●DrawingExposed essence 2013 “Hydro”

 

 

 展覧会趣旨[Purpose of Exhibition

本展は「DrawingExposed essence」シリーズ第4回目の展覧会として企画され、「Hydro(ハイドロ)」をテーマに3名の美術家の方へ出品を依頼し、ドゥローイングという行為の背景にある各々の在り方と、対象、テーマへの認識について考察致します。

生命の誕生とその起源として語られる海や、体を構成している多くは水(その形態は原形質と呼ばれる液状のもの)で、視覚の働きの窓口となっている眼の網膜も約92%が水分である等、水の性質や働きは私達の生命活動や日常生活、視覚認識をも支えています。時に水害と呼ばれる大雨や震災による洪水といった生命を脅かすものもありますが、これも自然との共存関係から、現実として受け止めなければならない存在です。このたびは水の性質の中でも液体や液状の形態を指すハイドロ(水、液体を表す接頭語)をテーマとして設け、我々を取り巻く環境や水の特性から想起されるもの等、各作家がテーマから受取るイメージや空間の有様に迫ります。

Oギャラリーeyes

 

稲垣元則 Motonori Inagaki

untitled (dh-01

36.4×25.7cm 紙にレーザープリント、油彩 2013

untitled (dh-02

36.4×25.7cm 紙にレーザープリント、鉛筆 2013

  

untitled (dh-03

36.4×25.7cm×2 紙にレーザープリント、油彩 2013

drawing hydro

50.7×33.3×74.0cm 液晶モニターにDVD5min.57sec.) 2013

 

■稲垣元則 コメント  [Artist Statement] 

ドローイングはもしかしたら全てがまちがいで、そうであれば続けることは後悔することをし続けることになる。

しかしそれを止めることは出来ない。

ドローイングは流れ進まなければならない。

時間とともに、または自分の姿とともにドローイングは流れ、進み、溜まり、浸透し、あるものの形に合わせて変化して行くだろう。

■略歴  [Artist Biography]

(いながきもとのり) 1971年、京都府生まれ。1994年に大阪芸術大学芸術学部美術学科を卒業。同年、ギャラリー白(大阪)で初個展を開催。以降、大阪・東京等で継続的に発表。主なグループ展に、2002年「the open air−稲垣元則・上村亮太・児玉靖枝」展(Oギャラリーeyes・大阪)、2003IRRADIATION−内省映像の光浸(SUMISO・大阪)、ARTISTS BY ARTISTS(六本木ヒルズ森タワー・東京)、2005年には、泉北アートプロジェクト(和泉市久保惣記念美術館・大阪)。1992年から現在に到るまで数千枚に及ぶドゥローイングを制作、後に映像作品も手掛ける。2003年よりOギャラリーeyesのコーディネートにより、サウンド・アーティストmamoruとの共同制作による映像作品を制作。2010年、ギャラリーノマル(大阪)にて開催された個展では、70点以上の写真作品を発表。2011年、アルカス佐世保(長崎)にて個展を開催。現在、東京オペラシティ アートギャラリーにて開催されている「収蔵品展043 自然の表現 わが山河 Part IV」に出展。

 

大野浩志 Hiroshi Ohno

水の態C

12.2×12.2×12.2cm 石膏にアクリル絵具 20122013

二態

65.0×8.5×8.5cm 木材にアクリル絵具、燃焼 20122013

水の態B

56.0×44.0cm MDFにアクリル絵具 20122013

水の態A

56.0×44.0cm MDFにアクリル絵具 20122013

 

■大野浩志 コメント  [Artist Statement]

「水の態」

私の趣味は登山ですが、沢のぼりという日本古来の登山方法が好きです。通常の登山が登山道を使って頂上に達するのに対して、沢のぼりは登山道を使わず谷を遡って頂上に達します。当然道はありませんのでルートは自分で判断します。地図とコンパスを頼りに地形を読みます。浅瀬を歩き、淵を泳ぎ、滝を越えて上流を目指します。源流域に近付くと水量は極端に減ります。沢はひと跨ぎできるほどの細流となり、やがてその細流は苔むした岩の中に消えていきます。最初のピュアな一滴が生まれる場所の発見は実に感動的です。

こういった沢のぼりでの経験が私の作品表現には大きく影響しています。「水」とひとことで言っても実に様々な状態があります。一見同じように見える川面も一秒とて同じものではありません。常に変化を繰り返しています。今回はドローイング展ということで、繰り返し繰り返し「水」の「線」を引きました。そしてひとつの「水の態」として結実させました。

■略歴  [Artist Biography]

(おおのひろし) 1961年、大阪市生まれ。1984年、大阪芸術大学芸術学部工芸学科を卒業。1985年、不二画廊(大阪)にて初個展を開催。以降、大阪府立現代美術センター(大阪)、信濃橋画廊(大阪)、MAT(愛知)、CUBIC GALLERY(大阪)、ソフトマシーン美術館(香川)、CAS(大阪)にて個展を開催。主なグループ展に、1987年、第4回プサンビエンナーレ(韓国/釜山)。1992年、アート・ナウ '92(兵庫県立近代美術館・兵庫)。1993年、大野浩志・丸山直文二人展(MAT・愛知)。1994年、時間・美術(滋賀県立近代美術館・滋賀)。1996年、NCAF'96(名古屋市民ギャラリー・愛知)。2007年、美の冒険者たち(なんばパークスホール・大阪)。他、CAS(大阪)でのグループ展等、多数出品。

 

小川直樹 Naoki Ogawa

untitled (dh-04

40.5×31.2cm 紙にアクリル絵具、透明水彩 2013

untitled (dh-05

40.5×31.2cm 紙にアクリル絵具、透明水彩 2013

untitled (dh-07

27.2×39.5cm 紙にアクリル絵具、透明水彩 2013

untitled (dh-10

55.5×79.0cm 紙にアクリル絵具、透明水彩 2013

 

■小川直樹 コメント  [Artist Statement]

色水入りの器を水槽に沈めると液体同士が交わる様に、人の精神も鮮やかにこの世界に溶け出す瞬間があるのかもしれません。

2013126日、よく晴れた夜、湖面は青味がかった濃い灰色でゼリーの様にたゆたっています。

足元に寄せる水の動き、その表面で光るものに顔を近づけ見つめると、大きく捉えた印象から一転し、小さな光の粒が水面上でチラチラと激しく動き回っていました。

それぞれが幾何学的な図形の態を為そうとするも、波のゆらめきで瞬時に規則性は失われ、煌いて霧散し、また繰り返すという具合です。光というにはあまりに生き物じみた動きで、それはとても美しかったです。

■略歴  [Artist Biography]

(おがわなおき) 1984年、島根県生まれ。2007年、成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラスを卒業。2008年、成安造形大学造形学部造形美術科洋画クラス研究生を修了。2010年、第25回ホルベインスカラシップ奨学生。2008年にOギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催※以降、同ギャラリーにて毎年個展を開催。2005年、ARTCRITIC(成安造形大学内ギャラリーアートサイト・滋賀)。2007年、PIECES(海岸通りギャラリーCASO・大阪)。2010年、シェル美術賞2010(代官山ヒルサイドフォーラム・東京) 2011年、The Galaxy−パラノイア銀河(Оギャラリーeyes・大阪)。2012年、群馬青年ビエンナーレ(群馬県立近代美術館・群馬)に出品。

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