●Enigmatic behavior なんで年寄って真夏に熱いお茶を好んで飲むの?

 

 

■展覧会趣旨[Purpose of Exhibition

六年前に他界した祖父との思い出で、子供の頃、強烈に印象に残った出来事があります。それは、真夏の暑い日に熱いお茶を差し出され、祖父が「暑い日は熱いお茶が一番!」と一言。衝撃でした。祖父のことは大大大好きだけど、この日ばかりは「マジかこのジジィ」と思いました。幼い少女がハフッハフッ言いながら汗だくになっている姿を見て、祖父は「こんな暑い日は冷たいお茶で涼みなさい」などという発想はなかったのか。なんで年寄って真夏に熱いお茶を好んで飲むの?

老齢になると胃腸が弱くなるから冷たい飲み物はよくないとか、発汗をよくして夏バテしないための体をつくるとか…理屈はあるのだろうけど、今となっては素朴な疑問。そのせいか夏になると必ず祖父との思い出が蘇ります。そんな私の記憶を背景に、展覧会の方向性を考えてみました。テーマは、ゆるやかに頭の中を過る“疑問”や“矛盾”。それぞれの個人的な感覚がかたちとなって、テーマを共有出来ればと願っています。

E.E. Jenny(東邦フランチェスカ 代表)

■東邦フランチェスカ[活動紹介]

2009年に結成。メンバーは匿名で活動し、2010年に開催された「ENK DE KRAMERと東邦フランチェスカ」展(Oギャラリーeyes・大阪)では、戦争や歴史画等を対象とした写真や図版を下敷きにしたドローイング作品を発表。様々な歴史や政治的背景を画面上で扱いながらも、それらを抑え込むように上から描画を施し、情報の真意を実体として捉えることが出来ない不安や不信感を感覚的に描き重ねた作品を制作。以降、2011年、2012年にOギャラリーeyes(大阪)で開催されたグループ展に出品。2014年に初個展「E.E.Jenny Selection」を開催。E.E.Jenny(東邦フランチェスカ・代表)の過去の経験、記憶の中から特定のシチュエーションを選択し、そこからイメージされたものを画廊の事務所内にある物品(文具や工具、雑誌、地図、ラジオ受信機等)を用いてインスタレーションを行う。この展覧会は「3.11以降、震災や原発の影響で日常が瞬く間に非日常化してしまうという現実を突き付けられ、ものや素材に関わる意識の変革は大きかった」というメンバー全員の共通認識を経て、日常での出来事を軽やかにモノへ暗示させるという試みの場となった。

 

赤坂直生 Naoki Akasaka

A

41.0×31.8cm カンヴァスにアクリル絵具 2016

M

80.3×80.3cm カンヴァスにアクリル絵具 2016

 

 ■赤坂直生 コメント  [Artist Statement]

ラーメン屋に行った時、「麺大盛りのネギ抜き」を頼んだら出て来たのが「麺大盛りのネギ大盛り」だった事があった。

食べる気の無かったネギの大盛りに少し唖然としたが、自分の伝え方が悪かったのだと思いそのまま、食べる事にした。

疲れていると特にボソボソっと喋ってしまうところがあって、きっと自分で思っているほど口が開いていなかったのだと思う。

人に思いを伝えるのは、ただ言葉を口にするだけではなく気持ちを伝える事なんだなっと勉強させて貰ったと思い、要らないと思っていたネギ代を多めに払って「ごちそうさまでした」としっかりと伝えて帰った。

■略歴 [Artist Biography]

1978年、兵庫県生まれ。2001年、大阪芸術大学付属大阪美術専門学校美術工芸学科絵画専攻を卒業。2002年、同美術専門学校芸術研究科美術専攻絵画コース修了。2003年、gallery Den(大阪)にて初個展を開催。以降、Oギャラリーeyes(大阪)、gallery Den 58(大阪)、OギャラリーUPS(東京)、2kw Gallery 58(大阪)等で個展を開催。主なグループ展に、2000年、PEP ART 未完成な感声(gallery Den・大阪)。2002年、ノーマークpart1(ギャラリー千・大阪)。2003年、ViewIntrospection 視像と内省の連綿(Oギャラリーeyes・大阪)。2004年、絵画を見る(ギャラリー白3・大阪)、Visual Sensationgallery Den・大阪)、UI Wang 国際プランカードアート2004(イワン市Pegun湖岸・韓国)、サバイバル・エイジ(フェニーチェ画廊・大阪)。2007年、Melting pool(ギャラリー白3・大阪)。58号室展(gallery Den 58・大阪)。2008年、架空通信百花繚乱展2008(兵庫県立美術館ギャラリー棟・兵庫)。2009年、冬の座(ギャラリー白・大阪)。2012年、2kw変電所計画(2kw gallery・大阪)。2013年、恋々風景U−陽のあたる場所(Oギャラリーeyes・大阪)、京都アートフェア2013(京都市勧業館みやこめっせ・京都)等に出品。

