●Semantic portrait(セマンティック ポートレイト)

 

 

 展覧会趣旨[Purpose of Exhibition

古くから描かれてきた人物画は、個人の外貌を記録的に描写した肖像から、時代背景を窺わせる大衆像、自己を投影したセルフポートレートなど様々な視点で描かれてきました。それらは宗教観の中で聖像視される普遍的な対象や社会的な立場を示すアイコンとして、あるいは性や苦痛、死といった現実に即した生命を構成するモデルとして描かれ、多くの人を魅了してきました。現在も圧倒的な欲求として描かれる人物画ですが、人種や性別を超え多様に存在を認識しあう現代において、どのように観者との出会いを拓かされるのでしょうか。それぞれの作品から見えてくる人との関わりや人物像に焦点をあて、そこから捉える事の出来る作家の視点を探ります。

Oギャラリーeyes

 

寺脇さやかSayaka Terawaki

re-c. 13-14

80.0×100.0p カンヴァスに油彩 2013

re-c. 13-12

45.5×38.2p カンヴァスに油彩 2013

re-c. 13-19

32.2×41.2p カンヴァスに油彩 2013

re-c. 13-21

45.3×53.3p カンヴァスに油彩 2013

 

■寺脇さやか コメント  [Artist Statement] 

人は皆それぞれの生活の中で思想や自身の価値観と、様々な欲求のもとで生きている。

多種多様の人生と人間感情に好奇心と疑念を持ち、人間を描くことによって自身の内面も追求する。

国や人種、宗教の違い、選民思想等、他者を受け入れられない社会の中で、人間平等の理想を叫べども、人と人は繋がらず、そぐわない現実とフィクションの差は存在する。

同じ星に生きながらも、身近に存在する人間同士の境界、壁が気にかかる。

それでも私が人間を描写するのは、今まさに生きる魂の器たる身体の神秘と、肉体の持つ造形の美しさ。

肉体を形骸化して見えるものを抽出し、描きだしたい。

リアリティーを求めるが、それは特定の個人、個性を描くことではない。

個々の人間のアイデンティティ以前、神から与えられた一つの命を持った、ただの人であるところに立ち返られる像を描きたい。

■略歴  [Artist Biography]

(てらわきさやか)1984年、大阪府生まれ。2007年、成安造形大学造形美術科日本画クラスを卒業。2009年、京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程日本画専攻修了。2010年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。※以降、同ギャラリーにて2011年、2012年に個展を開催。主なグループ展に、2006年、 第32回京都春季創画展(京都市美術館・京都)、第33回創画展(東京都美術館・東京、京都市美術館・京都)。2007年、第34回創画展(東京都美術館・東京、京都市美術館・京都)。2011年、les signesOギャラリーeyes・大阪)。2012年、第4回京都日本画新展(美術館「えき」KYOTO・京都)、祇園祭によせて〜扇子祭(Art Space-MEISEI/京都)に出品。

 

松本良太 Ryota Matsumoto

6月、雨

84.0×108.6p ケント紙に色鉛筆 2013

さよならエゴイズム

84.0×108.6p ケント紙に色鉛筆 2013

中央自動車道多治見IC

84.0×108.6p ケント紙に色鉛筆 2013

ヘキサゴン

32.0×44.7p ケント紙に色鉛筆 2013

 

■松本良太 コメント  [Artist Statement]

私はソーシャルネットワークサービスやその他インターネットなどの仮想世界で、仮に自分として表示される人型のアイコンをモチーフに描いている。自分を表す写真をアップしない限り、アイコンとして表示され続ける無味乾燥な人型の記号の「あれ」である。「あれ」は、人型ではあるが抽象的な形状をしており、誰にでも見える。全員からみた全員、人からみた私を簡単に視覚的に表現している。

絵の中の「あれ」は、時に平凡な一場面のようなポーズをとり、時に不自然にわん曲し、時に異常な立体感を持っている。それは、いつまでたっても理解することができない自分を、視覚化された全員という記号に押し込むことによって、わたしを測定しようとする行為だと思っている。しかし、人には個性というか、それに似た何かがあって、必ずしも予め用意したスケールが当てはまるとはかぎらない。なので、用意された型に無理におさまらんとする自分は、歪み膨らみ、見慣れたアイコンとは程遠い姿にメタモルフォーゼしていく。

■略歴  [Artist Biography]

(まつもとりょうた)1986年、奈良県生まれ。2007年、大阪芸術大学付属美術専門学校美術工芸学科プリントメイキング専攻を卒業。2009年、京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画専攻卒業。2010年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。※以降、同ギャラリーにて2011年、2012年に個展を開催。2013年、直島郵便局(香川)にて個展を開催。主なグループ展に、2005年、企画イベントφ-phi(カフェバーオドリコ・大阪)。2006年、グループ展 HYBRID(ギャラリー光陽堂・大阪)。2009年、The extracted element 2Oギャラリーeyes・大阪)。2010年、Kind of the ironyOギャラリーeyes・大阪)、2012年、The 13th Anniversary Pre ExhibitionKICKS」(Oギャラリーeyes・大阪)。2012年、万国モナリザ大博覧会(鞆の津ミュージアム・広島)に出品。

 

丸山 宏 Hiroshi Maruyama

いっときも忘れることなく

60.6×45.5p ヴィフアール紙に水彩、アクリル絵具、他 2013

肖像-4

116.7×72.7p ワトソン紙に水彩、アクリル絵具、他 2013

肖像-5

90.9×65.2p ヴィフアール紙に水彩、アクリル絵具、他 2013

見守る男

40.0×32.4p ヴィフアール紙に水彩、アクリル絵具、他 2013

 

■丸山 宏 コメント  [Artist Statement]

出会った人々を描き起こす。

「絵を描いている者ですが、写真を撮らせてもらえませんか」 

当初、見知らぬ人にこの台詞を伝えるのに骨を折った。

ほとんどの場合「NO」と返ってくると分かっていたので、情けないことに躊躇してしまう。

インターネットが普及し、赤の他人に自分の写真を撮らせる行為は危険性を孕む。

撮られる側になったとしたら、僕自身、相手次第でお断りする可能性だってある。

そんな中ほんの一握りの「YES」の方に、なぜ「YES」なのか聞いてみたことがある。

「頼まれたから」と無表情だったり笑顔で返事をしてくれた。

YES」の方は他人だとしても時間があれば少しよもやま話ができたりする。

描くためにはその対象の情報があればあるほどよいが、写真だけでは出てこない表情やしぐさ、話し方はとても重要な財産だ。

僕はその人を描ききるまでその人を見つめ続ける。

■略歴  [Artist Biography]

(まるやまひろし)1984年、東京都生まれ。2008年、多摩美術大学絵画科油画専攻を卒業。2006年、ギャラリーフォレスト・ミニ(東京)にて初個展を開催。2009年、OギャラリーUPS(東京)。2011年、Oギャラリー(東京)。※以降、同ギャラリーにて2012年に個展を開催。主なグループ展に、2007年、新制作展(国立新美術館・東京)※以降、2012年まで毎年出品。2005年、四人展(オレンジギャラリー・東京)、TEPCO第9回エネルギー賞(TEPCO館・東京)、2008年、絵画展(文房堂ギャラリー・東京)。2009年、あおぞらDEアート(泰明小学校・東京)。2010年、Pile/Definition2Oギャラリーeyes・大阪)。2011年、The garden of the ray W−Portable TranslucentOギャラリーeyes・大阪)。 2012年、シェル美術賞2012(国立新美術館・東京)に出品。

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