林 真衣 Mai Hayashi

 

whisper 03

91.0×65.2cm カンヴァスに油彩 2014

a sigh 03

22.7×15.8cm カンヴァスに油彩 2014

ミラーカーテン06

194.0×162.0cm カンヴァスに油彩 2014

ミラーカーテン07

112.0×324.0cm カンヴァスに油彩 2014

whisper 01

65.2×53.0cm カンヴァスに油彩 2014

mountains

24.2×41.0cm カンヴァスに油彩 2014

Dear ムラサキノサキ

72.7×116.7cm カンヴァスに油彩 2014

whisper 02

33.3×24.2cm カンヴァスに油彩 2014

 

 ■林 真衣 コメント  [Artist Statement]

赤ちゃんの頃の怪我により、私は直射日光に弱い身体になりました。家では暗黙の了解で、いつもレースのカーテンが閉じられていました。それは祖父母の住んでいた団地の部屋も同じでした。しかしここ数年、祖母は「外から見られるから…」といってレースの上からカーテンを閉め切り、薄暗い中で過ごしていました。足腰が悪く、ほとんど家の中で生活していたので、私には異様な光景に見えました。団地とはいえ人通りが多くもない二階の一室でいったい何に怯えているのか、ずっと気になっていました。

そんな祖父母が昨年、相次いで老衰により亡くなりました。二人はもうこの世に存在しないと頭では分っていても、受け入れるのに時間がかかりました。長年住んでいた部屋は突然持ち主を失い、静かにカーテンだけが揺れていました。家賃を払い続けるわけにもいかず、半年かけて親族で遺品整理をしました。最後に私の手で全ての部屋のカーテンを外したとき、もうここには帰って来られないという事実を突きつけられたような気がしました。

日々を経て、私は再び絵を描き始めました。今思うと、揺れ動くカーテンに映る影や光、カーテンの向こう側に広がる景色や残像を拾い集め、画面上で再構築していくことで、身の上に起こった出来事を実感しようとしていたのかもしれません。

今回は絵具と油をハンドミキサーで泡立ててキャンバスの上に流しこみ、乾燥しいていく際に出現する泡の痕跡をカーテンのテクスチャーとして取り入れました。泡は何処に出現するか分らないし、出現したからといって跡が残るとも限りません。また、絵具や油の量、気温などによっても仕上がりは異なります。生き物のようなそれらとの対話に自然の摂理を感じています。 

「何気ない日常」は実は「何気なくないもの」によって支えられているということを教えられたように思います。棺に溢れんばかりの花を手向けて二人を送り出したときのように、かつてあったあの部屋に感謝を込めて。

 ■略歴  [Artist Biography]

1984 大阪府生まれ

2007 成安造形大学造形学部造形美術科 洋画クラス卒業 

2008 成安造形大学造形学部造形美術科 洋画クラス研究生修了

 

・個展 

2008 AD&Aギャラリー(大阪)

2013 Oギャラリーeyes(大阪)

 

・グループ展

2006 湖族の里アートプロジェクト(大津市堅田・滋賀)

    Oil Painting 4人展(ナジックスクエア・京都)

        ART AND CRITIQUE 2006(ギャラリーアートサイト・滋賀)

2007 2007京展(京都市美術館・京都)

       第5回武井武雄記念日本童画大賞展

(イルフ童画館イルフプラザ・長野)

2008 2008京展(京都市美術館・京都)

View/Introspection 5−アンダーイルミネーション

(Oギャラリーeyes・大阪)

2009 日本童画大賞十年の足跡展(イルフ童画館・長野)

2010 木津川アート 2010(木津川市・京都)

2011 木津川アート 2011(木津川市・京都)

2012 2012京展(京都市美術館・京都)

 

・受賞  

2007 第5回武井武雄記念日本童画大賞展(審査員特別賞)

2012 2012京展(須田賞)

 

・パブリックコレクション

岡谷市イルフ童画館

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