 

上浦ヴィクトリア Ueura Victoria

人間中心主義

162.0×130.3cm カンヴァスに油彩 2016

 

 ■上浦ヴィクトリア コメント  [Artist Statement]

先日本屋で、「三匹のこぶた」のパロディーで、豚が悪者になっている絵本を見ました。

「そういえば、なんで狼=悪者が常識になっているんだろう?」と初めて疑問を持ちました。狼や豚は良いも悪いもない自然の一部であるのに、人間本位の目線から決められた構図を当たり前のように幼少期から刷り込まれているという漠然とした恐さ。

その漠然とした思いを、やんわりと絵にしました。

■略歴 [Artist Biography]

1980年、兵庫県生まれ。2003年、大阪教育大学教養学科芸術専攻美術コースを卒業。2006年、大阪教育大学大学院芸術文化専攻を修了。2005年、ギャラリー白(大阪)にて初個展を開催。以降、Oギャラリーeyes(大阪)、Oギャラリー(東京)にて個展を開催。主なグループ展に、2005年、京展(京都市美術館・京都)。2006年、絵画を見る(ギャラリー白3・大阪)、美浜美術展(大阪府立現代美術センター・大阪、福井県立美術館・福井)。2007年、アーティスティックなくらし・Part5(ギャラリーTAA・大阪)※以降、同展のPart6Part14に出品。2008年、繕いの光景U−Memory and an ideal viewOギャラリーeyes・大阪)、群馬青年ビエンナーレ2008(群馬県立近代美術館・群馬)。2009年、意識の外側T(ギャラリー白・大阪)。2010年、シェル美術賞2010(代官山ヒルサイドフォーラム・東京)。2011年、Prologue Z(GALLERY ART POINT・東京)。2011年、UTA(ギャラリー白・大阪)。2013年、空想美術大賞展2013(伊藤忠青山アートスクエア・東京、蔵丘洞画廊・京都)。2014年、ワンダーシード2014(トーキョーワンダーサイト渋谷・東京)等に出品。

 

大津安以 Ai Ohtsu

♪るんたった〜

72.7×91.0cm カンヴァスに油彩、木炭 2016

 

 ■大津安以 コメント  [Artist Statement]

尖った足先で踊ろう、どこが終わりか分からない地面の上を。

乱反射で目が眩んでも、止まっていても踊るのだ。

右足、左足、まったく無意味なストローク。

残る足跡は行ったり来たりで、ちぐはぐだ。

ぎこちない動きが、無数の矛盾を踏みつける。

♪るんたった〜 ♪るんたった〜

■略歴 [Artist Biography]

1991年、大阪府生まれ。2014年、京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻を卒業。2015年、GALLERY SAGE(大阪)にて初個展を開催。主なグループ展に、2011年、151人展(art gallery そら・大阪)。2012年、KURUKURU展(阪急百貨店うめだ本店・大阪)。2013年、つながる展(Gallery Ort Project・京都)、トゥールビヨン11Oギャラリーeyes・大阪)。2014年、人間展(金沢21世紀美術館・石川)、CAUSE ON THE SURFACE 4Oギャラリーeyes・大阪)。2016年、Between the scene and the form 2016Oギャラリーeyes・大阪)等に出品。

 

大野浩志 Hiroshi Ohno

INVERSION

H1.5×W2.0×D21.0cm  ペインティングナイフに油彩等 2016

余剰 Since 1994

h15.5×w 15.0×d 20.0cm MDFにアクリル絵具 19942016

 

 ■大野浩志 コメント  [Artist Statement]

