経営トップのあり方!
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一、経営のやり方と方針を明確に示す。 |
経営がおもわしくない会社は、社員の士気(モラール)が沈滞している、社内の整理・整頓・清掃が乱れている。人の心の反映が、車の汚れ、トイレのありよう、机上の整頓に表われる。返事・あいさつ・身だしなみ…といったことから社内の乱れが表われる。会社がどう変わっていくのか、その流れの中で自分がどう処すべきか、を一人ひとりの社員が考え行動するためには、トップ自らが当たり前のことから手をつけ、実践することだ。
例えばトップ以下、役員の給料を大幅に下げる。不要不急の資産を売却する。より簡素で機動的な組織体制にする。思いつきからスタートした資料や文書類を廃止する。ここで初めて、トップの危機感や経営の切迫感が社員に伝わり、トップの決意と実践力に対する信頼感となっていく。
小さなことを徹底しゼイ肉をそぎ落とす一方で、“明日の会社像”を描くことが安心し、希望をもって前進できるための設計図=ビジョンとなり、社員のヤル気を高める。
業界に身を置き、キャリアを積んでおれば、経済環境や自社の能力(強味・弱味)から判断して、5年後ぐらいの大まかな“あるべき姿”が描けるはず。10年は無理でも3年から5年を、静かに2日、3日、一週間もかかってまとめれば、ビジョンの骨子はできる。それも解らなければ、トップとしての資質に問題がある。
トップ自らの思いである“骨子”を更により具体的なビジョンにするために、社員の力(経験と見識に基く知恵)を結集するのだ。
明確な方向づけができ、更に具体的な月単位、週単位の実施項目がスケジュール化されれば、あとは何の迷いも躊躇も要らない。
ミーティングも会議も不要。やるならば、決めたことを確認するための短いミーティングで充分(会議などやらなくても、少人数幹部の意思統一でよい)。
ビジネスの目的は、売上と、結果としての利益の有無。売上をとるのは、“お客様満足(C/S)”を得るための現場の創造力(創意・工夫)。利益をとるのは、ヒト・モノ・カネの効率を上げるためのマネジメント力。経営は日々、迷いと葛藤の連続であるからこそ、「儲けること、会社が生き残り、発展するために!」の価値判断基準がいつ、いかなる時もブレないこと。そのことが必ず、社員が活き活きと明るく元気でいられる(E/S)ための原動力になる。
継続力とは実践力。実践力の源は、目標がしっかりしていることと、トップとしての使命感(ミッション)の有無とその強さにある。愚鈍と言われるほど、信じたことをやり続けるためには、強烈な精神力を要する。精神力は、「我が身、我がため」だけではなく、「人のため、会社のため」という熱い思いと大義がなければ、信念までには昇華しない。継続するには、進捗の度合を担当者間で確認し、その場で必要な軌道修正をする。小事に煩わされて、大事を失い、大局を見誤ることは多い。人が好いだけなら単なる善人。会社を生き残らせ、発展させるために妥協のない自分を貫き、結果として成果を上げれば、理屈抜きの“存在価値ある経営者”なのだ。
「運命共同体」とは、ビジネス上も、それを支える私的な生活におけるものでもある(「会社があってこそ、お客様に喜ばれ、社員の生活も保たれる」という事実)。この“大義”に支えられているのだから、敢然と勇気をもって、くじけそうな自分と闘うことだ。
経営者は孤独である。チヤホヤと周囲の人が持ち上げてくれても、そんな人ほど、イザという時は手の平を返すように変わるもの。「良薬は口に苦し」、と言う。言いにくいことを直言する人は遠ざけたくなるのが人の常。しかし、苦言を呈する人の言葉に耳を貸さず、すべてを失った人は数知れない。「委かして委かず」、とも言うが、自分一人でできることはたかが知れている。委かすべきを委かすことは放任ではない。自分の部下やメンバーがする仕事はすべて、自分の責任を分けて担当してもらっているのにすぎないのだ。だから、委かした仕事についてのチェック・確認は、必ず自らがヤルべきだ。
自分が安心して自分のヤルべき仕事を委かすことのできない人は、自分にとって無用なのだ。〈報告・連絡・相談〉がしっかりできない人は、上司との関係において信頼の絆をつくることはできない。
分身、と言っても人格を無視、の意ではない。自分自身が責任負うべきことを、他人に委かすのが組織であるからこそ、ビジネスに対する考え方の基本は、しっかりと意思統一されていなければならない。
その上で創造力を発揮できるために不可欠な要素は、「委かして安心、報告するから安心」、の“信頼関係”である。“信頼”のボーールを投げれば、“信頼”の球が胸元に返ってくる。もちろん間違いを犯さないためのルールやシステムは不可欠。しかし、信頼しなければ社員は育たない。私自身も自省するが、一生懸命さが性急な言動となった失敗は、数限りなく体験してきた。「ありがとう」の言葉は必ず、「ありがとう」で返ってくる。
前記 1〜5の実践こそが、リーダーとしての“信頼”になり、会社を変えていく。