小川直樹 Naoki Ogawa

 

夜明けの製図係

33.3×53.0cm カンヴァスに油彩 2018

生温く漂う地図の中の水面

72.7×91.0cm カンヴァスに油彩 2018

木に棲む悪魔の思い出U

194.0×162.0cm カンヴァスに油彩 2018

孤独なガリレオの為に

72.7×72.7cm カンヴァスに油彩 2018

内臓という名の迷宮へと至る通路

72.7×60.6cm カンヴァスに油彩 2018

瞼の裏の暗闇を見つめる男

53.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2018

メタモルフォーゼ

53.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2018

プリオシン海岸のくるみ

53.0×53.0cm カンヴァスに油彩 2018

真夏の夜の夢

45.5×38.5cm カンヴァスに油彩 2018

この王冠は彼女へ与えて下さい

27.3×27.3cm カンヴァスに油彩 2018

モノクロの夢で現れた、一瞬の色彩

33.3×33.3cm カンヴァスに油彩 2018

昔見た扉が開かれていた

45.5×53.0cm カンヴァスに油彩 2018

ハニカム惑星

194.0×162.0cm カンヴァスに油彩 2017

木に棲む悪魔の思い出

53.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2018

 

 ■展覧会テキスト[Text]

「自分語りの文法」

福元崇志(国立国際美術館研究員)

 

たとえば家族や友人の姿。たとえば作業場と故郷とが入り混じった幻想的な光景。また、たとえば「球体」(と本人が呼ぶ、円形に配された色鮮やかなタッチの集積)。記録ないし記憶にもとづくものか、空想であるかの違いはあれども、小川直樹はもっぱら、身辺を主題に絵を描く。何と出会い、何を感じ、何を思ったのかと自らに問いかけ、「私」の断片を次々と絵にしていくことが、この画家の仕事であるといえるだろう。とはいえそれを、シュルレアリスム的な自己分析、と即断することはできない。その内向きな自分語りをとおして目指されているのは、大文字の歴史、つまり「私たち」が分かち合う大きな物語への、ささやかな抵抗である。

小川は、安易に共有されること、共感されることを拒む。つまり、その作品は鑑賞者に対して精神的な距離をとり、接近不可能な存在でありつづけようとしている、と。具象とも抽象ともつかないイメージを生み出す理由は、この点に求められるし、なによりその「球体」は、思い出や想像を「私」だけのものに留めおくための保護膜であるようにも思える。いや、ことは描写の方法や対象だけにとどまらない。好んで小さな作品を手がけていること、それ自体が共感回避の戦略であるとしたら、どうだろうか。

小ささは、ふつう、親しみを生む。捉えようとする対象が小さければ、ひとはおのずと近づき、目を凝らすが、そのとき物理的な近さは、精神的な親密さへと転化するはずである。小川の手がける小品群もまた、しかり。だがその展示方法ゆえ、鑑賞者は、作品から身を離さざるをえなくなるだろう。展示室の壁のうえ、縦横無尽に配されていくそれら小品群は、一つ一つが独立した作品でありながら、同時に壁面を飾る構成要素としても機能する。木を見ず森を見るべきか、それとも森を見ず木を見るべきか、この両立不可能な二択が「小さくて遠い」の葛藤を引き起こすわけである。しかも、距離をとって眺めてみたところで、小品相互の文脈は開かれたまま、全体に筋道を見出すことはほとんどできない。木を見ることも、森を見ることもままならないその絵画実践において、作品とお近づきになる術は、あらかじめ挫かれている。

徹底して自閉的たらんとする小川の絵画。共有不可能であることを目指すその方法は、しかし意外と理にかなっていて共有可能である。自分語りの文法が、今後どのように展開していくのか、注目したい。

 

 ■小川直樹 コメント  [Artist Statement]

この世界には様々な分野の学者や専門家の方達がいます。それは内容を理解できるできないに関わらず、私にとって魅力的な存在に映ります。

それと同様に、我々は自分の世界の専門家として研究を重ねる事ができます。フィールドワーク、その人の為だけの資料を読み解き、勝手気儘に考えを巡らす、これは学術的な方法論を必要としない、良性の孤独を含んだあまりに自由な研究と言えます。

ある人にとっては世界が丸くなくたって構わないし、想像の余地は日常レベルで、まだ至る所に残されています。

例えば変哲の無い日々の反復の中の風景でも、現実と想像が混ざり合いその人なりの見え方、感じ方を得る事があると思います。固定された認識が溶け出す様な拡がりや深まりを見出す事で、ささやかながらも、私達は大変な喜びを感じることができるのではないでしょうか。

大袈裟に言えば、個々人の世界形成の改革と言えるもの、それはほんの僅かな生命の進化なのかもしれません。そんな小さな連続が、この世界に漂う大きな災いに抗う力を秘めているのではないかと感じています。

人は大昔から何かを描き、また記して来ました。私は現在を生きる人間の1つの個体として、この世界の在り様を描いて行きたいと思っています。

 ■略歴  [Artist Biography]

1984  島根県生まれ                                                         

2007  成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス卒業

2008  成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス研究生修了

2010  25回ホルベインスカラシップ奨学生

 

・個展

2008  Oギャラリーeyes(大阪)

2009  Oギャラリーeyes(大阪)

2010  Oギャラリーeyes(大阪)

2011  Oギャラリーeyes(大阪)

2011  Oギャラリー(東京)

2012  Oギャラリーeyes(大阪)

2012  Oギャラリー(東京)

2013  Oギャラリーeyes(大阪)

2014  Oギャラリーeyes(大阪)

2015  Oギャラリーeyes(大阪)

2015  Oギャラリー(東京)

2016  Oギャラリーeyes(大阪)

2017  Oギャラリーeyes(大阪)

2017  Oギャラリー(東京)

 

・グループ展

2005  ART & CRITIC(成安造形大学ギャラリー/アートサイト・滋賀)

2007  PIECES(海岸通りギャラリーCASO・大阪)

2010  シェル美術賞2010(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)

2011  THE GALAXY−パラノイア銀河(Oギャラリーeyes・大阪)

2012  The 13th Anniversary Pre ExhibitionKICKS(Oギャラリーeyes・大阪)

2012  群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館・群馬)

2013  DrawingExposed essence 2013Hydro」(Oギャラリーeyes・大阪)

2015  琳派400年記念・京都新鋭選抜展2015(京都文化博物館・京都)

2015  FACE2015 損保ジャパン日本興亜美術賞展

(損保ジャパン日本興亜美術館・東京)

2015  トゥールビヨン13Oギャラリーeyes・大阪)

2015  FACE2015 選抜作家小品展(REIJINSYA GALLERY・東京)

2016  FACE2016 損保ジャパン日本興亜美術賞展

(損保ジャパン日本興亜美術館・東京)

 2016 シェル美術賞2016(国立新美術館・東京)

2017 トゥールビヨン0(Oギャラリーeyes・大阪)

 

・受賞

FACE2016 損保ジャパン日本興亜美術賞展

(審査員特別賞)(オーディエンス賞)

シェル美術賞展2016(グランプリ)

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