上村亮太ENK DE KRAMER(エンク デ クラマー)

 

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■展覧会テキスト[Text] 

艶かしい朱色と重厚な黒の対比に目を奪われるエンク・デ・クラマーの作品は、その画面の精巧さにおいて、あたかも手入れの行き届いた宮廷の庭といった上品な面持ちで観る人を迎える。黒いインクの流れるようなマチエールや深みのある朱、中央に描かれたひとつひとつの繊細であったり強靭であったりする線は、幾層にも重ねられ、それぞれが響きあう。時に質感の違いが不協和音を発し、けれどその総てが制御され、画面に奥行きをもたらし、ドラマチックに官能的に私たちを別の世界へと誘う。まるで美しく整えられた庭の片隅から転げ落ちたアリスのように、豊かな線の繁みが結ぶ像を追いかけて、いつの間にか不思議の世界の入り口に自分が立っていることに気づく。私はひとり神秘に閉ざされた芸術家の深い密林を心許なく彷徨うかのような眩惑を覚え、その森が厳しく孤独な魂の下に育まれていることに想いを馳せる。
上村亮太の世界にも不思議な気配が漂っている。そこに描かれているのは、生き物に優しく温かい光で包み込むような世界だ。上村は木々の聞こえない声を聴き取り、花のたおやかな心を汲み取り、動物たちだけが持つ特別な鋭い感性を持ちあわせているかのように思えてくる。命を愛でるように、目にしたひとつひとつを確かめるように絵を描くのだろう。石や、山、川、木々、そして動物や人間もなんら重みの換わることない等価の命で、讃える美しさをもって私たちが日常と呼ぶこの世界に共に在る幸いをあらためて知らしめてくれる。そしてこの日常の風景は、芸術家の独特な感性によって再構築され、とりとめのない夢を見ているかのような幻想的な空間へと変化する。繰り返し表れる形態やナラティブな作品が並ぶ様は、非日常の深度が深められ、またもやここでひとり、彼の内にある不思議の森を彷徨う自らを発見するのである。

 

長谷川直美(美術家.名古屋芸術大学美術学部非常勤講師)

 

ENK DE KRAMER(エンク デ クラマー)

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34.3×50.0cm カーボランダム、ドライポイント等 2011

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34.3×50.0cm カーボランダム、ドライポイント等 2011

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34.3×50.0cm カーボランダム、ドライポイント等 2011

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50.0×68.3cm カーボランダム、ドライポイント等 2010

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50.0×68.3cm カーボランダム、ドライポイント等 2010

 

 ■エンク デ クラマー 略歴 [Artist Biography]

1946年、ベルギー生まれ。ベルギーとユーゴスラビアの大学でアートを学び、1969年よりベルギーにて個展を開催。その後、ドイツ、フランス、イタリア、日本等、国内外の展覧会に出品。当画廊では2000年より定期的に個展を開催し、2004年には名古屋芸術大学の招聘により、特別客員教授としてベルギーより来日、同大学にて公開制作と個展を開催。現在はベルギー/ゲントに滞在。画面から滲み出るような色彩と絡みつくような線を銅版画やドローイングといった技法で表現し、植物図鑑から抜き取られたようなイメージをコラージュする等、多様な造形性が混在する作品を制作。昨年、名古屋市民ギャラリー矢田(愛知)で開催されたファンデナゴヤ美術展2011「黒へ/黒から」展や、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで開催された「日本・ベルギー版画国際交流展」に出品。 

 

上村亮太 Lyota Uemura

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溶岩サイダー

103.0×73.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2012

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夜の動物−キリン

41.0×  32.0cm 紙にアクリル絵具 2012

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夜の動物−キツネ

33.4×24.0cm 紙にアクリル絵具 2012

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森林植物園−木の気持ち

41.0×  28.0cm 紙にクレパス 2011

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6月のダンスホール

103.0×73.0cm 紙にアクリル絵具、油彩 2011

 

 ■上村亮太 略歴 [Artist Biography]

1959年、兵庫県生まれ。1987年、武蔵野美術大学油画科を卒業。 1987年、第二わかば荘(東京)にて初個展を開催。以降、秋山画廊(東京)、ルナミ画廊(東京)、ギャラリーポルティコ(神戸)、シティギャラリー(兵庫/大阪)、信濃橋画廊(大阪)、ギャラリーココ(京都)、 Oギャラリーeyes(大阪)、ギャラリー島田(神戸)、ギャラリー モーニング(京都)等で個展を開催。1997年にVOCA展(上野の森美術館・東京) に出品。
以降、1999年、現代日本絵画の展望(東京ステーションギャラリー・東京)。2000年、震災と美術(兵庫県立近代美術館・神戸)。 2004年、六本木クロッシングス-日本美術の新しい展望2004(森美術館・東京)。その他、CAPHOUSE(神戸)での企画展やグループ展等、多数出品。 

 

 

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