日下部一司 Kazushi Kusakabe 「風景を愛でる」 

 

隙間の風景・B

85.5×56.5×3.0cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

Panoramic viewB

39.4×50.9×2.8cm ゼラチンシルバープリント、油絵具、木製フレーム 2017

Panoramic viewC

39.4×50.9×2.8cm ゼラチンシルバープリント、油絵具、木製フレーム 2017

縦列全景・A

37.0×24.5×3.0cm ゼラチンシルバープリント、油絵具、木製フレーム 2017

矩形を眺める・A

85.0×46.0×3.0cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

遠い/近い・C

40.0×40.0×2.8cm ゼラチンシルバープリント・油絵具、木製フレーム 2017

遠い/近い・A

40.0×40.0×2.8cm ゼラチンシルバープリント・油絵具、木製フレーム 2017

隙間の風景・A

49.5×85.5×3.0cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

重力風景・A

44.0×36.3×2.8cm ゼラチンシルバープリント・油絵具、木製フレーム 2017

Drawing line

75.2×51.5×2.5cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

image circleA

40.0×40.0×2.8cm ゼラチンシルバープリント、油絵具、木製フレーム 2017

境界を見る・C

90.7×51.5×2.5cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

矩形を眺める・C

60.3×60.3×2.5cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

対角を見つける

19.2×19.2×5.0cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

境界を見る・B

60.3×34.3×2.5cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

境界を見る・A

60.3×34.3×2.5cm ラムダ銀塩プリント、アクリルマウント、鉄製フレーム 2017

 

 ■日下部一司 コメント  [Artist Statement]

展覧会のタイトルは「風景を愛でる」ですが、正確には「ファインダー越しの風景を愛でる」です。

いや、「支持体に定着された、ファインダー越しの風景を愛でる」というのがより正確な気もします。

ここでいう支持体とは印画紙やアクリル板、それらを包むフレームなど、写真を成り立たせている物理的な仕掛け、といったらいいかもしれません。要するに、風景を見る・とらえる・手を加える、という一連の工程自体を愛でることです。

この展覧会ではデジタルカメラとフィルムカメラ、2種類で撮影した写真を展示しています。

以前からデジタル写真のつかみどころのない不在感とどう関わるか考えてきました。

モニターで映し出される写真が電源を落とすと消えてしまったり、ネット上で無限に拡散してしまう、そういう不気味さのようなものとどうつきあうかという問題です。

デジタル写真の居場所をどうやったら確保できるのか、最初に試みたのは印刷物にすることでした。

インクのドットに置き換えること。そうすることでインクがイメージを生み出す触媒になるからです。イメージが逃げ出せない装置というかそういう場所を作りたかった。

銀塩写真という約束の中に封じ込めることも一つの方法です。つまり、デジタルデータを銀塩写真として焼き付けることです。ラムダ銀塩プリントなどと呼ばれますが、この方法で今回の展示作品は制作されています。

また、ファインダーの四角い形を再確認できるように自作の鉄フレームをつけました。

フィルムでの写真は、現像から焼き付けまでの一連の作業を自分の手で行っていますが、極力手作業の痕跡を残そうと考えています。

油絵の具を使った着彩を今回はじめて試みました。これは幕末に流行った「横浜写真」にヒントを得ています。横浜写真は水彩顔料で着色されていますが、今回の出品作品はブロムオイルという古典印画法を参考に工夫した技法で、油絵の具でほんのわずかに彩色することで、モノクロ写真が独特のリアリティを持ってくる、その瞬間が面白いのです。

フレームに対して写真のサイズが小さいのは、視点の拡散を防ぐ目的です。小さい方がカメラのファインダーを意識しやすいこともあります。

 ■略歴  [Artist Biography]

1953年、岐阜県生まれ。1976年、大阪芸術大学芸術学部美術学科版画専攻卒業。1975年、ギャラリー射手座(京都)にて初個展を開催。以降、信濃橋画廊(大阪)、シティギャラリー(神戸)、ギャラリーココ(京都)、ウエストベスギャラリー・コヅカ(名古屋)、サイギャラリー(大阪)、The Third Gallery Aya(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)、伊丹市立工芸センター(兵庫)、京都造形芸術大学芸術館(京都)、ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)、Marie Gallery(東京)等で個展を開催。その他、京都市美術館(京都)、東京都美術館(東京)、ブラッドフォード美術館(イギリス)、リュブリアナ美術館(旧ユーゴスラビア)、兵庫県立美術館(兵庫)、大阪府立現代美術センター(大阪)、岐阜県美術館(岐阜)、ウオーカーヒルアートセンター(ソウル)、姫路市立美術館(兵庫)、ドイツ文化センター(デュッセルドルフ)、中之島デザインミュージアム(大阪)、京都市文化博物館(京都)、大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪)、徳島県立近代美術館ギャラリー(徳島)等、国内外の美術館、ギャラリーで開催されたグループ展等に多数出品。

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