6月27日(金)


朝10時から一心寺シアターにて仕込み開始。ところが、私は、会社の上司が急に全員出張に出てしまったため、夕方から仕込みに合流するはめに・・・。

余談だけれど、この日の朝6時頃、アメリカに短期留学している湯浅から、突然私の家に国際電話がかかってきた。

湯浅 「ごめんなぁ、朝早くに・・・」
小波
「ふわぁぁぁ(大あくび)、まだ6時やん。今日から月狂夜の仕込みやねんで。その前に会社もいかなあかんのにぃ・・・」
湯浅 「芝居?あれっ?先週終わったんちゃうのん?」
小波 「なにぼけてんねん!」
湯浅 「あれっ?あれっ?あれぇ〜???まっ、がんばってな。ところで7月から8月までの滞在先が決まったからメモってくれる?」
小波 「はいはい。」
湯浅 「ファックス番号は、○○××やから。さみしいねんからファックス送って来てやぁ!」
小波 「zzzzz」
湯浅 「こらぁ、寝るなぁ!!それからな、宇賀にも連絡先伝えといてな。」
小波 「宇賀にも連絡したりぃや。」
湯浅 「いや、宇賀ちゃんは自宅やろ、朝早くに電話したら悪いと思て。」
小波 「うちにも悪いと思ってくれぃ。」
湯浅 「まぁええやん。ほなよろしく!ガチャッ、ツーツーツー」

アメリカでも湯浅は相変わらず元気らしい。

話は戻って、27日夕方4時過ぎ、仕込みに遅れ馳せながら合流した私は、まっすぐ柳田さんの元へ。(劇場に入ってしまえば、一番偉いのは舞台監督さん。すべての人は舞台監督の指示の元に動いていくのです。)

小波 「柳田さん、進行具合はどうですか?」
柳田 「装置が1時間遅れたから、今日中に場当たりできるかどうか微妙なとこだね。これからのシュート(照明合わせ)の進行次第かな。」
小波 「なんとか明日のゲネプロができるようにお願いします。」





夜8時から殺陣とダンスの場当たり。サンプラーという機械で「カキーン」
等々の殺陣の音を出す役になっていた私は、初めてここで音を出してみる
ことになった。
「うわっ、おっと、しまった、ちがう・・・」
心の中でそう叫びつづける私。
「だ、だ、だめだぁ〜。私にはできない・・・」
最初の一操作で、私は演出として、密かに自分にダメを出した。
「・・・・他の人にやってもらおう。」


6月28日(土)
昨日、自分にダメ出しした私は、満遊戯賊から手伝いに来てくれていた徳永くんに白羽の矢をたてた。
小波 「徳永くぅん、サンプラーってできる?」
徳永 「いや、無理ですよ。稽古みてませんもん。」
小波 「大丈夫、大丈夫。これから場当たりもあるし、ゲネプロもあるし、私がキッカケを書いたノートもあるから、やってくれへん?」
徳永 「ええ〜、でもぉ〜。舞台裏はいいんですか?僕が抜けても。」
小波 「それは、私が柳田さんに交渉するから。ね、お願い。」
徳永 「分かりました。じゃあ、とりあえずやってみましょう。」
小波 「ありがと〜!!」


徳永くんは、初めてだというのに、ずう〜っと稽古を見ている私よりもうまく音を出した。がーんっ。
結局、サンプラーの殆どのシーンは徳永くんに引き継ぎ、ラストの立ち回りの刀がぶつかる「カキーン」の音だけを(1人では手が足りないので)私が手伝うことで落ち着いた。

音響の金子さんが、「あれ?小波がサンプラーやるんちゃうの?せっかく、緊張してる姿を皿ちゃん(照明の皿袋さん)といっしょに観察しようって、楽しみにしてたのに・・・」と意地悪なことを言うので、「私も最後の立ち回りの刀の音だけはやるんですっ!」と怒っておいた。

今回は、近畿大学の田中くんと神田さんという2人が、舞台裏の転換要員として手伝ってくださっている。受付は、天真爛漫BS部門の精鋭部隊(中村ゆみ、松村ゆきこ、松村なよこ、初日のみ参加の下山たえこ)に加えて、劇団りゃんめんにゅーろんの西川さんでばっちり固めているので安心だ。なんとかゲネプロも3時半からやることができた。ゲネ終了が5時半。開場時間の6時半に遅れること5分、ようやく開場にこぎつけた。


途中1ヶ所、トランシーバーの調子が悪く、転換終了のキューが音響、照明ブースに届かなかったため、暗転が長すぎるシーンがあったのと、MDのデータが突然飛んで、ラストの1曲前の曲が一部聞こえなくなってしまったけれど、その他は特に大きなアクシデントもなく、台風の中だというのにお客様も100名以上来てくださって、午後9時05分、無事本番1回目が終了した。


6月29日(日)
今日は2回の本番がある日だ。
昼の公演には、10月出産予定の高田が大きなお腹で現れ、
「お腹の中でポコポコ動いておもしろいのよぉ。」
と嬉しそうに言っていた。高田が母になるとは、いまだに信じられない。それにしても、妊娠するとどうしてみんな髪をショートにするんだろう?

昨日の本番は、プロジェクターのソフトを編集してくれた村崎ちゃんが、ビデオ撮影してくれたのだが、今日は誰も撮影できる人がいない。泣く泣く昼公演は撮影をあきらめたが、最後の公演はなんとしてでもビデオに撮りたい。

今回、作家の遠藤さんは、ビデオプロジェクターの操作係をやってくれているし、私はデジタルカメラでの撮影と、最後のシーンのサンプラーがあるので、ビデオに常時ついているわけにはいかない。誰かあいている人間はいないのか・・・と周りを見回したとき、チャールズと目が合った。チャールズは、仕込みからずっと手伝ってくれていたのだが、本番中に仕事はなく、ひまだったのだ。

小波

「ねえ、チャールズ、ビデオ撮れる?」

チャールズ

「ビデオ?オッケー、大丈夫。」

小波

「じゃ、最後の3回目の公演、撮ってくれるかな?」

チャールズ

「オッケー、ノープロブレム!」

小波

「これが、ビデオだからよろしくね。」

チャールズ

「このビデオ?僕使ったことない・・・でも大丈夫。」

小波

「おいおい、ほんまに大丈夫なんかい?」

   
この日の本番も無事終了。ラストの公演で、照明のサスが1ヶ所早めに入ったところがあったので、
「昼の公演のとき浅野くんがサスをはずしたから、わざと『ここに入るんですよぉ。』っていう意味を込めて早めに入ったんですよねぇ〜。」
と皿さんをいじめると、「これは機械のトラブルだから、予測不可能だったんだけど・・・ごめんなさい。」と、とても小さくなっていた。

「月狂夜」のラストシーンでは、照明で大きな月を出してもらった。とても素敵な、まるで本物のような月だった。
私は今まで演出してきた作品で、照明さんに指定をしたことはなかった。今回初めて、「本物のような月を出したい。」と言ってみた。それを見事にかなえてくださった皿袋さんに感謝感謝。

今回も、色々な人たちにご協力をいただいて、本番は無事終了しました。

みなさんお疲れ様でした。ありがとう。