国際会議報告


直接民主主義国際会議

拝啓


今本@国民・住民投票を活かす会・関西です。


このたび、欧米をはじめとする世界各国の直接民主制運動を 推進するグループによる国際会議が、6月22日ー25日の 4日間、ギリシアのアテネにおいて開催されました。 日本からの唯一の参加者として、報告を兼ねて投稿いたします。


第2回 直接民主主義に関する国際会議  


主宰: 直接民主主義世界運動(CICDD)グループ 後援: 欧州直接民主主義運動(NDDIE)グループ      アメリカ・住民発議&住民投票推進研究所(I&R Institute)      


 会議は4日間とも全員参加形式で行われ、@各国の住民投票・ イニシアチブ運動に関する現況報告、A各国のエンジニアや運動家による WEBやインターネットを利用した一般市民に対する政治情報公開促進の ツールや具体的なアクションの紹介、B今後の市民参加のための戦略や 組織の運営方法をめぐるワークショップなどをテーマに、欧米の学者、 WEBエンジニア、運動家中心に総勢40名程度の小規模で、連日突っ 込んだ議論が昼夜戦わされました。 (議論、ワークショップなどはすべて英語で行われました)


 ※参加者の出身国: アメリカ、カナダ、ギリシア、ベルギー、フランス、    ドイツ、オランダ、ルーマニア、イタリア、フィンランド、ポーランド、    カナダ、チェコ、スウェーデン、リビア、日本 (順不同)


     ※会議のオープニングは、民主主義の発祥の地でもあるアテネの    古代民主制の集会所跡(アゴラ)において行われました。    その後場所を移動し、会議は古代アテナイの民主政治家ペリクレスの    生誕地のそばのカルチャー・センターを借りて連日行われました。 


 ※国民投票の現状については、実施している各国ともそれなりの    問題を抱えており、各地域での住民投票についても、議会と市民との   対決姿勢が明確で、市民による直接提案はかなりの度合で却下   されているとのことでした。


 ※私自身の報告は、新潟・巻町の住民投票から、産廃処分施設をめぐる    住民投票、吉野川可動堰に至る住民投票の現況を総括し、さらに    「住民投票の法制化」をめぐる最近の市民の動きについても付け加え    たものでした。あまり欧米には一般に知られていない日本の現況報告    は参考になるとして、多くの方から好評をいただきました。


 ※特に参加者の興味を引いたのは、リビアにおける市民参加の    住民運動の現況報告でした。リビアはご存知のとおり、カダフィ大佐    によるイニシアチブで民主化運動が展開されてきた歴史があり、    カダフィ大佐自身の著書『緑の本』にある民主化構想のなかに、    国民投票や住民投票の法制化といった項目が提唱されている    という(有名な話なのかどうか知りませんが)報告がありました。


 ※アメリカで最大規模の市民投票および市民発議を推進する    グループのリーダーと、ヨーロッパで同様の運動を推進する    グループの主宰者と歓談する機会を得たのは収穫でした。    今後それぞれの連携や相互連絡の強化を誓い合いました。 


 ※アメリカでは全州を通じた全国ネットで放映される、一般市民による    市民議会が、あるTV局の番組として定期的に運営されており、    その様子を収録したビデオの放映もありました。    クリントン大統領もこの市民議会の成果を積極的に受け入れて    評価しており、行政・市民・マスコミが一体となった市民政治参加    運動がアクティブに行われていることを示しています。


 <会議中のエピソード>


 ※直接民主制の会議だから、リーダーはけっして置かない、何でも多数決で    決めるんだという暗黙のルールが各参加者に浸透しており(笑)、そのため    司会や進行役の権威失墜で、個々のメンバーが口々に勝手な意見を    述べて議事の進行を遅らせ、遅々として議論が進まなかったこともあり    ました。たとえば会議を15分延長するかという些細な提案ひとつにも、    多数決の表決を取るような始末で、それでも賛否ほぼ同数で決まらず、    あげくの果てに主催者が怒り出して会議を放棄して帰ってしまうような    場面もあり、苦笑ものでした。    いくら民主主義とはいえ、やはり進行を司る有能な舵取りは必要だという    ことを痛感させられた次第です。   


 ※「真の民主主義」において、エリート(選良)はけっして存在しない。    議員はすべて一般市民の中から任意にくじ引きで選ばれるものだ、と    主張していた理論家がいました。確かに純粋な民主主義だとそうなり    ますが・・・・


 ※会議の最終日に、EUの事務局から来賓が来ており、「民族対立や紛争を    抱えて日々緊迫した生活を送っている、第3世界の諸国においては、    国民投票やイニシアチブなどの運動の提唱はけっして実らないし、無意味    ではないのか?」という疑問が述べられました。確かにそう言われてみれば    そのとおりです。    この点に関しては、南北問題も絡んできますし、多民族国家だと単純    多数決に訴えることにより、少数派が犠牲になる可能性も大きいといえます。    この問題はどう解決されうるのか?


 <その他のエピソード> 


 ※ちょうどギリシアに到着した当日、国民IDカードの法制化を国民投票    によって決めるよう主張する、アテネ市民による大規模なデモ運動が    市内を取り巻いて行われていました。これはギリシア正教会が主催    したもので、なんとアテネ市民80万人が参加するという大デモ運動   になったことが翌日の新聞記事で報道されていました。(6月22日)


 ※ちょうど衆院選の前後の時期で、ヨーロッパの各新聞も日本の選挙    についてや、落選運動のことを取り上げるなど、かなり批判的で    詳細な記事が出ていました。    オーストリアの雑誌「ザ・プレッセ」では、二世議員や世襲制議員の    候補者が多いことが批判的に取り上げられており、小渕優子氏の    ことがかなり皮肉っぽくかかれていました。これを参加者のドイツ人    運動家に読ませたところ、「まったく信じられない。ドイツでは、    いくら知名度のある候補者だとしても、政党や支持者内で、誰が    候補者として適任か、相当な議論をして選出する。後援会が任意に    候補者を選んでおしまい、ということはあり得ないし、100名以上も    世襲議員がいるなんて、論外だ。」とあきれたように言われました。


 ※ベルギーでは、全国民に投票が義務付けられており、投票所に    行かなかった有権者は、100ドル以上の罰金を支払うことになって    いるとのことで、それゆえ9割以上の国民が必ず投票に行くそう    です。ただ、どの政党に投票するか判断しかねる有権者も多く、   そういう人々は保守系もしくは右翼系の政党にやむなく投票する 結果、そうしたナショナリズム政党が最近勢力を伸ばしてきている     という結果にもつながっているとのこと。


 こうした国際会議では、さまざまな国のさまざまな政治事情を聞く  機会に恵まれるので、なかなか勉強になります。          


  以上、お粗末ながら報告に代えさせていただきます。


2000年7月11日(火)


***************************** 今本 秀爾  Imamoto Shuji


imashu@kcn.ne.jp http://www1.kcn.ne.jp/~imashu/index.htm


インターネット政治フォーラム 主宰 http://lp.jiyu.net/PFI.htm 直接間接並存政治構想のページ http://www2.osk.3web.ne.jp/~mine2/ 国民・住民投票を活かす会 http://www.geocities.co.jp/WallStreet/1412/ ************************************


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