●恋々風景（レンレンフウケイ）

　■展覧会趣旨[Purpose of Exhibition]

「何故風景を描くのか」について、何人かの若い美術家に問いかけたところ、理由や動機は様々ですが、自己と外在をつなぐ手がかりとして、あるいは他者との共有を促すモティーフとして日常で垣間見える風景を描くという姿勢が伺えました。そこで描かれている内容を見ていくと、それは普遍的な背景や大衆に共有出来る類の風景とは少し異なり、日常の様々な断片を拾い、それを主な対象としながら個人の情報と執着が交錯する風景、外在を捉えながら平俗的に見い出される緩やかな美に焦点をあて、絵画空間の可能性をはかるといったケースが見受けられました。こうした傾向を受け、本展では風景を描きながら自己が抱える環境や日常での欲求が内在的に反映されている作品に注目し、如何に自らと風景の関係を有用なものとしているのか、ふたりの作品から探ります。

●仲摩洋一　Youichi Nakama

echo

45.5×38.0cm　カンヴァスに油彩　2012

echo

45.5×38.0cm　カンヴァスに油彩　2012

shimmery

31.8×41.0cm　カンヴァスに油彩　2012

shimmery

130.3×162cm　カンヴァスに油彩　2012

untitled

27.3×19.0cm　カンヴァスに油彩　2012

■仲摩洋一　コメント[Artist Statement]　

以前から私の絵画作品には風景がよく登場します。絵画表現における主題としての風景は古来から連綿と受け継がれている普遍的なテーマと言えるでしょう。私は絵画制作を通して、自分が生きているこの世界をどのように認識しているか？自分と世界との関わりについてあれこれと思考を巡らせたりしています。
私は身近な風景や自然物をモチーフに、油彩画で対象とその周囲の空気や光を描くことを意識して制作を続けています。題材は花や植物、自然の風景などが主ですが、それらを対象として選択した理由は至ってシンプルなもので、幼少からの生活環境によるところが大きいと考えています。意識する以前に自分の身の回りに存在していたため、必然的に絵の題材となっていったのだと思います。近年は森の中や木漏れ日、水面をモチーフとして、対象と現象を含めた「存在」を描くことをテーマに絵筆を動かし、画布と対話しながら描く日々が続いています。

■略歴[Artist Biography]

1977年、京都府生まれ。2002年、京都市立芸術大学美術学部油画専攻を卒業。2005年、GALLERYはねうさぎ（京都）にて個展を開催。以降、石田大成社（京都）、 art gallery そら（大阪）、Gallery Den（大阪）、ギャラリー枝香庵（東京）、2kw gallery（大阪）、画廊 編 ぎゃらり かのこ（大阪）等にて個展を開催。主なグループ展に、2004年、アートポートフォリオ展（art project room ARTZONE・京都)。2005年、藝術家の線（石田大成社ホール・京都）。2006年、ART de collector EXHIBITION（GALLERYはねうさぎ・京都）2007年、re-concentration-2（石田大成社ホール・京都）2008年、SPROUT22（ギャラリー福山・東京）、Photos by non-photographers 撮るという”悦楽 ”（石田大成社ホール・京都）。2009年、サムホール展�U（art gallery そら・大阪）、2010年、追跡する100人展（GALLERY枝香庵、NICHE GALLERY・東京）。2011年、枝香庵サマーフェスタ（GALLERY枝香庵・東京）、アーティスティックな暮らしPART・10（Gallery TAA・大阪）。2012年、2kw変電所計画（2kw gallery・大阪）等に出品。

●山下春菜　Haruna Yamashita

夏

53.0×53.0�p　紙に水彩、アクリル絵具　2012

うつす

23.0×28.0�p　紙に水彩、アクリル絵具　2012

展覧会

45.5×33.3�p　紙に水彩、アクリル絵具　2012

鍋を囲んで

65.2×80.3�p　紙に水彩　2012

紅い森

21.5×30.8�p　紙にアクリル絵具　2011

■山下春菜　コメント[Artist Statement]

色んな風景を見たい

色んな経験をするため？

知識を蓄えるため？

感動したいため？

リフレッシュしたいため？

そんな、人の向上心が、凄いと思う。

何かを見ようと外へ出る、その１歩。

美味しいものを食べ、キレイなものを見て、

遠くへ行って、遊んで、

人間って捨てたもんじゃないと思う。

「日常を描きとめておきたい」

これが、私の風景を描く動機です。

■略歴[Artist Biography]

1984年、大阪府生まれ。2009年、京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻を修了。2007年、Oギャラリーeyes（大阪）にて初個展を開催。以降、谷門美術（東京）、OギャラリーUP・S（東京）等にて個展を開催。主なグループ展に、2007年、アートアワードトーキョー丸の内 2007（行幸地下ギャラリー・東京）。2008年TOKYO EYE（大丸東京アートギャラリー・東京）。2009年、シェル美術賞展2009（代官山ヒルサイドフォーラム・東京）。2011年、青豆展 vol.4（Gallery Take two・京都）、outside and the inside�U（Oギャラリーeyes・大阪）等に出品。他、グランヴィアフロア「憩」art works project @KCUA（HOTEL GRANVIA OSAKA・大阪）に2009年より毎年参加。

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