Semantic portrait 4(セマンティック ポートレイト 4

 

 

 展覧会趣旨[Purpose of Exhibition

古くから描かれてきた人物画は、個人の外貌を記録的に描写した肖像から、時代背景を窺わせる大衆像、自己を投影したセルフポートレートなど様々な視点で描かれてきました。それらは宗教観の中で聖像視される普遍的な対象や社会的な立場を示すアイコンとして、あるいは性や苦痛、死といった現実に即した生命を構成するモデルとして描かれ、多くの人を魅了してきました。現在も圧倒的な欲求として描かれる人物画ですが、人種や性別を超え多様に存在を認識しあう現代において、どのように観者との出会いを拓かされるのでしょうか。それぞれの作品から見えてくる人との関わりや人物像に焦点をあて、そこから捉える事の出来る作家の視点を探ります。

OギャラリーeyesO Gallery co.,ltd.

 

中塚亜季 Aki Nakatsuka

他人になる日(Die Verlorene Zeitより)

65.2×80.3cm カンヴァスに油彩 2016

spectrum-Witch-hazel-

50.0×60.6cm カンヴァスに油彩 2016 

spectrum-landscape-

91.0×72.7cm カンヴァスに油彩 2016

 

■中塚亜季 コメント  [Artist Statement] 

誰かの姿かたちを思い出す時、私の記憶にはその人の表情にかかる影や色彩による残像が浮かび上がる。そこには目で捉えることのできる事実と、目では捉えられないその場の雰囲気や精神性が混在する。

私は像と自身の感覚のズレを基に対象の精神性を絵画という形で可視化することを目指している。具体的な方法として、場面が演出された写真や映像に依拠しながら、情景の中に像を浮かび上がらせる。写真が偶発的事実を表す記録だとすれば、絵画は常に記憶を反芻しながら、主観や物語を刻み込む装置としても働くのではないだろうか。自身の身体を介して感覚の確認を行いながら、新たな画面を作り出すことで物事の背後にある事象と対峙していきたい。

■略歴  [Artist Biography]

1991年、鹿児島県生まれ。2014年、京都精華大学芸術学部造形学科洋画コースを卒業。2016年、京都精華大学芸術研究科博士前期課程芸術専攻を修了。主なグループ展に、2012年、「あの人」「あの子」展(ギャラリーアーティストロング・京都)、ART COME 2012(けいはんな記念公園 ギャラリー月の庭・京都)。2013年、大学コンソーシアム京都企画 洛美展(洛友中学校・京都)、ART COME 2013(けいはんな記念公園 ギャラリー月の庭・京都)、非決定的な対面(京都精華大学 7-23gallery 他・京都)。2014年、京展(京都市美術館・京都)。2015年、FINE ARTUNIVERSITY SELECTION 2014?2015 新進芸術家育成交流制作展(茨城県つくば美術館・茨城)、京展(京都市美術館・京都)では「芝田記念賞」を受賞、葛城発信 ARTFAIR2015(當麻寺護念院本堂・奈良)では二席を受賞。2016年、藝文京展 2016(京都芸術センター・京都)、第3回未来展−美大の競演(日動画廊・東京)等に出品。

 

大津安以 Ai Ohtsu

横たわる一人の頭部

130.3×130.3cm カンヴァスに油彩 2016

台の上の頭部

33.3×33.3cm カンヴァスに油彩 2016

白い丸を2つ浮かべる頭部

80.3×80.3cm カンヴァスに油彩 2016

 

■大津安以 コメント  [Artist Statement]

小さい頃、あひるになりたかった。“1人から1羽に”なりたかったのだ。

そんな私が今は人を描いている。

キャンバスを“1枚から1人に”したいのだ。

絵の中の人物は、じっと動かない。

無言で、絵画空間にいるだけ。あまりにも堂々たる姿。

その姿に、心打たれるのだ。

原始的で、単純な、誰もが持っている、“1人の存在”がそこにある。

この感動が続く限り、私は人を描くだろう。

■略歴  [Artist Biography]

1991年、大阪府生まれ。2014年、京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業。2015年、GALLERY SAGE(大阪)にて初個展を開催。主なグループ展に、2011年、151人展(art gallery そら・大阪)。2012年、KURUKURU展(阪急百貨店うめだ本店・大阪)。2013年、つながる展(Gallery Ort Project・京都)、トゥールビヨン11Oギャラリーeyes・大阪)。2014年、人間展(金沢21世紀美術館・石川)、CAUSE ON THE SURFACE 4Oギャラリーeyes・大阪)。2016年、Between the scene and the form 2016Oギャラリーeyes・大阪)、Enigmatic behaviorOギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 

一井すみれ Ichii Sumire

未来を犠牲に今に浸る

162.0×130.0cm カンヴァスに油彩 2016

統一に都合良い分割

53.0×45.5cm カンヴァスに油彩 2016

祖国

72.7×91.0cm カンヴァスに油彩 2016

勝利者の基準

31.8×41.0cm カンヴァスに油彩 2016

勝利者たち

41.0×31.8cm カンヴァスに油彩 2016

迷子6

14.0×18.0cm カンヴァスに油彩 2016

 

■一井すみれ コメント  [Artist Statement]

遠くに在るものの方がよく(詳しく)みえる。だから私でもあなたでもない遠いところ(絵画)へ人物を置いて(描いて)いる。そうして現代での存在認識を提示したい。私たちが私たちの観客になった時、そこで初めて、私たちはどうあるべきか、考え始められるはずだからだ。

■略歴  [Artist Biography]

1993年、兵庫県生まれ。2016年、京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科油画分野を卒業。現在、多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程(修士)絵画専攻油画研究領域に在籍。2015年、KUNST ARZT(京都)にて初個展を開催。2016年、The Artcomplex Center of Tokyo(東京)で個展を開催。主なグループ展に、2014年、SAGA DASH2014Art Space-MEISEI・京都)。2015年、SUNABAショーケース2015SUNABA GALLERY・大阪)、SAGA DASH2015Art Space-MEISEI・京都)等に出品。

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