しました。

赤という色を表現するために、ただ赤い絵の具を塗ってしまうと、色ではなく物質になってしまいます。

私にとって、厚みのあるキャンバスに、物質である絵の具を塗る、という行為それ自体は、絵を描くというよりも、立体物を作る感覚に近いものがあります。当たり前のことですが、物心ついてから、ある程度大人になるまで、紙に描くことが普通でしたので、キャンバスに絵の具で描く、という行為は未だに「非日常」の感覚です。

色とは光でもありますが、物質ではなく光を表現するために、極力絵の具から物質感を取る必要があります。そこでなるべく薄く溶いた絵の具を塗っていくのですが、重力で絵の具は自然と下へ流れていきます。流れていく絵の具も綺麗だなーと眺めているのですが、あまりに流れてばかりだと、今度は色ではなく液体を描いてしまっていることに気付きます。ですので、上下ひっくり返したり、画面中央で流れを止めたりしながら色を描いていきます。

 

血や肉といった色でもある赤は、生を感じさせる色であり、感情を表す色です。生きることは、感情を感じることができる状態と考えます。

また、存在の不確かさ、というものを日頃感じています。存在とは、人だけでなく、物、空気、時間といった在るとされるものです。人であれば、いないものとして扱われる人。忘れられて棚の奧にしまわれたままの物。空気に関しては見えもせず、時間は一定なはずなのに、長くも短くも感じます。

それは自分自身に対しても例外ではなく、空間なのか、その空気なのか、その場所と一体化したような感覚になり、私は本当に存在しているのか、と疑問に思うことがよくあります。(これはネガティブな感覚ではなく、むしろ気持ちが良い状態です)

人なんて死んだら骨になって、それもいつか土になって・・・と、そんなことを思うと、存在しているものって全部自分の一部だよなぁと、妙に一体化する感覚が腑に落ちるのです。

 ■略歴  [Artist Biography]

1987 宮崎県生まれ

2007 大阪芸術大学短期大学部版画コース卒業

2008 大阪芸術大学短期大学部専攻科デザイン美術専攻修了

 

・個展

2011 Oギャラリーeyes(大阪)

2012 Oギャラリーeyes(大阪)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

2014 Oギャラリーeyes(大阪)

2015 Oギャラリーeyes(大阪)

2016 Oギャラリーeyes(大阪)

2018 Oギャラリーeyes(大阪)

2019 第9回チャレンジギャラリー 「何もないところ」(宮崎県立美術館・宮崎)

 

・グループ展

2009 せんとめんと展(GALLERY wks.・大阪)

2012 Les signesU(Oギャラリーeyes・大阪)

2013 絵画と版画二人展(Cの渦・宮崎)

2015 宮崎アーティストファイル“ガール展”(高鍋町美術館・宮崎)

2016 第25回記念英展(田川市美術館・福岡)

 

・参考文献

青井美保 :「久家多佳恵−何もないところ」展 宮崎県立美術館(テキスト)

Oギャラリーeyes HOME