|
●日下部一司「行間を読め!」 Kazushi Kusakabe
|
|
|
|
|
develop・A
56.5×76.5p紙にシルクスクリーン2011
|
|
develop・B
56.5×76.5p 紙にシルクスクリーン 2011
|
|
develop・B (拡大分)
|
|
Reform
40.0×80.0×75.0p 裁断机(木製) 、鉛筆等 2011
|
|
Reform(部分)
|
|
develop・3
66.0×55.0p 紙にシルクスクリーン 2011
|
|
四方の風景・垂直軸
18.0×18.0p 印画紙にゼラチンシルバープリント 2011
|
|
四方の風景・6月
18.0×18.0p 印画紙にゼラチンシルバープリント 2011
|
|
四方の風景・ULTRA
18.0×18.0p 印画紙にゼラチンシルバープリント 2011
|
|
四方の風景・重空間
18.0×18.0p 印画紙にゼラチンシルバープリント 2011
|
|
四方の風景・行間を読め
18.0×18.0p 印画紙にゼラチンシルバープリント 2011
|
|
Movie
φ30.0p レンズ、鉄 2011
|
|
Movie(映像部)
|
|
develop・1
66.0×55.0p 紙にシルクスクリーン 2011
|
|
■日下部一司 コメント [Artist Statement]
|
【四方の風景】【箱庭】
カメラは日常世界を写す道具であるが、言うまでもなく日常世界のすべてを写すわけではない。いつもファインダーの中の四角い世界をとらえるだけだ。レンズの前でおきる出来事とその周りの気配を切り取る。
それにしても、ファインダーのように四角い形はいつの時代から氾濫するようになったのだろう。身の回りには、雑誌や新聞などの四角い形、絵画・写真・パソコンや携帯電話のモニター・窓・・・など、さまざまな四角い世界が人為的に存在する。
風景を写真に撮りながら、四角いフレームと余白について考えてみる。日常風景の中に「余白」は存在するだろうか?大空と大地があっても空のことを「余白」とは呼ばない。空は空なのだ。おそらく日常空間には余白は無い。余白は四角い世界だけの造形概念である。
四角い世界には四つの辺と角があって、これらが目の前の風景と交わり四角い世界が生まれる。これを絵画とか写真とか映像と呼ぶなら、おそらくこの四角い世界を積極的に意識して風景を見ることが「風景を見る」ことの一つの姿勢に違いない。
カメラは一つの眼(レンズ)でものを見る。視差が生じない。したがって、撮影にはカメラの位置が最も重要である。一つの点を定めると、そこから見える風景は、透視図法のように秩序を持って現れる。少しでも視点をずらすなら、また新たな秩序へと変容しながら表情を変える。
一つの視点と矩形、この二つの座標軸を用いながら風景を見つめ観察することで、あちら(風景)とこちら(矩形)が生み出す秩序のようなものを見つけ出すこと・・・それがこのシリーズの写真で心がけていることの一つだ。
【Movie】
動体視力という言葉がある。
人は、何分の1秒くらいの映像を見ることができるのだろう。
高速シャッターの切れるカメラは確かに一瞬を切り取るのだけれど、もしかしたらその一コマは、例えば8000秒分の1の長さを持つ「ムービー」なのかもしれない。
【develop】
陽が射すと影ができる。影は版画のようでもある。自分の肉体という「版」を使って、光というインクでプリントするのだ。「版」が動くと絵も動く。動く版画だ。いや動く写真かもしれない。
被写体に当たった光が反射して小さな穴やレンズを通過することによって鏡のような映像を結ぶ。それを薬品で化学的に定着したのが写真だ。
昔むかし、カメラオブスキュラと呼ばれる小さな「暗い部屋」を作って、壁に穴をあけ、向かいの壁に映った映像をなぞって人が絵を描いた。向かいの風景がそこにリアルに現れてくる。つまり、そこでは人間が風景を現像していたのだ。
シルクスクリーンで写真を現像してみた。これはシルクスクリーンで刷った版画ではなくて、シルクスクリーンで現像した「写真」なのだと言い切ってみることにした。
【Reform】
足さず・引かずに、あるものの形が別の形になること。そういうことに興味を持っている。
例えば粘土をこねて何かを作り、しばらくしてそれをこわして別のものをつくる・・・というようなプラスマイナスゼロのもののありようのことである。
弱い素焼きの器にチャイを容れて飲み、飲み終えたら路上にたたきつけて割る。割った茶碗は土に戻る・・というようなインドの話に似た感覚である。
写真を撮るという行為はこの感覚に近いものがある。
|
■略歴 [Artist Biography]
|
1953年、岐阜県生まれ。1976年、大阪芸術大学芸術学部美術学科版画専攻卒業。1975年、ギャラリー射手座(京都)にて個展を開催。以降、信濃橋画廊(大阪)、シティギャラリー(神戸)、ギャラリーココ(京都)、ウエストベスギャラリー・コヅカ(名古屋)、サイギャラリー(大阪)、The Third Gallery Aya(大阪)、Oギャラリーeyes(大阪)、伊丹市立工芸センター(兵庫)、京都造形芸術大学芸術館(京都)、ギャラリーヤマグチクンストバウ(大阪)等で個展を開催。その他、京都市美術館、東京都美術館、ブラッドフォード美術館、リュブリアナ美術館、岐阜県美術館、ウォーカーヒルアートセンター、姫路市立美術館等、国内外の美術館で開催されたグループ展やアートフェアに多数出品。
|
|
|