私のアトリエには一日の制作を終えた後に余剰絵具を塗りつける板がある。余剰絵具も10年、20年と年を重ねると嵩が増しオブジェ化する。私はこういった偶然の産物を決して作品とは思っていないが、その存在感は作品と拮抗する。本来は葬り去られる筈の余剰は、作品が生まれるために不可欠な存在でもあるのだ。ナニカを創出するということはナニカを喪失させることでもある。

■略歴 [Artist Biography]

1961年大阪府生まれ。1984年、大阪芸術大学芸術学部工芸学科を卒業。1985年、不二画廊(大阪)にて初個展を開催。以降、大阪府立現代美術センター(大阪)、信濃橋画廊(大阪)、MAT(名古屋)、NCAF'93(名古屋市民ギャラリー・名古屋)、CUBIC GALLERY(大阪)、ソフトマシーン美術館(香川)、CAS(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)等で個展を開催。主なグループ展に、1986年、15人の造型(大阪府立現代美術センター・大阪)。1987年、第4回釜山ビエンナーレ(釜山/韓国)。1990年、いま絵画はOSAKA'90(大阪府立現代美術センター・大阪)。1992年、アート・ナウ'92 (兵庫県立近代美術館・神戸)。1993年、大野浩志・丸山直文 2人展(MAT・名古屋)。1994年、時間・美術(滋賀県立近代美術館・滋賀)。1996年、NCAF'96(名古屋市民ギャラリー・名古屋)。2007年、美の冒険者たち(なんばパークスホール・大阪)。2011年、大阪芸術大学美術学科作家展(京都東急ホテル<kazahana>・京都)。2012年、コレクションVol.1(ソフトマシーン美術館・香川)。2015年、コレクションVol.2(ソフトマシーン美術館・香川)等、他多数出品。

 

成山亜衣 Ai Nariyama

全然大丈夫

103.0×146.0cm カンヴァスにアクリル絵具 2016

 

 ■成山亜衣 コメント  [Artist Statement]

「全然大丈夫」という言葉からくる大丈夫じゃない感に、ふわっとした不安と心配が芽生える事が多々ある。というのも「全然大丈夫」という言葉の中に、ピエロの顔の涙マークの様な露骨に伝わる“悲しみ表現”が組み込まれているからである。

その不安と心配を与える言葉を使い使われる中で、イマドキの“悲しみ表現”を噛み砕き、その搾り汁を画面に抽出しました。

■略歴 [Artist Biography]

1983年、大阪府生まれ。2007年、京都嵯峨芸術大学造形学科版画分野を卒業。2009年、京都市立芸術大学大学院版画専攻修了。Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。※以降、同ギャラリーにて毎年個展を開催。2006年、Art Com 2006(私のしごと館・京都)。Open Studio Program! 2006(京都嵯峨芸術大学・京都)、thinking print vo.1(京都嵯峨芸術大学・京都)。2007年、Porto di Stampa(アートゾーン神楽岡・京都)、Dreaming(アートコンプレックス・センター・東京)。2008年、thinking print vo.3(京都嵯峨芸術大学・京都)。2009年、トゥールビヨン7(Oギャラリーeyes・大阪)、AMUSU ARTJAM 2009 in kyoto(京都文化博物館・京都)、気持ちの奥にあるものPresent Spiritgallery morning・京都)。2010年、未来は僕らの手の中(Oギャラリーeyes・大阪)、トーキョーワンダーウォール2010(東京都現代美術館・東京)※同展に2012年出品。2011年、プレゼントスピリット(ギャラリーモーニング・京都) 。2012年、KICKSOギャラリーeyes・大阪)。2015年、FACE(ギャラリーモーニング・京都)、演画・中の島ブルース(ギャラリーモーニング・京都)等に出品。

 

ふなだかよ Kayo Funada

Get! a mothers decoration !!

