〇〇党本部御中

 突然のメールで失礼いたします。
 私たち全国各地でホームレスの人々を支援している民間団体は、このたび参議院選挙に際して、以下のような公開質問状を各政党にお願いすることにいたしました。
 ぜひご協力をお願いいたします。なお、同様のものを本部に郵送させていただいております。

  特定非営利活動法人 釜ケ崎支援機構
  釜ヶ崎就労・生活保障制度実現をめざす連絡会
  新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議
  池袋野宿者連絡会
  神奈川全県夜回り・パトロール交流会
  特定非営利活動法人 北九州ホームレス支援機構
  野宿者・人権資料センター

    追加団体(発送以後)
    名古屋炊き出し連絡協議会

*参議院選挙にあたっての公開質問状*

 野宿生活者と野宿生活者となるおそれのある人々への対応策について

 私たちは全国各地で、野宿を余儀なくされている人々の支援活動を行っており、これ以上野宿にいたる人々が増えることを望まないものです。
 しかしながら、閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」では、「不良債権処理が雇用に与える影響を正確に予想することは困難であるが、ある程度の影響があることは否定できない。」とし、失業の発生を前提としています。失業の発生について内閣府の研究会「バランスシート調整の影響等に関する検討プロジェクト」は、大手16行が不良債権を2年以内に最終処理することで起きる離職者数を39万から60万人と見通し、再就職できない失業者は13万人から19万人との推計を発表しています。
 「基本方針」では、新規分野での雇用拡大をうたいあげ、「雇用情勢によっては、モラルハザードに留意しつつセーフティネットの一層の充実を図る。」と書かれていますが、「新たな市場と雇用を創出する構造改革と雇用対策の一体的な施策の具体化について」は、「産業構造改革・雇用対策本部」での検討」に「期待」するに留まっています。
 1999年政府は「ホームレス問題に関する当面の対応策」にいたる過程で、野宿生活者問題を「発見」し、わずかながら取り組みをはじめたといえますが、全国的に大きな対策の進展は見られないまま今日にいたっています。
 「骨太の方針」は「痛みを分かち合う覚悟」を呼びかけ、痛みを緩和する施策についても述べているように見えますが、1999年に野宿生活者問題を「発見」しているにもかかわらず、痛みを分かち合う肉体まで奪いさられようとしている人々については一考だにしていないかに見えます。
 「基本方針」を前提としなくても、誰が考えても今以上に野宿生活者が増える状況を前に、私たちは、野宿生活者と野宿を余儀なくされる人々の発生予防について、党を代表する責任者の見解を聞き、投票の際の参考にしたいと考えています。また結果については、報道機関等を通して、広く公表する予定です。
 ご多忙とは存じますが、下記質問に回答と共にその内容を公表して多くの人々の判断材料に供せられますよう、お願いいたします。
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*質問項目*

 野宿生活者問題の発生と現状は、雇用保険制度や生活保護法の運用が期待された効果をあげていないことを示していると考えます。
 野宿生活者問題解決のためには、雇用保険制度や生活保護法の活用により野宿生活者の発生予防を図ると共に、次のような内容をもつ特別立法(野宿生活者自立支援法)が必要であると考えます。

・国の責任を明らかにし、事業実施に必要な費用の財政負担を明言する。
・国が野宿生活者の自立支援事業と野宿生活者発生予防について基本方針を策定し、地方自治体が支援団体等と協議して実行計画を立てる。
・地方自治体の実行計画とその実施状況について評価機関を設ける。
・施策の目標を掲げる。
・勤労意欲を維持・高揚するために、収入を伴う就労事業を組み込む。
・メンタルケアを含む職業訓練制度を組み込む。
・施策・事業の活用は当事者の選択にゆだね、強制収容・強制排除を人道的見地より行わないことを明記する。
・民間団体の能力活用・協同を盛り込む

◆質問:野宿生活者対策と野宿生活者発生予防のために特別立法が必要だとお考えになりますか。
 いずれかに○をつけてください。

a 必要を認め、早期成立に努める。

b 必要を認めるが、今後の検討課題とする。

c 特別立法の必要は認めない。下記の施策で対応できると考える.

