●CAUSE ON THE SURFACE−不透明な層の潜みと湧出する光

　■展覧会趣旨 [Purpose of Exhibition]

このたび出品するふたりの作品は、その特徴として、限られた色とその境目から線やかたちが画面から見受けられるのですが、そこには外在のモティーフや特定のイメージが描かれているわけではありません。では、何を手がかりに作品の内容に触れる事が出来るのでしょうか。不透明な層と抑制された色彩を前に、描かれている像が特定の解釈に到らない場合、例えば日常で様々なものや情景を眼にしながら、その性状に触れようと、経験を基に感覚を働かせるというきわめて原初的な取り組みで作品の気配を感じとる事は可能です。絵具が幾多に重ねられながらも、表層的な印象を透過して、静寂さやきらめき、内に潜む様々な表情が、描き手の行為の表れ／痕跡として、私達の感覚を刺激してくれます。本展はふたりの作品から伺える画面の層から、どのような様相や気配を汲み取る事が出来るのかに焦点をあてます。

●川城夏未　Natsumi Kawashiro

磁性の線

116.7×80.3cm　カンヴァスに油彩、蜜蝋、パステル　2012

カムイの森

100.0×80.3cm　カンヴァスに油彩、蜜蝋、パステル　2012

遠くにある事

145.5×112.1cm　カンヴァスに油彩、蜜蝋、パステル　2012

カノープスの下で眠る

70.0×55.0cm　カンヴァスに油彩、蜜蝋、パステル　2012

雪のブランケット

41.3×24.3cm　カンヴァスに油彩、蜜蝋、パステル　2012

■川城夏未　コメント [Artist Statement]　

毎日は様々な顔を見せながら渦を巻き嵐のようだった。

けれど、その渦の中に巻き込まれないようにと言うか、台風の目のように渦の真中の点の様に立って居たい。

今ある沢山の出来事を目に心に、そして大切な経験として焼き付け理解を深めて遠くを見ると、今ここにある事は、その遠くにある事の為にあるのだと気づく。

渦の中心から渦をみると、様々な色や形が断片となって私の中に残ってゆく。

車窓から遠くの景色を眺め、ゆるりと素面に戻った時、渦の真中で両手を広げ心は満たされてゆく事を知ったりする。

私の中に残った断片を手繰り寄せ、そこに在る本当の事を受け止めて、渦の中心に居る私は絵描く事に還ってゆくように思える。

■略歴 [Artist Biography]

1968年、神奈川県生まれ。1992、女子美術大学洋画科を卒業。1995年、東京芸術大学美術学部大学院油画科修了。1996年、Ｏギャラリー（東京）にて初個展を開催（以降、同ギャラリーにて多数開催）他、不二画廊、Ｏギャラリーｅｙｅｓ、Platina Otto（東京）、神奈川県民ホールギャラリー（横浜）、Gallery Bar Kajima（東京）、砂翁＆トモス（東京）、ギャラリーHIRAWATA SPACE2（神奈川）、ギャラリー新九郎（神奈川）、元麻布ギャラリーカフェ茅ヶ崎（神奈川）等にて個展を開催。1990年、Works`90（神奈川県民ホールギャラリー・神奈川）。1991年、Works`91（ギャラリースペース21・東京）。1994年、PLUME（JBCギャラリー・東京）。1995年、東京芸大油画卒業の若き作家達（大和銀行ギャラリー・大阪）。1997年、LOVE Affair 5人の女性たち（那由他画廊・神奈川）。1999年、Contemporary young painters exhibition from Japan（Gallery 21・バングラデシュ）に出品。2000年神奈川県美術展（神奈川県民ホールギャラリー・神奈川）では大賞を受賞。2001年、関口芸術基金賞展（柏市民ギャラリー・千葉）では優秀賞を受賞、TAMA VIVANT 2001（多摩美術大学八王子校舎絵画棟ギャラリー、他・東京）。2003年、第12回吉原治良賞美術コンクール展（大阪府立現代美術センター・大阪）。2004年、若手アーティストによるカラフルおもちゃ箱展（新宿小田急百貨店・東京）。2005年、recollect（ギャラリートモス・日本橋）。2006年、汽水域(Ｏギャラリー・東京)。2008年、apectre2008（東和ギャラリー・東京）。2009年、第2回西さがみ美術交流展（小田原市民会館・神奈川）。2010年、Toyota art conmpetition（豊田市美術館・愛知）他、多数のグループ展に出品。

●細田聡子　Satoko Hosoda

2012.3_3

27.5×22.0cm　カンヴァスに油彩　2012

2012.3_1

27.5×22.0cm　カンヴァスに油彩　2012

2012.3_2

27.5×22.0cm　カンヴァスに油彩　2012

2012.3_8

27.5×22.0cm　カンヴァスに油彩　2012

2012.2_3

100.0×80.0cm　カンヴァスに油彩　2012

2012.4_3

27.5×22.0cm　カンヴァスに油彩　2012

■細田聡子　コメント [Artist Statement]

私の絵は、一色ずつ塗り重ねていく単純作業で、何かしらのイメージや感情的な要素は意識的には含んでいない。

色を選択すること、重ねていく部分、重ねる回数は、その時々の感覚的な偶然の積み重なりから成り立っている。

絵に関わらず、感覚的なことを大切にしたい。

自分が心地よいと思うことに敏感になることは、生きることを愉しくする。

感覚的なことをもっと研ぎ澄ませていきたいと思う。心地よいと感じるところは人それぞれ違うが、同じような心地よさを共感することができたら幸せだと思う。

私の絵が、誰かの心に感覚的に響くことができれば大変嬉しい。

■略歴 [Artist Biography]

1977年、徳島県生まれ。2000年、京都教育大学教育学部特修美術科を卒業。2001年、京都教育大学教育学部特修美術科研究生修了。2001年、アートスペース虹（京都）にて初個展を開催。以降、画廊編（大阪）、Oギャラリーｅｙｅｓ（大阪）にて個展を開催。主なグループ展として、2004年、pile-definition（Oギャラリー・東京）。2006年、CAUSE ON THE SURFACE−表層の指摘（Oギャラリーｅｙｅｓ・大阪）。2007年、P＆E（アートコートギャラリー・大阪）。2009年、Absolute basis 俵 萌子と細田聡子の場合（Oギャラリーｅｙｅｓ・大阪）に出品。

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