大野浩志 Hiroshi Ohno

 

在り方・現れ方2014-K

36.4×44.0cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方2014-B

12.0×41.4×4.5cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方Since 1999のレプリカ

60.0×φ3.3cm×2点 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方Since 1999のレプリカ(部分)

在り方・現れ方Since 1994のレプリカ

6.0×91.0×1.4cm×2 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方Since 1992のレプリカ

12.5×60.0×7.5cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方Since 1990 タテのレプリカ(右) ヨコのレプリカ(左)

91.0×6.0×5.0cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方Since 1990 タテ(右) ヨコ(左)

193.5×10.6×9.0cm 木に油彩、バーナーで燃焼 1990

在り方・現れ方Since 1990 タテ(部分)

在り方・現れ方Since 1990 ヨコ(部分)

在り方・現れ方2014-E

6.0×6.0×6.0cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方2014-D

3.0×8.9φcm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方2014-F

5.0×23.6×3.2cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

在り方・現れ方2014-C

34.7×6.0×2.8cm 木に油彩、バーナーで燃焼 2014

 

 ■大野浩志 コメント  [Artist Statement]

Sinceシリーズ – レプリカの不可能性」

某ホームセンターで木材を物色していたら非常に質の良い栂(とが)が見つかった。栂材はSinceシリーズ作品で多用して来た木材だ。木目が美しく肌理の細かな木材で気に入っている。その栂材を目にした瞬間、Sinceシリーズのレプリカを制作してみようと思った。Sinceシリーズはその制作スタイル故に非売である。そこで販売可能なSinceシリーズのレプリカを制作してみようという考えと、現在では想像を絶する形状に変貌したSinceシリーズの制作開始当初の状態を知っていただきたいという考えに至ったのである。実際、Sinceシリーズ作品をご覧になる方々の中には『Since 1990』を制作開始した年以降に生まれた方も多いのである。

Sinceシリーズは概ね大きな作品だが、レプリカの形状はオリジナルとまったく同じで1/21/3程度のスケールでの制作を考えた。しかしタイトルに違和感が発生した。例えばタイトルを『Since 1990のレプリカ』とするにしても『Since 2014』というサブタイトルが欲しくなる。Sinceシリーズはタイトルがその作品の在り方・現れ方を忠実に表明しているからだ。

木材の表面にペインティングナイフでプルシャンブルーの油絵具を均質に塗るという行為。1回の塗りの厚さは0.1mmにも満たないだろう。しかしその淡々とした行為の連続が作者である私の想像を超えた造形として今、目の前に存在する。木材の表面をトレースするように油彩を塗り、「木の声を聞く」作業。受動的な姿勢の持続がいつしか「木の声を聞く私」を見つめる「もう一人の私」の存在を意識させるに至った。行為の持続が結晶化した造形を前にした時、私は私自身との対話を実感するのである。   

 

「祖物 SOMOTSU

祖物(そもつ)とは私の考えた造語で、Sinceシリーズの根幹を成す概念である。概念である以上、当然物質ではなく形も量も有しない不可視であり非知な存在?である。この祖物を視覚化した作品がSinceシリーズの中に存在する。

今回の個展では15年間絵具を塗り続けてきた作品『Since1999』のレプリカを展示しているが、この作品にも「祖物」を視覚化したパーツを組み合わせて展示しているのでご覧いただければ幸いである。「祖物」は非物質であり、色も形も有さない前提ではあるがホワイトキューブでの展示という空間の在り方を考慮して真っ白な状態に塗装している。

「祖物」とはひと言で言ってしまえば、「存在」が「存在」として立ち現れる直前の状態と言えるが、「何もの」にもなりうる可能性を秘めた非知の「ナニモノカ」であり、何分、文章化し辛い概念でもあり個展会場で対話のかたちでお話しできればと考えている。

Sinceシリーズは存在としての可能性を黙殺しない。つまり制作を終了(停止)しない制作形式をとっている。私が死亡するか、あるいは身体的・精神的事情でいつかは制作が停止してしまうのは必至だが、その後は観る側の方々の精神の中でSinceシリーズのその後を創造していただければと思う。うまくいけば50年くらいは私の人生をSinceシリーズの制作に費やすことができると思う。50年、100年、1000年を生き抜いた大樹の存在感が圧倒的であり、我々に深い思考を与えてくれるように、その「作品」を通して観る側の思索の扉が開かれればと願っている。

 ■略歴  [Artist Biography]

1961年大阪府生まれ。1984年、大阪芸術大学芸術学部工芸学科を卒業。1985年、不二画廊 (大阪)にて初個展を開催。以降、大阪府立現代美術センター(大阪)、信濃橋画廊(大阪)、MAT(名古屋)、CUBIC GALLERY(大阪)、ソフトマシーン美術館(香川)、CAS(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)等で開催。主なグループ展に、1986年、15人の造型(大阪府立現代美術センター・大阪)。1987年、第4回プサンビエンナーレ(韓国/釜山)。1990年、いま絵画はOSAKA'90(大阪府立現代美術センター・大阪)。1992年、アート・ナウ'92(兵庫県立近代美術館・神戸)。1993年、大野浩志・丸山直文 2人展(MAT・名古屋)。1994年、時間・美術(滋賀県立近代美術館・滋賀)。1996年、NCAF'96(名古屋市民ギャラリー・愛知)、絵画の構造「一色一形態」(文房堂ギャラリー・東京)。2007年、美の冒険者たち(なんばパークスホール・大阪)。2011年、大阪芸術大学美術学科作家展(京都東急ホテル<kazahana>・京都)2012年、コレクションVol.1(ソフトマシーン美術館・香川)等、他多数出品。

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