(                                        )
◆野宿生活者対策と野宿生活者発生予防に関するご意見をご自由に記入しさい。


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*回答期限及び連絡先*
7月23日(月)までにご返答をお願いいたします。
(比例代表に届出のある14政党会派に質問)
(回答結果についてはこのページで公開します)

23日までに到着した順に発表します。


回答者
a b c   意        見

民主党

1
   


  民主党は、先の151回通常国会に「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」を提出しました。この法案は、ホームレス問題に対する国の責務を明らかにし、地方公共団体への支援を実施することで、自立の意思のあるホームレスを支援、新たなホームレスを防止するものです。法案が継続審議となったため、次期国会での早期成立を目指して取り組んでいきたいと考えています。

ホームレス問題の解決に当たっては、ホームレスの実態把握でさえも不十分である状況を踏まえ、国による全国的な実態調査を第一に行うともに、その調査結果を踏まえ、ホームレスの自立の支援を最大の目的として、就業の機会の確保、住居の確保、健康維持、生活保護の適正な実施、ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者に対する支援等の施策を関係省庁、関係地方公共団体、NPO等の協力によって早急に進める必要があります。
自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在している今日の状況は、諸外国と比較しても極めて異常であるとの見地から、恒常的な法案とすることよりも、むしろ5-7年程度の期限を付した時限立法として制定することが適当と考えます。期間内に法律に基づく施策を集中的且つ効率的に行い、このような法律が必要とされない状況を一日も早くつくりだし、ホームレスに関する問題の解決に資するべきだと考えます。


新社会党

1
   


野宿生活者 が生まれる土壌は、企業の容赦ないリストラと就職難 、雇用保険その他の社会保障の不備、可能性や希望が見えない社会などにあると思います。このため解雇制限法の制定や労働時間短縮、福祉・教育の充実などによる雇用創出・確保が本格的に実行されなければ、野宿生活者の発生は防げないばかりか増え続けると思います。 政府の失政や企業の失政のツケを回しておいて、「自己責任」論を押しつけるのは欺瞞的で無責任です。したがって、すでに生まれた野宿生活者に対しては、その生活と自立を社会的に支援するという原則の確立が必要です。その内容は、皆さんの特別立法の骨子に基本的に賛成です。


日本共産党

1
   


小泉内閣の経済政策は、銀行救済のために、国策で中小企業を倒産に追い込み、大量の失業者を発生させるものです。 野宿生活者問題をさらに深刻化させるおそれがあります。 私たちは、こうした政策ではなく、消費税減税、社会保障改悪の凍結、雇用・中小企業対策の強化など、国民の家計を直接応援する景気対策が、いま必要だと考えています。
私たちは、野宿生活者対策として、@野宿生活から離脱できる住居を緊急に国と自治体の責任で確保すること、A生活保護行政を実態に合わせて改善を行うこと、B野宿生活者に十分な医療を保障すること、C仕事と生活できる賃金の保障、安定した職業に就くための財政を強化することなどが必要であると考え、今年1月、政府に緊急の申し入れをおこなったところです。 特別立法の制定とあわせ、野宿生活者対策強化のためにひきつづき力をつくす所存です。


保守党
   
1


 自立支援センターを拡充し、就労意欲の回復を側面から支援

 経済の立て直しによる景気の回復


社会民主党
 
1
 

 
 野宿生活者問題には多様な側面があり、縦割り行政の谷間で対策が後手に回ってきた。特別立法も含めて、総合的に対応するための手だてが求められている。社民党としてもさらに検討を進めていきたい。 
 一口に野宿生活者といっても、抱える問題は多様であり、野宿者の数だけ対策があるといえる側面がある。行政が可能な限り丁寧な対処をしていくことは当然だが、対症療法だけでは解決しない。野宿者問題が国の責任であるとはっきり位置づけ、総合的な対策を進めなくてはならない。
 今後、小泉流「構造改革」進めば、その「痛み」が弱者に集中的にしわ寄せされ野宿生活者の激増といった事態も想定される。これ以上野宿生活者を増やさせない、そして野宿者の切り捨てを許さないために、社民党としてさらに取り組みを強めたいと考えている。


