まえがきに代えて――暴力と想像力
序 章 「抑圧された暴力の行方」 (松岡光治)
第1節 産業革命期とヴィクトリア朝の社会風潮
第2節 暴力のジェンダー化と二重規範
第3節 抑圧の移譲と階級問題の解決策
第4節 ショーヴィニズムによる人種差別
第1章 『ピクウィック・クラブ』 (中和彩子)
「ピクウィック氏のげんこつ」
第1節 暴力の抑圧
第2節 暴力と身分
第3節 一発のげんこつ
第4節 もう一発のげんこつ
第2章 『オリヴァー・トゥイスト』 (松岡光治)
「逃走と追跡――法と正義という名の暴力」
第1節 孤独からの逃走
第2節 追跡の快楽
第3節 恣意的な暴力としての法
第4節 正義に内在する暴力性
第3章 『ニコラス・ニクルビー』 (西垣佐理)
「喜劇としての暴力――舞台と社会の間」
第1節 喜劇およびメロドラマの伝統と暴力場面の意義
第2節 舞台背景としての社会問題
第3節 劇的効果を生み出す暴力
第4節 〈喜劇〉から〈小説〉へ
第4章 『骨董屋』 (猪熊恵子)
「音の海を逃れて」
第1節 傷跡に語らせよ
第2節 クウィルプの声、その暴力
第3節 食い違う語り手のシルエット
第4節 「その話はもうやめろよ、チャーリー」
第5章 『バーナビー・ラッジ』 (渡部智也)
「眠りを殺す」
第1節 究極の暴力としての断眠
第2節 眠りが奪われる
第3節 眠りを取り戻せ
第4節 暴動はまた起こるのか
第6章 『マーティン・チャズルウィット』 (畑田美緒)
「声なきものたちの逆襲」
第1節 権威の喪失
第2節 老人たちの復権
第3節 暴力依存と死者の告発
第4節 新大陸VS旧大陸
第7章 『ドンビー父子』 (松村豊子)
「疾走する汽車と暴力」
第1節 決闘の封印
第2節 虐待の激化
第3節 家庭内における暴力の規制と抑制
第4節 線路は続くよ、どこまでも
第8章 『デイヴィッド・コパフィールド』 (川崎明子)
「海の抑圧――ロビンソン・クルーソー挽歌」
第1節 暴力をふるう海
第2節 船に乗るスティアフォース
第3節 浜に揚がるエミリー、川を嘆くマーサ
第4節 陸を選ぶデイヴィッド