24.0×W15.0×D13.5cm フェルト等 2016

 

 ■ふなだかよ コメント  [Artist Statement]

赤ちゃんが生まれる。良いこと以外にも信じがたいような悲惨なことがいくつもあります。

人はそれを「母の勲章や!」と言います。ほんの一瞬疑念を抱くも何故か前向きに納得します。

違和感を感じていたことに鈍くなり統一された幸せのイメージに自ら進んでのまれていくのを感じます。

■略歴 [Artist Biography]

1979年、京都府生まれ。2000年、京都芸術短期大学染織テキスタイルクラスを卒業。2002年、成安造形大学ファイバーアートクラス卒業。2004年、成安造形大学立体造形研究生修了。2002年、Window Gallery Oct(京都)にて初個展を開催。以降、AOAO天窓ギャラリー(京都)、成安造形大学ギャラリーアートサイト(滋賀)、Oギャラリーeyes(大阪)、CAS(大阪)にて個展を開催。主なグループ展に、2001年、FIBER ART EXHIBITIONWindow Gallery Oct・京都)、OPPAI ART LAB πr事情展“おっぱいキッズサミット”企画展示(ワコール本社ビル・京都)。2001年、ART ENSEMBLE(大阪ビジネスパーク・大阪)。2002年、Wool in Wool 2002(小岩井牧場・岩手)、主張テン(ギャラリーアーティスロング・京都)。2003年、AQUART2003(西ノ島・島根)。2004年、AQUART2004(西ノ島・島根)。2006年、京都美術工芸新鋭選抜展(京都文化博物館・京都)。2007年、AQUART2007 in AMAMI ISLAND(奄美大島・鹿児島)。2010年、SEIAN FRONTIER(成安造形大学 ギャラリーアートサイト・滋賀)、日韓交流展 W-doorCAS・大阪)。2011年、日韓交流展 W-doorsalon de H・ソウル)、パイロットプラント/昭和は遠くなりにけり(CAS・大阪)、TEXTILE PARTYcifa・岡山)。2012年、パイロットプラント/私の恥ずかしい作品展(CAS・大阪)、KICKSOギャラリーeyes・大阪)、ENERGETIC EXTENSIONGallery Jung・ソウル)。2013年、cover girls展(CAS・大阪)、The Responsive Eye(海岸通ギャラリー CASO・大阪)。2014年、パイロットプラント/ドローイング展(CAS・大阪)。2015年、パイロットプラント/ペーパー展(CAS・大阪)等に出品。

 

山内裕美 Yumi Yamauchi

purity and unselfishness 01

50.0×37.8cm 紙にウォータレスリトグラフ 2016

purity and unselfishness 02

50.0×37.8cm 紙にウォータレスリトグラフ 2016

R.S

33.3×33.3cm カンヴァスに油彩 2016

 

 ■山内裕美 コメント  [Artist Statement]

顔、中でも個人的に嫌悪に近いほどの違和感を感じる顔、をモチーフとしています。何故か、率直に好意を抱くものではなく正反対の存在に惹かれてしまいます。

そこには矛盾を孕みながらもある種の執着がみえます。その感情が油絵具によって変容しつつも顕されていく様を絵画として画面に落とし込みたいと考えています。

■略歴 [Artist Biography]

1976年、兵庫県生まれ。2001年、京都精華大学芸術学部造形学科版画分野を卒業。2003年、京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻修了。2002年、アートスペース虹(京都)にて初個展を開催。以降、Oギャラリーeyes(大阪)、OギャラリーUPS(東京)にて個展を開催。主なグループ展に、2001年、KINO PRINT(平安画廊・京都)。2002年、Work in progress '02(ギャラリーアーティスロング・京都)、主張テン(ギャラリーアーティスロング・京都)。2003年、第9回浜松市美術館版画大賞展(浜松市美術館・静岡)。2004年、トゥールビヨンU(Oギャラリーeyes・大阪)。2006年、3人展-3styles derived from print making(ギャラリー三条・京都)、The new edge of art 展(京都嵯峨芸術大学付属博物館、ギャラリーアートスペース嵯峨・京都)。2007年、Between the scene and the form '07Oギャラリーeyes・大阪)。International Exchange Project Japanese Young Artists TRIAL in PaintingIncheon Modern Culture Center・韓国)。After Math program No.2 four quarters of a scene 4分の4の光景(The Art complex Center of Tokyo・東京)。2009年、ひかりのどけき春(コウイチファインアーツ・大阪)。2010年、“global connections and implicationsLouisiana State University 150th AnniversaryLouisiana State University・アメリカ)。2011年、想像の森(コウイチファインアーツ・大阪)。2012年、KICKSOギャラリーeyes・大阪)。2013年、Harmony・平和展(コウイチファインアーツ・大阪)。2016年、STUDIES / Lithograph -リトグラフの方法について-kara-Sギャラリー・京都)等に出品。

 

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