自由民主党
     


質問されている前提の「野宿生活者」なる概念が不明で回答が困難です。
 例えば、「野宿生活者問題解決のためには、雇用保険制度や生活保護法の活用により野宿生活者の発生防止を図る」とありますが、野宿生活を余儀なくされている原因を厳然と区別せずに、野宿生活者というだけで全て同等に対処することには社会規範に照らしても寛容されることではないと考えます。
 企業倒産・リストラ解雇等により離職された方々は、精勤されている際に、雇用保険料を納めており、当然、手厚い給付日数を確保した改正雇用保険法の適用により、再就職までの一定期間、生活費を支給される権利を有しています。即ち、活用といっても、向上心があり自助努力をする者にその機会が与えられる仕組みとなっています。これは、社会保障制度が、一定の公費負担を組み合わせつつ、個人の自助と自律を基本として成り立っているからです。
 例えば、社会的束縛を嫌うなど、社会生活を拒否することから自らの意思で結果的にホームレスとなった人々には、国の援助の手は干渉の手と映る筈です。高齢やアルコール依存症等健康上の理由により自立能力に乏しくホームレスとなった人々には、適切な保護施策を講じるしかありません。
 従って、野宿生活者問題解決といわれても、どうしてホームレスになったのか、その背景により対処が異なり、一律に回答する事は困難であり、下記の通りに回答させていただきますので、ご了承ください。

◆ 野宿生活者対策と野宿生活者発生予防のために特別立法の必要、不必要の是非以前の問題として、異質な内容を包摂している問題であるため、網羅的に対応できる施策はなく、事案毎に検討するしかできません。
当面の対応策として、
(1)総合的な相談・支援体制の確立 (2)雇用機会の提供 (3)保健医療面での手当の充実 (4)要援護者の住まい等の提供 (5)安心安全な地域環境の整備 で対応するしかありません。


自由党
     


 野宿生活者対策等の特別立法の必要性については、雇用のあり方や個人が自立して責任を持ち自由に活動できる社会を構築するためのあり方の中で検討するところである。

 自由党は、自由・公平に開かれた社会、すなわち、自立した個人が自らの創意工夫にもとづき、自らの責任で自由に活動できる社会を築き上げることを目指しています。
 特殊法人の原則廃止・民営化をはじめ、役所の抱える事業を民間に開放し、規制を撤廃して、民間経済の活動ステージを広げ、新規産業や雇用機会を創出します。そのプロセスにおける転職を容易にするための職業訓練機会の拡充などを進め、チャンスは誰でも与えられる社会を構築していきます。


女性党
     


 とても難しい問題で、まだまだ未熟な私たちには責任ある回答をすることが出来ません。

 農林水産業などの生活に直結した分野で後継者不足が続いています。自然とのかかわりの中で、心豊かに生活できるのではないかと考えています。


公明党
 
1
 


  大都市を中心としたホームレス問題は、長期的な平成不況による雇用の悪化とあいまって、大きな社会問題となっています。この問題を改善するために、ホームレスの社会復帰のための自立支援や救済措置をはじめ、ホームレスの増加を防ぐための雇用創出、地域住民への不安を解消させるための措置など、あらゆる角度からの対策が必要です。
とくに、ホームレス発生の予防については、リストラや失業による生活破綻がホームレスの大半を占めていることから、大都市部における雇用創出が急務と考えます。併せて、相談窓口、情報提供、仕事の斡旋、職業能力開発などの支援を充実し、ホームレスとなる前段階での早期の問題解決が重要です。また、ホームレス化する理由として、-リストラや失業以外では、アルコール依存症、ドメスティックバイオレンス、離婚などが指摘されています。こうした諸事由によってホームレス化につながらないよう、相談窓口や一時避難場所、厚生施設の設置などの対策を講じるべきと考えます。
  公明党は今年に入り、政令指定都市、例えば大阪市などからその実態や現状を聞くと共に、党内にホームレス問題プロジェクトを設置し、具体的な対応策を策定するために努力しているところです。